介護DXの進め方とは?事例でわかる導入5ステップを徹底解説

介護現場では、人手不足や記録業務の負担増など、日々の業務に限界を感じている施設が増えています。こうした課題を根本から解消するカギが「介護DX」です。
本記事では、
- 介護DXの意味・ICT化との違い
- 導入する必要性
- 現場/経営の両面で得られる効果
- 成功事例とDXを進めるためのステップ
をわかりやすく整理し、DXを進めたい方に役立つ内容です。
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目次[非表示]
- 1.介護業界で注目される「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは
- 2.なぜ介護事業にDXが必要なのか
- 3.DXによって得られる主な効果
- 3.1.業務効率化と記録作業の削減
- 3.2.人材不足対策と働きやすい職場づくり
- 3.3.データ活用による経営判断の精度向上
- 4.介護事業でDXを進める5つのステップ
- 4.1.ステップ1 | 現状の課題を可視化する
- 4.2.ステップ2 | 優先順位を決めてツールを選定する
- 4.3.ステップ3 | 補助金・支援制度を上手に活用する
- 4.4.ステップ4 | 現場に定着させる
- 4.5.ステップ5 | 効果を測定し、継続的に改善する
- 4.6.介護DXでよくある失敗と回避策
- 5.【事例】ルネサンスが支援する介護DXの成功モデル
- 5.1.【専門職不足をカバー】マニュアル化により属人化しない口腔ケアを実現(かたぎりリハビリセンター様)
- 5.2.【成果の可視化】科学的根拠に基づくデータ管理で他社と差別化(株式会社INSEAC様)
- 5.3.【多拠点・加算DXの横展開】未算定から最大87%の算定率を8拠点で実現(社会福祉法人伸こう福祉会様)
- 5.4.【業務負荷軽減と利用者満足の両立】「シナプソロジー×オンライン体操教室」で差別化と笑顔を実現(株式会社三楽デイサービス いとぐるま様)
- 6.まとめ|DXは介護現場の「未来への投資」
介護業界で注目される「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは
DXの基本的な意味と介護分野での特徴
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務やサービスの仕組みを根本から変革し、より良い価値を生み出すこと を意味します。
介護分野においては、単にパソコンやアプリを導入するだけでなく、「職員の働き方」「情報の共有方法」「利用者へのサービス提供の仕組み」など、業務全体のあり方をデジタル技術で変える ことがDXの本質です。たとえば、紙の記録をクラウドに移行することで、
- 情報共有がスムーズになり、職員間の連携が強化される
- 利用者の状態変化をリアルタイムに確認できる
- 管理者が現場の状況を即座に把握できる
といった効果が生まれます。こうした取り組みの積み重ねが、介護現場の生産性とサービス品質の向上につながります。
ICT化との違いをわかりやすく解説
「ICT化(情報通信技術の活用)」と「DX」は混同されがちですが、目的が異なります。
項目 | ICT化 | DX |
主な目的 | 業務の一部をデジタル化する | 業務や組織全体を変革する |
例 | 紙の記録を電子化する | 記録データを分析して業務改善や経営判断に活かす |
範囲 | 部分的 | 全体的(業務・人材・経営) |
つまり、ICT化は「DXへの第一歩」です。デジタル化で得たデータをどのように活用し、業務や組織文化を変えていくか―そこにこそ、DXの本当の価値があります。
なぜ介護事業にDXが必要なのか
現場の人手不足・業務負担の深刻化
介護業界では、少子高齢化の進行とともに慢性的な人手不足が続いています。現場職員1人あたりの業務量は年々増加し、「記録業務に追われて利用者と向き合う時間が減っている」という声も多く聞かれます。
DXを導入することで、
- 日々の記録や報告書の自動化
- スケジュール管理の効率化
- 情報共有のスピードアップ
といった業務の“無駄”を削減できます。結果として、職員が本来の介護業務に集中でき、「人が足りないから忙しい」という悪循環を断ち切るきっかけになります。
利用者満足度とサービス品質の向上
介護の質を高めるには、職員が心身ともに余裕を持って働ける環境が欠かせません。
DXの導入によって、
- 利用者の状態やケア内容をリアルタイムで把握
- 複数職員間での情報共有ミスを防止
- 個別ケアの質を維持・改善
といった「見える化」されたケア体制を構築できます。
また、デジタルツールで蓄積したデータをもとに、利用者一人ひとりに合ったサービスを提供することで、家族や本人の満足度向上にもつながります。
経営面での効率化・情報共有の重要性
介護施設では、現場だけでなく経営層の意思決定スピードも求められます。
DX化によって、
- 入居状況、稼働率、加算算定状況などをデータで可視化
- 複数拠点間の情報をリアルタイム共有
- 管理者が数字に基づく判断を迅速に行える
といった経営のデータドリブン化が可能になります。
これにより、限られた人員と時間で最大の成果を上げる“持続可能な経営”を実現できます。DXは、単なる「現場の効率化ツール」ではなく、経営戦略の中心となる取り組みとして位置づけることが重要です。
DXによって得られる主な効果
業務効率化と記録作業の削減
介護現場では、「記録業務に多くの時間を取られている」という課題が長年続いています。手書きや転記の手間、報告書作成の負担などが重なり、本来のケアに充てる時間が圧迫されがちです。
DXを導入することで、
- タブレットや音声入力による記録自動化
- 情報のリアルタイム共有による二重入力の防止
- 加算算定の自動チェックによるミス削減
といった業務の省力化が可能になります。
人材不足対策と働きやすい職場づくり
介護業界では、慢性的な人材不足に加え、職員の教育・育成の時間を確保することも難しい状況です。
DXを活用すれば、
- オンライン研修でいつでも学習可能
- 教育コンテンツを共有して新人教育を効率化
- スキルアップによる離職防止・モチベーション向上
といった「教育DX」を実現できます。
弊社のオンライン体操教室 は、プロのインストラクターによるライブ配信型の体操教室で、認知機能低下予防メソッド「シナプソロジー®」を組み合わせたプログラムです。単なる体操プログラムではなく、職員の人材育成・業務効率化・サービス差別化を支援する、「教育DX × 健康支援DX」の両面を実現します。
データ活用による経営判断の精度向上
DXによって蓄積されたデータは、経営判断や業務改善のための“資産”になります。
- 職員の稼働状況や介護記録データを分析
- 稼働率や加算取得率を可視化
- 改善ポイントを数値的に把握
これにより、「経験と勘」ではなく、データに基づいた戦略的な経営判断が可能になります。また、定量的なデータを共有することで、現場職員と経営層の間に共通の“数字の言語”が生まれ、チーム全体の意識統一にもつながります。
介護事業でDXを進める5つのステップ
介護DXは「システムを導入すること」がゴールではありません。現状の課題を数字で把握し、優先順位をつけて着手し、現場に定着させ、効果を測定して改善を続ける。この一連の流れを繰り返すことで、初めて成果につながります。ここでは、実務で押さえておきたい5つのステップを紹介します。
ステップ1 | 現状の課題を可視化する
最初に取り組むべきは、「何に」「どれくらいの時間がかかっているか」を数字で把握することです。
- 記録業務や申し送り、シフト作成など、主要な間接業務にかかっている時間を1〜2週間ほど記録する
- 現場職員へのヒアリングを行い、「どの作業が負担に感じられているか」を具体的に聞き取る
- 洗い出した課題は文書として残しておく(後の効果測定の比較基準になります
感覚や印象だけで課題を判断すると、実際の負担と対策がずれてしまうことがあります。まずは実態を数字で押さえることが、DX成功の土台になります。
ステップ2 | 優先順位を決めてツールを選定する
課題が見えてきたら、すべてを一度に進めようとせず、効果が出やすい領域から着手することが重要です。
- 記録業務、情報共有・申し送り、見守り・安全管理、シフト・労務管理など、領域ごとに「効果の大きさ」と「導入のしやすさ」を整理する
- 比較的取り組みやすい領域(情報共有ツールやシフト管理など)から始め、現場が成功体験を得られるようにする
- ツール選定では、価格や機能だけでなく、既存システムとの連携や現場職員が実際に使いこなせる操作性を重視する
一度に多くのツールを導入すると現場が混乱しやすいため、1〜2領域に絞って進めることをおすすめします。
ステップ3 | 補助金・支援制度を上手に活用する
介護業界では、国や自治体がDX推進のための補助金や支援制度を多数用意しています。特に「介護ロボット導入支援事業」「ICT導入支援補助金」※などは、システム導入費用の一部をカバーできる有用な制度です。
※自治体によって名称が異なる場合があります。
また、こうした支援を活用すれば初期コストを抑えてスタートできます。補助金の申請にはスケジュールや要件確認が必要なため、早めに情報収集を行い、支援機関やベンダーと連携しながら進めることが成功の鍵です。
この3ステップを意識すれば、DX導入は決して難しいものではありません。大切なのは、「完璧を目指すより、一歩を踏み出すこと」です。最初の小さな成功体験が、現場全体の意識を変える原動力になります。
ステップ4 | 現場に定着させる
ツールを導入しただけでは効果は生まれません。現場が日常的に使いこなせる状態になって初めて、DXの効果が数字に表れます。
- 紙とシステムを並行運用する期間は最小限にとどめ、切り替え時期を明確に決める
- 各シフト・各フロアに操作に慣れた職員を「推進担当」として配置し、現場から質問しやすい体制をつくる
- 一度に長時間の研修を行うより、短い説明を繰り返し行い定着させる
現場の協力なしにDXは進みません。使う人の目線に立った導入設計が定着の鍵になります。
ステップ5 | 効果を測定し、継続的に改善する
導入から一定期間が経過したら、ステップ1で把握した課題と比較し、効果を数字で確認します。
- 記録業務にかかる時間、残業時間、ツールの利用率など、着手前に洗い出した課題に対応する指標で比較する
- 効果が出ていない場合は、運用方法や対象業務を見直す
- 一度の導入で終わらせず、四半期など定期的なタイミングで振り返りを行う
「理解 → 実践 → 改善」のサイクルを回し続けることで、DXの効果は少しずつ積み上がっていきます。
介護DXでよくある失敗と回避策
介護DXを進めるうえで、多くの施設が同じようなつまずきを経験しています。事前に典型的な失敗パターンを知っておくことで、無用な遠回りを避けやすくなります。
(1)目的があいまいなままツール導入を進めてしまう
展示会や営業提案をきっかけに導入を決め、何をどれだけ改善したいのかが定まっていないケースです。効果を測る基準がないため、導入後に「なんとなく便利になった」で終わってしまいがちです。ステップ1の現状把握を省略しないことが対策になります。
(2)現場を巻き込まずに意思決定してしまう
経営層だけで選定を終えると、実際に使う職員の操作性の問題が導入後に判明することがあります。選定段階で現場職員に触ってもらい、使い勝手を確認するプロセスを入れましょう。
(3)補助金ありきで導入を決めてしまう
対象になるからという理由だけで必要性の低い機器を導入すると、自己負担分や維持費用が無駄になることがあります。補助金は手段であり、自施設の課題に合っているかを先に判断することが大切です。
(4)効果測定を行わずに終わらせてしまう
導入後に振り返りを行わないと、改善の余地が見えないまま投資が単発で終わってしまいます。ステップ5で触れた通り、定期的な効果測定を業務の一部として組み込むことが重要です。
【事例】ルネサンスが支援する介護DXの成功モデル
【専門職不足をカバー】マニュアル化により属人化しない口腔ケアを実現(かたぎりリハビリセンター様)
- 直面していた課題: 利用者満足度の向上と、誤嚥性肺炎のリスク低減を考える中で、口腔・嚥下リハビリの提供を検討していた。しかし、施設内に歯科専門職が不在であったため、具体的なサービス拡充のあり方について悩みを抱えていた。
- DXによる解決策: 通所介護向け加算取得支援サービス『R-Smart』を導入。利用方法が詳細にマニュアル化されており、スタッフへの教育を含めてスムーズな運用が可能であると判断し、専門職がいなくても現場スタッフが手軽に実施できる体制を構築した。
- 導入後の変化と成果: 算定への同意を得るための説明方法などのサポートも活用した結果、運用開始後(2023年6月時点)で利用者80名中76名という高い実施率を達成。利用者からは「飲み込みやすくなった」「ビールの喉越しが良くなった」といった、生活の質(QOL)向上を実感する声が具体的に上がっている。この事例の詳細を見る
【成果の可視化】科学的根拠に基づくデータ管理で他社と差別化(株式会社INSEAC様)
- 直面していた課題: 科学的根拠に基づくプログラムの提供や、成果を提供することにこだわりを持って運営していたが、嚥下については体操を行っていたものの、効果が出ているのかわからない状態であった。また、全店舗に看護師が常駐している一方で、導入前は看護師が主体となって行う業務が多くないという側面もあった。
- DXによる解決策: 科学的な根拠に基づいた訓練と成果の「見える化」が可能である『R-Smart』を導入。看護師がEMS(電気刺激療法)機器の活用など、主体的にプログラムを運用する体制を構築した。
- 導入後の変化と成果: 当初20%に設定していた算定率目標を大幅に超え、導入2ヶ月目には利用者の54%が算定を開始。利益面でも黒字スタートを達成した。看護師が専門性を活かして主体的に取り組む姿はスタッフのやりがい醸成に繋がっており、ケアマネジャーからも注目を受けるなど、他施設との差別化要因となっている。この事例の詳細を見る
【多拠点・加算DXの横展開】未算定から最大87%の算定率を8拠点で実現(社会福祉法人伸こう福祉会様)
- 直面していた課題: コロナ禍により利用者の利用休止や入所施設への移行が相次ぎ、収益が大幅に減少していた。「収入の増加」と「同業他社との差別化」を図れる施策を模索する中で、口腔機能訓練加算の算定要件は満たしていたものの実施できていない状況が続いていた。また、8拠点で帳票が統一されておらず、多様な職員構成でも一貫して運用できるシステムを求めていた。
- DXによる解決策: 通所介護向け加算取得支援サービス『R-Smart』を1拠点で試験導入し、手応えを確認した上で他5拠点へ展開。誰でも扱える操作性の高さと、困ったときにすぐ相談できるルネサンスのサポート体制が、多拠点への横展開を可能にした。帳票の統一と、LIFE(科学的介護情報システム)の入力・提出の効率化も同時に実現した。
- 導入後の変化と成果: 口腔機能訓練加算の未算定状態からスタートし、最大87%の算定率を実現。各拠点とも導入から約3か月で運用が軌道に乗り、拠点間のヘルプや異動など流動的な場面でも、システムの引き継ぎや職員教育が円滑に行えるようになった。業務負荷・入力エラーの削減にも効果が出ている。この事例の詳細を見る
【業務負荷軽減と利用者満足の両立】「シナプソロジー×オンライン体操教室」で差別化と笑顔を実現(株式会社三楽デイサービス いとぐるま様)
- 直面していた課題: レクリエーションの企画・準備・提供にかかる業務負荷が大きく、現場スタッフが担うレクリエーション提供にマンネリ化の兆しも出始めていた。定員13名の小規模デイサービスとして他施設との差別化を図る必要があり、利用者数を伸ばすための新たなプログラムを模索していた。
- DXによる解決策: ルネサンスの「オンライン体操教室」と認知機能低下予防メソッド「シナプソロジー」をW活用する形で導入。プロのインストラクターによるライブ配信型プログラムを活用することで、現場スタッフが毎回レクリエーションを一から企画・準備する必要がなくなり、業務負荷を大幅に軽減。認知機能低下予防と運動(機能訓練)を理想的な配分で無理なく提供できる体制を整えた。
- 導入後の変化と成果: 利用者の笑顔が増え、認知症予防・生活機能の維持といった実施目的を説明することで利用者の理解も得やすくなった。レクリエーション関連の業務負荷軽減。小規模施設における他施設との差別化にも貢献している。
まとめ|DXは介護現場の「未来への投資」
介護事業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務のデジタル化ではなく、「現場を支える人の時間を取り戻し、サービスの質を高めるための投資」です。
理解 → 実践 → 改善のサイクルを回す
DXは一度導入して終わりではなく、「理解 → 実践 → 改善」というサイクルを回し続けることで成果が積み上がっていきます。
- DXの目的を正しく理解する(なぜ取り組むのか)
- 小さく実践し、現場の課題を少しずつ解決
- データを活用して成果を見える化し、継続的に改善
この流れを繰り返すことで、現場が主体的に動く「自走型のDX文化」が根づきます。
自社の取り組みを一歩ずつDXへ
DXを進めるために大切なのは、「現場に寄り添ったツールを選ぶこと」。便利さだけでなく、職員が日々使いやすく、利用者にも価値を感じてもらえる仕組みであることが重要です。
当社では、
といったソリューションを通じて、介護現場のDX推進を支援しています。
DXは未来のための「大きな一歩」です。今できるところからデジタル化を始め、現場の“働きやすさ”と“利用者満足”を両立させていきましょう。


