【ストレス対処】ストレッサーを認知するときの“悪いクセ”と改善方法
ストレス社会といわれている現代では、ストレスをどのようにコントロールするかは、仕事において大きな影響を与えます。
厚生労働省が実施している『国民生活基礎調査』によると、12歳以上の国民のうち約半数が「日常生活でストレスやストレスがある」と回答していることが分かっています。
また、男女別でみても、30〜50代でストレスがある人の割合が高いことが明らかです。
画像引用元:厚生労働省『グラフでみる世帯の状況』
企業としては、健康経営に取り組んで、従業員が心身ともに健康な状態で働けるような環境づくりが必要です。
しかし、「ストレス対策に取り組みたいけれど、何から始めればよいか分からない」「良い施策が見つからない」と悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。
ストレスとの向き合い方に関する有効な方法として、ストレスを糧に成長するためのトレーニングがあります。
この記事では、トレーニングを実施するにあたって知っておきたい、ストレッサー(※)を認知するときの悪いクセと改善方法について解説します。
※ストレッサーとは、ストレスの要因となる刺激や出来事のこと。
出典:厚生労働省『国民生活基礎調査』『グラフでみる世帯の状況』
目次[非表示]
- 1.ストレッサーの種類
- 2.ストレッサー認知の改善方法
- 3.まとめ
ストレッサーの種類
心身に影響を与えるストレッサーは、主に以下の4種類に分けられます。
- 物理的ストレッサー・・・例: 温度の変化、騒音、光の強さなど。環境からの物理的な刺激が原因
化学的ストレッサー・・・例: 公害物質、薬物、アルコール、タバコ、食品添加物など。化学物質による刺激が原因
生物的ストレッサー・・・例: 細菌、ウイルス、花粉、カビなど。生物による感染やアレルギー反応が原因
心理的・社会的ストレッサー・・・例:人間関係のトラブル、仕事のプレッシャー、家庭の問題などが原因
ストレッサーを認知するときの悪いクセ
ストレスは、ストレス反応とも呼ばれており、ストレッサーを認知するときの悪いクセで引き起こされる場合があります。
ストレスに対処するためには、この悪いクセを根本から修正することが大切です。また、悪いクセは、非合理的な考え方が関与している場合もあります。
アメリカの精神科医であるアーロン・ベック氏は、歪んだ考え方や物事の捉え方を修正することで、柔軟的かつ現実的な考え方や行動ができるようにサポートする治療法を提唱しました。
ストレッサーを認知しやすい、考え方の悪いクセには、以下のような例が挙げられます。
▼問題になりやすい10の考え方のクセ
①根拠のない決めつけ |
根拠や証拠がないのにもかかわらず、自身の思い込みを事実だと決めつけてしまう |
②二分割思考 |
曖昧でも問題ないものごとを曖昧にできず、白黒はっきりさせたがってしまう |
③部分的焦点づけ |
自身が気にしていることに捉われるあまり、短絡的な判断をしてしまう |
④過大・過小評価 |
自身が関心を持っているものごとは過大に、自身が関心のないものごとは過小に評価してしまう |
⑤すべき思考 |
「あるべき」「するべき」と自身の行動を制限するほか、相手にもそれを要求してしまう |
⑥過度の一般化 |
一度の失敗で、すべてがうまくいかないと決めつけてしまう |
⑦自己関連づけ |
悪いことが起きると、なんでも自身の責任に感じてしまう |
⑧情緒的理由づけ |
その時々に起きる自身の感情を基準として、過度に現実を判断してしまう |
⑨自己成就予言 |
自身の判断で否定的な仮説を立て、その仮説どおりに行動してしまう |
⑩早急な結論づけ |
他人の気持ちを憶測したり、近い将来を勝手に予測して結論を出したりしてしまう |
上記のような考え方の悪いクセは歪んだ認知に基づいており、ストレスを生み出しやすい思考です。複数の考え方が関与していることも多いといわれています。
こうした考え方で物事を認知すると、次のようにネガティブな感情がストレス反応として表れる場合があります。
▼ネガティブな感情の代表例
- 怒り・激怒
- 嫌悪感
- 悲しみ
- 恐怖
- 落ち込み
- 不安
- 罪悪感
- パニック
- 寂しい など
ネガティブな感情がつらいときに、考え方のクセに気づくことができれば、意識して修正することが可能です。
ストレス反応のメカニズムに関しては、こちらの記事でも解説しています。ぜひご一読ください。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『認知療法』
ストレッサー認知の改善方法
ストレッサーを認知する考え方の悪いクセは、アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリス氏が提唱する『ABCDE理論』に当てはめてトレーニングすることで、改善が期待できます。
▼ABCDE理論
段階 |
行動の流れ |
Activating event(出来事) |
思いどおりに変えることのできない出来事、事実 |
Belief(認知・判断) |
出来事の解釈次第で、良くも悪くも捉えられる |
Consequence(結果) |
認知する方法で結果が変わる |
Dispute(反論) |
Bの部分でなぜそのように捉えたのか、繰り返し反論と検証を行う |
Effect(効果) |
悪い思考を良い思考に変える自己コントロール力 |
不適切な感情・行動を行ってしまった際は、なぜそうなったのか、Bの悪い思考のクセに気づくこと、そしてクセを理解することが重要です。
クセに気づいて理解できたら、Dの反論と検証でクセの課題を発見して、意識して修正することでCの結果が変わっていきます。
出来事は変えられないが、捉え方はコントロールできるため、良い考え方のクセをつければ、ストレスにつながりにくくなるということです。
まとめ
この記事では、ストレスの認知方法について、以下の内容で解説しました。
- ストレッサーの種類
- ストレッサーを認知するときの悪いクセ
- ストレッサー認知の改善方法
ストレッサーを認知するときの悪いクセは、自分で気づくことで修正できます。
トレーニングによって悪い思考を良い思考に改善して、ストレスをコントロールすることは、仕事のパフォーマンスを最大限に発揮するためにも重要です。
企業として従業員の心と体の健康を守るためにも、ストレスにつながりやすい悪い思考のクセを修正するトレーニングを検討してみてはいかがでしょうか。
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また、以下の記事でもストレスについて詳しく解説しています。ぜひご一読ください。