ストレスを糧にする“メンタルタフネス”とは
新型コロナウイルス感染症の流行を受けて以降、テレワークや外出自粛などにより、人々がストレスを抱えやすい環境下にあるといえます。
また、近年、従業員の健康を支援することにより、従業員一人ひとりの活力向上、ひいては組織全体の活力向上や生産性向上を図る“健康経営”に向けた取組みが推進されています。
従業員の心と体の健康を守るうえでも、メンタルタフネスを目指すことは重要です。メンタルケアや健康支援など、心と体の健康に関する取組みを実施している企業さまも多いのではないでしょうか。従業員のメンタルヘルス対策は、ストレスチェックを受けた後、必要に応じて産業医との面談によるメンタルケアを行うのが一般的です。
しかし、「対象者が面談を受けたがらない」「面談が必要な従業員が増えている」など、対策に困っている企業さまもいます。
そこでこの記事では、従業員がメンタル不調に陥る前に、ストレスを適切に受け止めて成長の“糧”にする力を養う“メンタルタフネス”について解説します。
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目次[非表示]
- 1.メンタルタフネスとは?
- 2.ストレッサーとストレスの関係
- 3.ストレス反応のメカニズム
- 4.まとめ
メンタルタフネスとは?
メンタルタフネスとは、ストレッサー(※)に対して、“良い思考”で判断を行い、適切な感情や行動を起こせる状態を指します。
起こった事実は変えられませんが、事実に対する受け止め方を変えることで、心と体を良い状態で保てるようになります。
しかし、メンタルタフネスは誰もが自然に実践できるわけではありません。同じ出来事でも、深く思い悩んでしまう人もいれば、まったく気にならない人もいます。
※ストレッサーとは、ストレスの要因となる刺激や出来事のこと。
出典:経済産業省『健康経営』
ストレッサーとストレスの関係
メンタルタフネスを目指すためには、根本となる“ストレス”と“ストレッサー”との関係を正しく理解することが大切です。
ストレッサーとは
ストレッサーとは、ストレスの要因となる刺激や出来事を指します。ストレッサーは大きく分けて次の4つに分類できます。
▼4つのストレッサー
- 環境的ストレッサー(天災・人災など)
- 社会的ストレッサー(仕事・家庭など)
- 身体的ストレッサー(加齢・病気など)
- 心理的ストレッサー(人間関係など)
ストレス反応とは
ストレスとは、ストレッサーによって引き起こされる、心や体、行動に表れる反応のことです。
ストレッサーによって、次のようなストレス反応を示すことがあります。
▼ストレス反応の例
- 体に対する反応(不眠・頭痛・胃痛・めまいなど)
- 感情や考え方に対する反応(集中力の低下・自信喪失・不安・イライラなど)
- 行動に対する反応(孤独感・人と話すことが怖くなるなど)
主に4つのストレッサーが要因となり、ストレス反応を引き起こすとされています。
しかし、ここで重要なのが、ストレッサーは必ずしもストレス反応を引き起こすとは限らないということです。
ストレス反応のメカニズムについて、次項でもう少し掘り下げて解説します。
ストレス反応のメカニズム
ストレス反応は、アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリス氏が提唱する『ABC理論』に当てはめると、次のようなメカニズムで引き起こされます。
▼ABC理論
段階 |
行動の流れ |
Activating event(出来事) |
思いどおりに変えることのできない出来事、事実 |
Belief(認知・判断) |
出来事の解釈次第で、良くも悪くも捉えられる |
Consequence(結果) |
認知する方法で結果が変わる |
たとえば、起こった事実(A:出来事)を悪い思考(B:認知)で捉えれば、不適切な感情や行動(C:結果)につながるという仕組みです。
悪い思考とは、根拠のない決めつけをしたり、過大・過小評価をしたりすることが挙げられます。こうした悪い思考は、考え方のクセが影響していると考えられています。悪い思考のクセを修正することで、メンタルタフネスに近づけるようになります。
起こった事実は変えられませんが、考え方や捉え方はトレーニングをすることでコントロールが可能です。
考え方や捉え方を変えれば、結果として感情や行動が変化します。良い思考になれば、ストレッサーがストレス反応を引き起こさないこともあります。
ストレス反応のメカニズムを知り、悪い思考に陥る原因を自分で発見することが大切です。
悪い思考のクセと改善方法については、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、メンタルタフネスについて、以下の内容を解説しました。
- メンタルタフネスとは
- ストレッサーとストレスの関係
- ストレス反応のメカニズム
人の感情は、出来事の事実そのものではなく、“事実をどのように受け止めるのか”によって変化します。そのため、ストレッサーに対して“良い思考”で受け止めるか、“悪い思考”で受け止めるかによってストレス反応に違いが生じます。
前述のとおり、起こった事実は変えられませんが、それをどのように認知するかは自己コントロールが可能な部分です。
『ルネサンス』では、メンタルタフネスセミナーを開催しております。セミナーではワークを通して、参加者の気付きを促すことで、自分でコントロールできるように導きます。
メンタルタフネスセミナーについてはこちらをご確認ください。
心と体の健康を守るためにも、メンタルタフネスセミナーでトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか。
また、以下の記事でもメンタルタフネスについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。