健康経営に取り組む5つのメリット。注意点や好事例も併せて解説


健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点で捉えて戦略的に実践する取り組みです。従業員の心身を健康に保ち、活力を持って仕事に取り組めるようにサポートすることは、企業にとってさまざまなメリットをもたらすと考えられます。

健康経営の実施を考えている企業の担当者さまのなかには、「健康経営の具体的なメリットは何か」「健康経営で効果を得られた事例にはどのようなものがあるか」と調べている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、健康経営に取り組むメリットや企業の好事例について紹介します。

※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


目次[非表示]

  1. 1.健康経営に取り組む5つのメリット
    1. 1.1.①企業利益に関係
    2. 1.2.②生産性の向上
    3. 1.3.③企業イメージの向上
    4. 1.4.④離職リスクの軽減
    5. 1.5.⑤公共調達の加点
  2. 2.健康経営のメリット実現に有効な手段
    1. 2.1.「健康経営優良法人」の認定を取得する
    2. 2.2.健康増進の施策を行う
    3. 2.3.助成金を活用する
  3. 3.健康経営に取り組む際の注意点
    1. 3.1.①効果の見える化
    2. 3.2.②従業員との合意形成
  4. 4.健康経営を推進した好事例①
  5. 5.健康経営を推進した好事例②
  6. 6.まとめ


健康経営に取り組む5つのメリット

企業が健康経営に取り組むことは、人材を“資本”と捉えて価値向上を図る人的資本経営の土台となり、将来的な収益性を高める投資になると考えます。


①企業利益に関係

1つ目は、企業の営業利益との関係です。期待できるメリットには、以下が挙げられます。

画像引用元:経済産業省『第8回 健康投資ワーキンググループ 参考資料2滋賀医科大学矢野教授提出資料


とくに健康に直結することとして、喫煙や睡眠による休養、運動習慣などが営業利益と関連しているといえます。


②生産性の向上

2つ目は、生産性の向上が期待できることです。

従業員が心身ともに健康な状態で業務に取り組めるようになると、集中力やパフォーマンスが高まると考えられます。

その結果、業務のスピードが早まったりミスが軽減されたりして生産性の向上につながることが期待できます。生産性の向上は、事業の安定化や業績の向上にも貢献します。


▼生産性が向上する例

  • 十分な睡眠をとることで業務中の眠気がなくなり集中できる
  • 禁煙により集中力が持続する
  • 規則正しい生活を心がけることで免疫力が向上し、欠勤が減る など


③企業イメージの向上

3つ目は、企業イメージが向上することです。

従業員を大切な資本として捉えて心身ともに健康で働きやすい環境をつくることは、取引先や求職者へのポジティブな印象につながると考えられます。

健康経営の取り組みを社外へと発信して企業イメージが向上すると、新たな顧客の獲得や優秀な人材の獲得、人材の定着化などにも貢献します。


▼企業イメージが向上する例

  • 休憩や休日に関する働きやすさをアピールすることにより求職者が増加する
  • 従業員を大切にしている企業だというイメージが定着し、消費者の印象がよくなる など


④離職リスクの軽減

4つ目は、離職リスクを軽減できることです。

従業員の心身が健康な状態に保たれることで、病気やメンタルヘルス不調によって離職するリスクを軽減できると考えられます。

実際に、従業員の健康維持・増進に積極的に取り組んでいる健康経営の実施度が高い企業は、一般的な企業と比べて離職率が低い傾向にあることが分かっています。


▼健康経営と離職率の関連

画像引用元:経済産業省『健康経営の推進について


⑤公共調達の加点

5つ目は、公共調達における加点の評価につなげられることです。

健康経営に取り組む優良な企業を顕彰する“健康経営優良法人”に認定されると、地域における公共調達の加点評価を受けられることがあります。

公共調達とは、国が行う事業や工事などを民間の企業に依頼して調達することです。公共調達には入札参加の資格が必要になりますが、加点があることで資格の取得に関して有利になります。


なお、健康経営優良法人に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

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健康経営のメリット実現に有効な手段

健康経営のメリットを実現するために有効な手段を3つ紹介します。

「健康経営優良法人」の認定を取得する

健康経営のメリットを実現するために非常に有効なのが、「健康経営優良法人」の認定を取得することです。取得を目指すだけでも健康経営のメリット実現につながりますが、せっかく取り組むのであれば、認定取得を目標とすることをおすすめします。


健康経営優良法人の認定までの流れについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

健康増進の施策を行う

早期の認定取得までは考えていない場合であれば、具体的な「健康増進施策」を行うことも健康経営のメリット実現に有効です。
社内で健康経営の実施を表明し、必要に応じてチーム等を発足します。体制を整えたら、従業員の勤務状況やストレスチェックの結果などをヒントに、改善すべき健康課題を明確化しましょう。参加型の大規模な施策が良いか、啓蒙を目的とした小規模で負担なく行える施策が良いか、自社の状況に合わせて実施するのがおすすめです。


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助成金を活用する

健康経営のメリットを実現するには、施策を講じるための費用が必要です。
そこでおすすめの手段が助成金の活用です。健康経営が推奨される背景を受けて多くの助成金制度が設けられています。

【助成金制度の一例】

  • ストレスチェック助成金
  • 時間外労働等改善助成金
  • 職場環境改善計画助成金
  • 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
  • 業務改善助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 両立支援助成金
  • 小規模事業場産業医活動助成金
  • 受動喫煙防止対策助成金


この他にも様々な助成金制度があるため、厚生労働省のホームページをご確認ください。


健康経営に取り組む際の注意点

健康経営に取り組む際に、施策の実施については気をつけておきたい点があります。


①効果の見える化

健康経営では、健康施策の参加が高まったり健康行動が改善しても、健康診断の結果としてはすぐに効果としてみえにくく、多くの場合中長期で効果が現れます。そのため、検証の際には、参加率(アウトプット)と改善率(アウトカム)の2つを検証することが大事です。

健康経営の効果を見える化するには、すでにある健康診断やストレスチェックなどのデータを継続的に集めて検証していくことや、従業員の従業員の健康度を見える化していく必要があります。誰に、どんな施策を実行し、効果があったのかを検証できるようにして、各取り組みのKPTを定めて効果検証していくことが重要です。


②従業員との合意形成

健康経営によって心身の健康状態を良好にするには、企業側でのアプローチだけでなく、従業員自身が自分ごととしてセルフケアを行うための組織風土をつくる必要があります。

従業員の自主的なセルフケアを促すためには、健康経営を推進する目的や必要性をしっかりと伝えて、やらされている感を持つことのないように、従業員の意識づくりを行う必要があります。また、健康データを不利益に扱われるのではという不安を解消するために、データの利用範囲・管理方法などを明確にして、従業員の信頼を得ることが重要です。


なお、健康経営の課題と効率的な進め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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健康経営を推進した好事例①

株式会社イトーキ

株式会社イトーキ_ロゴ

株式会社イトーキ様では、単に医学でいわれる「病気や虚弱ではない」という状態から一歩進んで、従業員とその家族が仕事やプライベートに活き活きと取り組める健康を目指しています。


▼指標

健康経営で解決したい経営課題を、全従業員が活き活きと、自分自身と顧客や社会全体にとってよりよい“明日の「働く」をデザインする”を実現すること、と掲げて従業員のパフォーマンスアップを指標としています。


▼健康維持・増進のための取り組み

健康に関する情報をわかりやすく伝え、社員の健康意識を高めるために、健康情報を集約・蓄積する健康経営推進委員会のポータルサイトや、健康白書などを、イトーキ・健康保険組合・労働組合の三者共同で取り組みをしています。

また、イトーキ様のオリジナルソリューションである「オフィス向けデジタルサイネージ オフィスチャンネル」を活用して、視覚に訴える健康情報を発信しています。ほかにも、本社オフィスのあるITOKI TOKYO XORKでは、リラックスを目的としたリチャージルーム、心身の健康を保つマインドフィットネスゾーンというオリジナル空間を設置しています。

出典:株式会社イトーキ『イトーキ健康経営宣言



健康経営を推進した好事例②

IHIエスキューブ様ロゴ

IHIエスキューブ様


株式会社IHIエスキューブ様では健康経営宣言「わが社は健康経営を通じて会社の発展、従業員一人ひとりの成長と豊かな人生の実現を目指します」を掲げています。


▼指標

「ウェルビーイング(働きがい)」「活力(エンゲージメント)」「基盤(リテラシー・コンディション)」を健康経営指標として、それぞれの具体的な項目と目標値を定めて実績管理されています。


▼健康維持・増進のための取り組み

ウェルビーイングの実現に向けて、「一人ひとりが健康や幸せについて考え、働きがいを感じられる職場づくり」に取り組まれています。

2021年度から、職場健康度調査の結果を活用した対話と実践による個人と組織活性化のためのウェルビーイング活動を全職場で実施しています。

また、2022年度からはウェルビーイングを実現するための働き方を探求する活動を始め、活動過程において経営トップと直接対話するなど、従業員とともに健康経営を推進されています。

出典:株式会社IHIエスキューブ健康経営



まとめ

この記事では、健康経営への取り組みについて以下の内容を解説しました。


  • 健康経営に取り組むメリット
  • 健康経営のメリット実現に有効な手段

  • 健康経営を推進した4つの好事例


企業が健康経営に取り組むことで、従業員が心身ともに健康で働ける環境となり、組織の風土や生産性などにもよい効果をもたらすと考えられます。そのほか、企業イメージの向上や離職リスクの軽減、保険料負担の軽減、公共調達の加点などのさまざまなメリットにつながることが期待できます。

実施する際は、効果検証を繰り返しながら長期的な視点で取り組むことが重要です。また、健康経営の目的や必要性を伝えて意識づくりをしたり、健康に関するデータの取り扱いを明確にして信頼を醸成したりすることも大切です。


ルネサンス』では、企業の健康経営をサポートするサービスを多数ご用意しております。従業員の健康課題に対してどのように取り組めばよいかお悩みの方は、こちらからお問い合わせください。

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また、健康経営にお役立ていただける資料をこちらからダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。

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