【睡眠と健康経営】睡眠の必要性と睡眠不足が与えるリスク
睡眠は、従業員の健康管理に際して重要な要素の一つです。健康経営を目指すうえで、睡眠の質の改善に着目している企業さまも多いのではないでしょうか。
睡眠が与える影響は大きく、従業員個人の問題から、やがて生産性の低下や労働災害のリスクといった経営課題へ発展する可能性もあります。
この記事では、健康経営に取組む企業の人事・総務担当者の方へ向けて、睡眠の必要性と従業員の睡眠不足が与えるリスクについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.睡眠の必要性
- 2.睡眠不足が与えるリスク
- 2.1.従業員自身の健康リスク
- 2.1.1.①メンタルヘルスへのリスク
- 2.1.2.②肥満のリスク
- 2.1.3.③生活習慣病のリスク
- 2.2.企業にとってのリスク
- 2.2.1.①労働災害のリスク
- 2.2.2.②品質事故のリスク
- 2.2.3.③生産性低下のリスク
- 3.まとめ
睡眠の必要性
睡眠は、人が十分な休養をとるうえで重要な役割を担っています。「人生の約3分の1は睡眠時間」ともいわれるように、心身の健康を維持するためにも睡眠が必要です。
しかし、肝心の眠りの質が低ければ、十分な休養には至りません。
厚生労働省健康局の『健康づくりのための睡眠指針 2014』では、『睡眠12箇条』として以下の12項目を掲げています。
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、眠りとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
引用元:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』
上記のように国がすすめる睡眠指針を参考に、睡眠時間の確保や睡眠の質の向上に努めることが大切です。
出典:e-ヘルスネット『健やかな眠りの意義』/厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』
睡眠不足が与えるリスク
睡眠時間が足りなかったり、質が悪かったりすると、どのような影響を及ぼすのでしょうか。睡眠不足が与えるリスクは、大きく分けて2つあります。
ここからは、それぞれのリスクについて、さらに詳しく見ていきます。
従業員自身の健康リスク
睡眠障害によって、心身にさまざまな支障をきたすことがあります。ここでは大きく3つのリスクを取り上げます。
①メンタルヘルスへのリスク
不眠は、うつ病をはじめとする心の病において、危険因子の一つといわれています。
十分な睡眠がとれないことにより、脳がつねに緊張状態となり、精神的な疲労がとれにくくなることがあるためです。
②肥満のリスク
睡眠不足は、肥満のリスクを高めることが分かっています。短い睡眠時間は、食欲をコントロールするホルモンバランスを崩す原因の一つです。
睡眠不足になると、食欲を増進させるホルモン“グレリン”の分泌が増えて、食欲を抑制するホルモン“レプチン”の分泌が減るといわれています。
③生活習慣病のリスク
睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れを誘発するといわれています。前述のとおり、ホルモンバランスの乱れは肥満のリスクを高めます。
また、それによって、耐糖能障害や高血圧、循環器疾患、メタボリックシンドロームなど、生活習慣病の発症リスクを高めることになります。
企業にとってのリスク
睡眠障害は、従業員個人の心身の健康だけではなく、企業の経営課題にまで発展する場合もあります。
①労働災害のリスク
睡眠は労働災害にも影響を及ぼします。通勤や業務で自動車を運転する機会は多くありますが、睡眠不足による自動車の運転は、重大事故を起こすリスクを高めてしまいます。
厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』によれば、持続的に24時間覚醒している場合、認知・精神運動作業能力がビールの大瓶1本を飲んだときと同程度にまで下がることが示されています。
出典:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』
②品質事故のリスク
商品・サービスの品質は、労働の質によって保証されます。また、労働の質は健康の質、つまり睡眠の質によって保証されます。
睡眠の質が低く、十分に健康の質を担保できない状態では、顧客に提供する商品・サービスの品質にも影響を与えかねません。
③生産性低下のリスク
睡眠不足は生産性にも影響を及ぼすといわれています。睡眠時間を削って長時間労働をした結果、生産性が低いという場合もあります。
厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』では、睡眠不足が注意力、作業能率を低下させて、生産性の低下やヒューマンエラー、事故の危険性を高めると示されています。
出典:厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針 2014』
まとめ
この記事では、睡眠の必要性について、以下の項目を解説しました。
- 睡眠の必要性
- 睡眠不足によるリスク
睡眠は、心身の健康を維持するために重要な役割を担っています。また、従業員の心身の健康は、従業員個人の問題に留まらず、企業の経営課題にまで発展する可能性もあります。
従業員の長時間労働、残業過多などが発生している場合は、睡眠時間を確保して、睡眠の質を向上できるように対策を講じることが大切です。
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また、以下の記事でも睡眠の質について詳しく解説しています。ぜひご一読ください。