職場における健康づくりの重要性。事例から学ぶ健康経営の取り組み

職場における健康づくりの重要性。事例から学ぶ健康経営の取り組み


近年、高年齢労働者の増加や技術革新の進展など企業を取り巻く情勢が変化するなかで、従業員の健康保持・増進に対する社会的ニーズが高まっています。

企業における人事・総務担当者のなかには、「職場における健康づくりはどうして重要なのか」「健康づくりを実施する際のポイントを知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、職場における健康づくりについて重要性とポイント、実施事例を解説します。


目次[非表示]

  1. 1.職場における健康づくりの重要性
  2. 2.職場で健康づくりを行う際のポイント
    1. 2.1.①職場環境に合った健康づくり施策を策定する
    2. 2.2.②個人と組織それぞれへの健康づくりを実施する
    3. 2.3.③従業員の高齢化を見据えた健康づくりを行う
  3. 3.職場における健康づくりの事例
    1. 3.1.健康づくりを促す環境を職場内に構築した事例
    2. 3.2.職場で運動促進イベントを実施した事例
  4. 4.まとめ


職場における健康づくりの重要性

従業員の健康リスクを放置することは、企業にとって大きな損失につながる可能性があります。このようなリスクを回避して、従業員も経営も健全な状態で企業を運営していくためには、健康づくりが重要です。

職場において従業員の健康づくりに取り組むことで、以下の効果が期待できます。


▼職場における健康づくりで期待できる効果

  • 欠勤日数の減少
  • 生産性の向上
  • 労働災害件数の減少
  • 従業員のエンゲージメント向上 など


運動不足やストレス、偏った食生活などの健康リスク要因を抱えた従業員は、欠勤日数が多くなりやすいといえます。また、出勤していても業務効率が落ちている場合もあります。

職場で健康づくり対策を行うと、欠勤日数を減らしたり、労働生産性を向上させたりすることが期待できます。

さらに、職場の業務内容によっては、業務に求められる体力が足りないことで、転倒のような労働災害につながるケースがあります。必要な体力指標に届いていない従業員に対して運動指導を行うことで、労働災害の減少が期待できます。

職場で健康づくりをサポートすることは、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。従業員が働きがいを感じながら、長く健康で働けるよう支援することで、労働市場を含めた重要なステークホルダーから選ばれる企業になると期待できます。

出典:厚生労働省『職場における心とからだの健康づくりのための手引き



職場で健康づくりを行う際のポイント

職場で健康づくりの取り組みを行う際、経営者は現在の職場環境に応じて組織と個人向けの取り組みを実施するほか、長期的な視点での施策を講じることも大切です。


①職場環境に合った健康づくり施策を策定する

職場環境は企業によって異なるため、自社の業種や働き方などに合わせた健康づくり施策が必要となります。


職場環境に合った健康づくり施策を策定する方法

  • 産業医や保健師に相談する
  • 従業員から意見を募る
  • 社外の機関や専門職を活用する など


経営層が健康づくりの取り組みを最終決定する際には、産業医や外部の専門職だけでなく、従業員自身の意見も聞いたうえで施策内容を決定することが重要です。


②個人と組織それぞれへの健康づくりを実施する

職場の健康づくりにおいては、個人と集団それぞれへのアプローチが必要です。

職場の健康づくりにおいては、従業員個人を対象に行うハイリスクアプローチと、職場内の集団全体を対象とするポピュレーションアプローチという2つの視点が存在します。


▼健康づくりにおける2つの視点

視点
概要
ハイリスクアプローチ
生活習慣上の課題を有する従業員個人を対象とした、個々の健康状態の改善を目指すもの
ポピュレーションアプローチ
生活習慣上の課題の有無に関わらず従業員を集団と捉え、職場全体の健康状態の改善を目指すもの


健康づくりを行う際は、これら2つのアプローチを組み合わせて取り組むことが推奨されます。

なお、個人のヘルスリテラシーを高めることはもちろん重要ですが、それ以上に重視すべきものとして組織風土の醸成が挙げられます。組織風土の醸成には、従業員自身が所属する職場に対する信頼度を高めていくことが不可欠です。

そのためには経営者の倫理観に基づく経営戦略を策定したうえで、経営者から管理職を通じて、従業員が実感できる形で組織的な支援を行うことが何よりも重要です。組織へのコミットメントを高めて、組織への形式知化された信頼の獲得につなげることが求められます。


③従業員の高齢化を見据えた健康づくりを行う

職場での健康づくりは、従業員が将来的に年齢を重ねることを見据えて行う必要があります。

高齢になると、身体のさまざまな機能が低下して働き続けることが難しくなるケースもあります。


▼加齢に伴う身体機能低下の例

機能低下の状態
概要
ロコモティブシンドローム
骨や関節、筋肉などの衰えによって、立ったり歩いたりする移動機能が低下した状態
フレイル

加齢とともに、筋力や認知機能が低下することで、生活機能が障害され、社会的なつながりが弱くなるなど、心身の脆弱性が出現した状態



若いうちから運動によって筋肉量や持久力を維持しておくことで、高齢になっても心身ともに健康を維持しやすくなると期待できます。

なお、フレイルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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出典:厚生労働省『職場における心とからだの健康づくりのための手引き




職場における健康づくりの事例

ここでは、職場での健康づくりについて、厚生労働省の資料で紹介されている事例を解説します。


健康づくりを促す環境を職場内に構築した事例

複数の事業所において取り組まれている健康づくり施策として、健康づくりを促す環境の構築が挙げられます。

ある家具製造事業者では、業務中の座位時間が長いことによるプレゼンティーズムが課題でした。上下昇降デスクの導入や共用席の増設など、オフィスレイアウトの変更を行うことで、”座り過ぎ”を抑制できる環境を構築しました。

また、運輸業・郵便業において、腰痛や肩こりに悩まされる従業員のためにストレッチを促す環境を構築した事例があります。喫煙所の跡地に雲梯を設置することで、従業員が服装を問わずに気軽にストレッチを行えるようになりました。

※プレゼンティーズムとは、健康問題によるパフォーマンスの損失を表す指標の一つ。欠勤には至っていないものの、生産性が低下している状態を意味します。

出典:厚生労働省『職場における心とからだの健康づくりのための手引き』/経済産業省『健康経営オフィスレポート


なお、プレゼンティーズムについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

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職場で運動促進イベントを実施した事例

運動促進のイベントを実施することで、楽しみながら職場の健康づくりを実現した事例があります。

ある製造事業者では、朝礼やミーティング前にストレッチや軽い筋力トレーニングを実施する取り組みを毎朝継続的に実施しました。取り組みの結果、従業員の肩こりが軽減されたり、筋力が向上したりするなどの成果が出ています。

また、別の事業者ではチーム対抗の玉入れ競技の大会を全社で開催しました。従業員の体力づくりや体力面における課題の顕在化だけでなく、従業員間のコミュニケーションの活性化にもつながりました。

出典:厚生労働省『職場における心とからだの健康づくりのための手引き


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まとめ

この記事では、職場における健康づくりについて以下の内容を解説しました。


  • 職場における健康づくりの重要性
  • 職場で健康づくりを行う際のポイント
  • 職場における健康づくりの事例


職場において従業員の健康づくりに取り組むことで、従業員の欠勤日数の減少や生産性の向上、労働災害件数の減少などが期待できます。また、従業員のエンゲージメント向上を含めた、ステークホルダーとの関係性の醸成にもつながります。

職場での健康づくりにおいては、職場環境に合わせた施策を策定して、個人と集団それぞれの健康づくりを推進することが重要です。また、従業員に長く働いてもらうために従業員の高齢化を見据えておくことも大切です。

ルネサンス』では、健康経営に役立つさまざまなサービスやプログラムを提供しています。従業員の健康課題に対してどのように取り組めばよいかお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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