デイサービスにおける人手不足の原因と解決策。映像プログラムで職員の業務負担を軽減
少子高齢化によって生産年齢人口が減少するなか、日本全体で人手不足が進行しています。
▼日本における人口減少の推計
画像引用元:厚生労働省『人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて』
なかでも特に人手不足が深刻な業界として、デイサービスをはじめとする介護業界があります。介護業界においては、少子高齢化が働き手の不足だけでなく介護需要の増加にも結びついていることから、今後もさらに人材が足りなくなっていくと考えられます。
この記事では、デイサービスにおける人手不足の現状や原因、解決策について解説します。
出典:厚生労働省『人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて』
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目次[非表示]
- 1.介護業界における人手不足の現状
- 2.デイサービスが人手不足となる原因
- 2.1.介護需要に人材の数が追い付いていない
- 2.2.給与水準が低い
- 2.3.業務における負担が大きい
- 3.デイサービスの人手不足に対する解決策
- 3.1.集団リハビリを実施する
- 3.2.加算を利用して給与を見直す
- 3.3.映像プログラムを活用する
- 4.まとめ
介護業界における人手不足の現状
デイサービスを含む介護業界においては、新規求人数の増加に対して新規求職者数が減少しており、介護職員となる人材が足りなくなっています。
▼介護関係職種の職業紹介状況
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
全職種における有効求人倍率と比較しても、介護関係職種の有効求人倍率は高くなっています。
▼介護関係職種における有効求人倍率の推移
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
デイサービスにおいては、人手不足が加速していることで介護職員が急に欠勤した場合の対応が難しくなっています。
また、現場での運動プログラム指導や教育・研修について属人化が進んだり、負担感が増したりしている点も問題です。
出典:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
デイサービスが人手不足となる原因
デイサービスが人手不足となる原因として、需要に供給が追い付いていないことが挙げられます。また、給与水準の低さや業務における負担の大きさも、求職者が集まりにくい理由として考えられます。
介護需要に人材の数が追い付いていない
高齢化による介護需要の増加に対して人材の数が追い付いていないことが、デイサービスが人手不足となっている原因の一つです。
介護職員の数自体は、細かな増減をしつつも増加傾向にあります。また、介護職員の離職率についても近年では低下傾向です。
▼介護職員数の推移
画像引用元:厚生労働省『介護職員数の推移』
▼介護職員の離職率
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
人材の数が増えていても、介護需要はそれ以上の速度で増大しています。
▼介護職員の必要数(推計)
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
厚生労働省の資料によると、2040年には2022年時点から約57万人増加した約272万人の介護職員が必要になると推計されています。
出典:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』『介護職員数の推移』
給与水準が低い
介護職に人材が集まりにくい理由として、ほかの職種と比べて給与水準が低いことが考えられます。賞与込み給与について、介護職員と全産業平均の差は2024年時点で6.9万円となっています。
▼介護職員における給与の推移
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
推移を見ると昔と比べて改善しているものの、それでもまだ差が大きい状態といえます。
出典:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
業務における負担が大きい
デイサービスの業務においては肉体的・心理的負担が生じやすいとされます。
利用者の帰宅時間までに食事・入浴・リハビリなどを効率的に行う必要があるほか、利用者の帰宅後にも準備や掃除などで残業になるケースも見られます。
また、利用者の生活を支える責任の重さや、人間関係の構築が求められる点などが職員にとって心理的な負担となります。
デイサービスの人手不足に対する解決策
デイサービスの人手不足に対する解決策として、集団リハビリの実施や加算を利用した給与の見直し、映像プログラムの活用などが考えられます。
集団リハビリを実施する
増加する介護需要に限られた人員で対応するには、集団リハビリが有効です。
集団リハビリとは、リハビリの専門職が複数人の利用者に対して実施するリハビリです。個人リハビリと比べて一度の利用者数に対する介護職員の数が少なくて済むことから、介護需要の増加への対策として注目されています。
利用者にとってもリハビリの意欲を維持しやすかったり、認知症でも参加しやすかったりするメリットがあります。
なお、集団リハビリについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
加算を利用して給与を見直す
介護職員の給与を引き上げることを目的とした処遇改善加算があり、活用することで見直しが行いやすくなります。
介護職員の処遇改善に関する加算についてはこれまで複数の加算が継ぎ足されていましたが、2024年6月からは一本化されました。
▼処遇改善加算の一本化
画像引用元:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
取得に伴う事務負担が一本化によって軽減されたことで、以前よりも取得しやすくなっているといえます。
なお、加算算定の仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:厚生労働省『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について』
映像プログラムを活用する
リハビリや体操、レクリエーションに映像プログラムを活用することで、事前準備が必要なくなり、業務負担を軽減できます。
利用者への指導を専門家が開発した映像プログラム側に任せられるため、プログラムの標準化が可能です。介護職員が修正・フォローに専念できるようになることで、業務の効率化にもつながります。
また、運動を指導する介護職員が不在でもサービスが提供できるため、急な欠勤にも対応できるようになります。
さらに、映像プログラムがあることで研修が行いやすくなり、研修時間も短縮できます。例えば、対人プログラムでは6時間かかっていた研修時間について、映像プログラムへの切り替えによって2、3時間にまで削減できた例があります。
まとめ
この記事では、デイサービスの人手不足について、以下の内容を解説しました。
- 介護業界における人手不足の現状
- デイサービスが人手不足となる原因
- デイサービスの人手不足に対する解決策
介護職員はほかの職種と比べても人手不足が深刻です。デイサービスで人材が不足する原因としては、需要の増加や給与水準の低さ、業務負担の大きさなどが挙げられます。
集団リハビリの実施や給与の見直しのほか、映像プログラムを活用することでも人手不足の解決策となります。
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