健康経営銘柄、健康経営優良法人2024のホワイト500・ブライト500の違いと申請の流れ
健康経営優良法人は、特に優れた健康経営®(※)に関する取り組みを行っている法人が認定を受けられる顕彰制度です。
健康経営優良法人2024への認定を目指して健康経営に取り組もうとお考えの企業の担当者のなかには「認定制度にはどのような種類があるのか」「認定されるまでの流れを知りたい」と調べている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、健康経営優良法人2024のホワイト500・ブライト500の違いや認定基準、申請の流れについて解説します。
※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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目次[非表示]
健康経営銘柄とは
健康経営銘柄とは、経済産業省および東京証券取引所が共同で行っている国民の寿命や健康に関する取り組みです。
本制度では、特に優れた健康経営を実践している上場企業を健康経営銘柄に選定して、投資家にとって魅力ある企業として紹介することで、企業による従業員への健康に関する取り組みが促進されることを目指しています。なお、健康経営銘柄2024の選定は、2023年10月13日までに提出する健康経営度調査の回答に基づく評価から行われます。
健康経営優良法人2024とは
健康経営優良法人2024とは、経済産業省が健康経営の普及・促進に向けて優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。
健康経営を意欲的に実施している企業を見える化することで、従業員の健康維持・増進に取り組む優良な法人として社会的な評価を受けられます。
人材を資源ではなく“資本”と捉えて価値を最大限に引き出す“人的資本経営”の土台になる戦略的な取り組みとして関心が高まっています。
健康経営優良法人には、特に優秀な法人を認定する“ホワイト500”と“ブライト500”の2種類の制度が存在します。ホワイト500とブライト500の違いは、申請する企業の規模です。ホワイト500は大規模企業の上位500法人に、ブライト500は中小規模法人の上位500法人に対してそれぞれ認定されます。
なお、健康経営優良法人2024から、ブライト500となった企業にはフィードバックシートが送付されることになりました。各施策の偏差値などの評価結果が記載されており、自社の取組の改善に活用いただけます。
出典:経済産業省『健康経営優良法人認定制度』
健康経営優良法人2024に認定されるメリット
健康経営優良法人2024に認定されると、以下のメリットが期待できます。
▼メリット
- インセンティブを受けられる
- 公共調達の加点がある
- 優秀な人材の獲得や定着化につながる
金融機関や保険会社、自治体などでは健康経営優良法人に認定された企業に対してインセンティブを提供しています。具体的なインセンティブとして、自治体からの助成金や金融機関の融資を受けやすくなったり、保険会社の保険料が割り引かれたりすることが挙げられます。
また、健康経営優良法人の認定を受けると公共調達の加点を受けられるようになるため、国の事業や工事の入札時に有利になると考えられます。
そのほか、従業員の健康保持・増進に取り組む企業は社会的なイメージが向上して、優秀な人材の獲得や定着につながることも期待できます。
出典:経済産業省『健康経営の推進について』
なお、健康経営の推進に関するメリットはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
健康経営優良法人2024の認定基準
健康経営優良法人2024の認定を受けるには、認定基準に定められた項目に該当する取り組みを実施する必要があります。大規模法人部門と中小規模法人部門では、経営理念・方針と組織体制に関する認定基準が異なります。
中小規模法人部門の認定申請書には、各評価項目の設置趣旨および適合基準が丁寧に記載されています。大規模法人での申請をされる場合でも確認されると、設問の意図の理解を深めやすくなるでしょう。
▼大規模法人部門の認定基準
大項目 |
評価項目 |
認定要件 |
|
大規模 |
銘柄・ホワイト500 |
||
1.経営理念・方針 |
健康経営の方針等の社内外への発信 |
必須 |
|
従業員パフォーマンス指標および測定方法の開示 |
ー |
必須 |
|
1.トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること |
1~16のうち13項目 |
必須 |
|
2.組織体制 |
健康づくり責任者が役員以上 |
必須 |
|
産業医・保健師の関与 | |||
健保組合等保険者との協議・連携 | |||
3.制度・施策実行 |
健康経営の具体的な推進計画 |
必須 |
|
2.従業員の健康診断の実施(受診率100%) |
1~15のうち13項目以上 |
2~16のうち13項目以上 |
|
3.受診勧奨の取り組み | |||
4.50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 | |||
5.管理職又は従業員に対する教育機会の設定 | |||
6.適切な働き方の実現および育児・介護の両立支援の取り組み | |||
7.コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み | |||
8.私病等に関する復職・両立支援の取り組み(⑭以外) | |||
| |||
10.食生活の改善に向けた取り組み | |||
11.運動機会の増進に向けた取り組み | |||
12.女性の健康保持・増進に向けた取り組み | |||
13.長時間労働者への対応に関する取り組み | |||
14.メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み | |||
15.感染症予防に関する取り組み | |||
16.喫煙率低下に向けた取り組み | |||
受動喫煙対策に関する取り組み |
必須 |
||
4.評価・改善 |
健康経営の実施についての効果検証 |
必須 |
|
5.法令遵守・リスクマネジメント |
定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと、等 |
必須 |
ACTION!健康経営『健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)認定要件』を基に作成
▼中小規模法人部門の認定基準
大項目 |
評価項目 |
認定要件 |
|
1.経営理念・方針 |
健康宣言の社内外への発信および経営者自身の健診受診 |
必須 |
|
2.組織体制 |
健康づくり担当者の設置 |
||
(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供 | |||
3.制度・施策実行 |
健康経営の具体的な推進計画 |
||
1.定期健診受診率(受診率実質100%) |
1~3のうち2項目以上 |
ブライト500は1~15のうち13項目以上 |
|
2.受診勧奨の取り組み | |||
3.50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 | |||
4.管理職または従業員に対する教育機会の設定 |
4~7 |
||
5.適切な働き方実現に向けた取り組み | |||
6.コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み | |||
7.私病等に関する両立支援の取り組み(13以外) | |||
8.保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み |
8~15 のうち 4項目以上 |
||
9.食生活の改善に向けた取り組み | |||
10.運動機会の増進に向けた取り組み | |||
11.女性の健康保持・増進に向けた取り組み | |||
12.長時間労働者への対応に関する取り組み | |||
13.メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み | |||
14.感染症予防に関する取り組み | |||
15.喫煙率低下に向けた取り組み | |||
受動喫煙対策に関する取り組み |
必須 |
||
4.評価・改善 |
健康経営の取り組みに対する評価・改 |
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5.法令遵守・リスクマネジメント |
定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基 |
ACTION!健康経営『健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件』を基に作成
なお、大規模法人部門と中小規模法人部門の区分については、業種や従業員数に応じて以下の2つに分類されています。
▼部門の区分
【部門の区分】
(1)「会社法上の会社等」または「士業法人」の場合
業種 |
大規模法人部門 |
中小規模法人部門(いずれかに該当すること) |
|
従業員数 |
従業員数 |
資本金または出資金額 |
|
卸売業 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
1億円以下 |
小売業 |
51人以上 |
1人以上50人以下 |
5,000万円以下 |
サービス業 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
5,000万円以下 |
製造業その他 |
301人以上 |
1人以上300人以下 |
3億円以下 |
※従業員数が大規模法人部門に該当し、かつ、資本金または出資金額が中小規模法人部門に該当する場合は、大規模法人部門・中小規模法人部門のいずれかに申請することが可能です。
(2)「会社法上の会社等」「士業法人」以外の場合(※従業員数のみで区分)
法人分類 |
大規模法人部門 |
中小規模法人部門 |
従業員数 |
従業員数 |
|
特定非営利活動法人 |
100人以上 |
1人以上100人以下 |
医療法人、社会福祉法人、健保組合等保険者 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
社団法人、財団法人、商工会議所・商工会 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
公法人、特殊法人(地方公共団体、独立行政法人、公共組合、公団、公社、事業団等)
|
301人以上 |
1人以上300人以下 |
法人分類 |
業種 |
大規模法人部門 |
中小規模法人部門 |
従業員数 |
従業員数 |
||
その他、国内法
(保険業法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、私立学校法、宗教法人法等)に基づく法人
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卸売業 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
小売業 |
51人以上 |
1人以上50人以下 |
|
サービス業 |
101人以上 |
1人以上100人以下 |
|
製造業その他 |
301人以上 |
1人以上300人以下 |
※健康経営度調査は、大規模法人部門に該当しない法人でも回答は可能です。(認定を取得することはできません。)
画像引用元:ACTION!健康経営『部門の区分』
会社の形態や業種、従業員数によって区分が異なるため、申請の際は自社がどの区分に該当するのかを事前に確認することが重要です。
健康経営優良法人2024に申請する流れ
健康経営優良法人2024は、大規模法人部門と中小規模法人部門によって申請の流れや申請期間、申請料が異なります。
大規模法人部門の場合
大規模法人部門の場合は、以下の手順で申請を行います。
▼申請の流れ
-
過去の登録メールアドレス宛、もしくは 申請ID発行時に登録したメールアドレスに届く専用ページへログインし、『健康経営優良法人認定申請書』をダウンロードして、自社の取り組み状況を記載してアップロードする
※新規申請ID発行については『ACTION!健康経営』をご覧ください - 申請期間の終了後に送付される請求書で申請料を支払う
- 申請内容に基づいて認定委員会にて申請審査が行われる
- 要件を満たしている場合、日本健康会議によって健康経営優良法人に認定される
▼申請期間
2023年8月21日(月)~2023年10月13日(金)17時
▼認定申請料
80,000円(税込88,000円)/件
大規模法人部門への申請にあたっては、保険者による健康宣言事業への参加は必須とされていませんが、認定要件を満たすには保険者との連携が必要です。健康経営に取り組む際は、保険者との連携体制を整えておくことが重要です。
中小規模法人部門の場合
中小規模法人部門における申請の流れは以下のとおりです。
▼申請の流れ
- 加入している保険者が実施している健康宣言事業に参加する
申請ID発行時に登録したメールアドレスに届く専用ページへログインし、『健康経営優良法人認定申請書』をダウンロードして、自社の取り組み状況を記載してアップロードする
※新規申請ID発行については『ACTION!健康経営』をご覧ください申請期間の終了後に送付される請求書で申請料を支払う
- 申請内容に基づいて認定委員会にて申請審査が行われる
- 要件を満たしている場合、日本健康会議によって健康経営優良法人に認定される
▼申請期間
2023年8月21日(月)~2023年10月20日(金)17時
▼認定申請料
15,000円(税込16,500円)/件
中小規模法人部門の申請にあたっては、企業が加入している健康保険組合連合会や全国健康保険協会などの保険者が実施している健康宣言事業に参加する必要があります。詳しくは、保険者にお問い合わせください。
なお、各申請書をダウンロードする際は、事前に申請用IDの発行サイトでIDを取得する必要があります。IDの取得後に、登録したメールアドレス宛てに申請書をダウンロードできるページの情報が記載されています。
2024年より追加される健康経営度調査の項目
ホワイト500に選ばれるためには、「健康経営度調査」に回答して、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件を満たしていることを示さなければなりません。
調査項目は都度変更が加えられることがあり、「健康経営優良法人2024」では3つの要素が新たに加わりました。近年の重要な変化として参考にしてください。
情報開示の促進
「健康経営優良法人2024」では、従来よりもさらに詳細な情報開示が求められるようになりました。
特定健診・特定保健指導の実施率や、業務パフォーマンス指標の測定と開示が評価対象になったほか、労働安全衛生・リスクマネジメントの開示状況について問う設問も追加されました。
社会課題への対応
近年、子育てや親の介護、女性特有の健康課題等による従業員の心身の負担が社会的な課題となっています。そこで「健康経営優良法人2024」では、従業員個々の事情に応じた柔軟な働き方や生産性低下防止に関する設問が新たに追加されました。
ワークライフバランスの推進や、女性特有の健康課題への配慮が今まで以上に求められます。
健康経営の国際展開
評価には含まれませんが、「健康経営の国際展開」の要素も増えました。海外拠点での健康経営の実施方針や実施状況を問う質問項目が追加されています。
「健康経営優良法人2024」では評価に含まれなかったものの、将来的に健康経営を海外拠点に波及させられているかが評価項目として問われるようになる可能性はあります。
まとめ
この記事では、健康経営優良法人2024について以下の内容を解説しました。
- 健康経営優良法人2024の概要
- 健康経営優良法人に認定されるメリット
- 健康経営優良法人2024の認定基準
- 健康経営優良法人に申請する流れ
2024年より追加される健康経営度調査の項目
従業員の健康保持・増進の取り組みを投資と捉える健康経営は、人的資本経営の土台となり社会的な評価に結びつくと考えられます。今いる従業員の安心・信頼を醸成できるだけでなく、金融機関や自治体、ビジネスパートナーなどからの評価が高まることで、企業にさまざまなメリットがもたらされると期待できます。
大規模法人部門と中小規模法人部門では申請の流れや期間などが異なるため、スムーズに手続きを行うために事前に確認・準備を進めておくことが大切です。
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