メンタルヘルス不調につながるストレスのサインとは? 適切な対策法も解説
近年、仕事・職業生活のなかで強い不安や悩み、ストレスを抱えている従業員が5割を超えている状況です。業務による心理的負荷が原因で精神障害を発症して、労災認定が行われるケースも増加しています。
職場におけるメンタルヘルス対策の重要性が高まっていますが、心の不調は自覚できないケースも少なくありません。また、自覚していても、自発的な相談を控える従業員もいると考えられます。
職場のメンタルヘルス対策を進めるにあたって、「どのように従業員に気づきを与えればよいか」「提供できる有益な情報はないか」と対応方法を検討している担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、心の不調につながるストレスのサインをはじめ、適切な対策法について解説します。従業員への情報提供や健康教育などにお役立てください。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』/経済産業省『健康経営の推進について』
目次[非表示]
- 1.自律神経の不調・ストレスのサイン
- 2.ストレスからくる病
- 3.ストレスを感じる原因は?
- 4.自律神経の乱れを防ぐ適切な対策法
- 4.1.①良質な睡眠をとる
- 4.2.②適度な運動を行う
- 4.3.③上司や産業保健スタッフに相談する
- 5.まとめ
自律神経の不調・ストレスのサイン
心の不調は、仕事や日常生活での出来事・不安などによる何らかのストレスが原因となっている場合があります。
ストレスを抱えたときに現れるサインには、以下が挙げられます。
▼ストレスを抱えたときに現れるサイン例
場所 |
具体例 |
心のサイン |
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体のサイン |
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行動のサイン |
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これらのサインは、ストレスによって自律神経が乱れることで起きている場合もあります。
ストレスからくる病
ストレス反応が改善されずに慢性化していくと、メンタルヘルスや身体面でさまざまな疾患を引き起こすことがあります。これらの症状は多岐にわたり、いくつかに分類されています。
代表的疾病
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心身症・・・心が原因で体に現れる病気。特定の病名ではなく、個人によって現れる部位が異なり、体の最も弱い部分に現れることが多いとされています。
気分障害・・・大きく分けて2つの病気があります。長期間にわたり悲しみで過度に気持ちがふさぎ込む(うつ病)、過度に気持ちが高揚する(躁病)、またはその両方を示す感情的な障害を示す障害を気分障害といいます。
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不安障害・・・ストレスで心身に多様な症状が現れる病気です。以前は神経症と呼ばれていました。強い不安が日常生活に支障をきたし、原因が解消されると症状も治まります。
ストレスを感じる原因は?
ストレスにつながる要因として、主に次の4つが考えられます。
- 社会的要因・・・仕事の忙しさや、仕事量の増加など
- 心理的要因・・・悩みや不安
- 環境的要因・・・日常生活での騒音や気象条件など
- 身体的要因・・・睡眠不足など
意外かもしれませんが、結婚や出産などおめでたいことであっても、ストレスの原因になることがあります。同じ原因であっても、個々の影響は異なります。それが「良いストレス」として適度な緊張を生み出すこともありますし、「悪いストレス」として心身に悪影響を及ぼすこともあります。またストレスの感じ方も人によって異なります。「何となく調子が悪い」「いつもと違う」と感じたときには、ストレスが溜まっていたり、その背後に病気が隠れていたりする可能性もあるため、注意が必要です。
心身の健康を保つためには、“いつもと違う”にいち早く気づいて、適切に休み、セルフケアにつなげることが大切です。
自律神経と心身の健康の関係性については、こちらの記事で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『ストレスのサイン』『ストレスを感じやすい状況』/厚生労働省 こころの耳『3 ストレスへの気づき』/厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症』『自律神経』
自律神経の乱れを防ぐ適切な対策法
自律神経の乱れや過度なストレスを予防するには、“適度に休む”とともに、適切なセルフケアを行うこと、職場の人に相談することが大切です。
具体的なメンタルヘルスケアとして、以下の3つの方法が挙げられます。
①良質な睡眠をとる
心身の健康を保つためには、良質な睡眠を取ることが大切です。
慢性的な睡眠不足は、眠気や意欲低下など精神機能の低下を招くだけでなく、自律神経にも大きな影響を及ぼすといわれています。
特にシフトワークや夜勤のある交代勤務の職場では、体内時計が乱れて、睡眠のリズムが不規則になったり、眠れなくなったりすることもあります。不規則な睡眠や睡眠障害は、生活習慣病につながる要因の一つです。
このようなリスクを防ぐために、規則正しい睡眠習慣を身につけて、良質な睡眠を取ることが大切です。
▼良質な睡眠を取るためのポイント
- 朝に日光を浴びる
- 就寝の2~3時間前に入浴する
- できるだけ同じ時間に起きる
- 温度・湿度・照明・音・寝具を快適に保つ
- 就寝前の飲酒や喫煙、カフェインの摂取は控える
睡眠の質を高める詳しい方法は、こちらの記事で解説しています。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『快眠と生活習慣』『睡眠と生活習慣病との深い関係』/厚生労働省 SMART LIFE PROJECT『質のいい睡眠で、カラダも心も健康に。』
②適度な運動を行う
適度な運動は、ストレスの解消につながります。
散歩やランニング、ダンスなどの有酸素運動には、ネガティブな気分を発散させて心身をリラックスさせたり、睡眠のリズムを整えたりする効果が期待できます。
手軽に楽しく続けられるように、1日20分程度の運動を意識して取り入れることがポイントです。
出典:厚生労働省『体を動かす』/厚生労働省 こころの耳『15分でわかるセルフケア』
③上司や産業保健スタッフに相談する
不調に気づいたときは、職場の上司や産業保健スタッフに相談することも大切です。
職場の上司や産業保健スタッフに相談することによって、必要に応じて労働時間の削減、職場環境の調整などの対応を取れるようになります。不調が深刻化するのを防ぐためには、早めの対応が重要です。また、事業場外の相談窓口や、地域の医療機関などに相談するといった選択肢もあります。
ストレス過多の現代では、誰もが不調を抱える可能性があります。「怠けているだけ」「甘えているだけ」「少し休めば治る」など一人で抱え込まずに、他人に相談するように心がけることが重要です。
出典:厚生労働省 こころの耳『15分でわかるセルフケア』『3 ストレスへの気づき』/厚生労働省『職場における心の健康づくり』
まとめ
この記事では、職場のメンタルヘルス対策について以下の内容を解説しました。
- ストレスのサイン
- ストレスからくる病
ストレスを感じる原因
- 心の不調を防ぐための適切な対策法
心身の不調は、何らかのストレスが原因となって起きているケースがあります。心や体、行動などのストレスサインに気づいたら、適度に休むとともに、ケアにつなげることが大切です。
また、自律神経の乱れを防ぐためには、適切なセルフケアを行うこと、上司や産業保健スタッフに相談することも重要です。
職場のメンタルヘルス対策の促進に向けて、従業員へのセルフケアの指導をはじめ、健康づくりの支援、不安や悩みを相談できる体制を整備してはいかがでしょうか。
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