【従業員の健康課題】喫煙のデメリットとは? 効果的な禁煙方法を3つ紹介
喫煙はさまざまな健康リスクをもたらす習慣の一つです。厚生労働省の『令和4年版厚生労働白書』によると、喫煙が要因となり、年間に18万人以上の死亡者が出ていると推定されています。
従業員の喫煙は、本人だけでなく、受動喫煙による周囲の健康リスクの増加や、喫煙時間が割かれることによる生産性の低下を招く可能性があります。
従業員の禁煙に向けた取組みを進めているものの、喫煙者が無関心の場合、「どのように禁煙を勧めたらいいのか」「禁煙を成功させる方法はあるのか」とお悩みの企業担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、従業員に禁煙を促すために役立つ情報として、喫煙のデメリットや効果が期待できる禁煙方法について解説します。紹介した情報を従業員に共有して、禁煙の推進にお役立てください。
出典:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』『令和4年版厚生労働白書』
目次[非表示]
- 1.喫煙の3つのデメリット
- 2.禁煙のメリット
- 3.効果が期待できる禁煙方法
- 3.1.①禁煙治療やサービスを受ける
- 3.2.②理由や目的を明確にする
- 3.3.③喫煙の代わりになるものを見つける
- 4.まとめ
喫煙の3つのデメリット
喫煙には、直接的・間接的な経済損失や健康リスクなど、さまざまなデメリットが存在します。
①直接的な経済損失
喫煙は、たばこの購入にかかる費用そのものが経済的な負担となります。
たばこには、純粋なたばこ代と消費税のほかに、たばこ税が課税されます。近年、たばこ税が何度も増税されており、2023年3月現在では消費税と併せて販売価格の約6割以上を税金が占めている状況です。
▼紙巻たばこ1箱当たりのたばこ税等の税額・税負担割合
画像引用元:財務省『たばこ税等に関する資料』
たとえば、1箱600円のたばこを1日1箱のペースで喫煙した場合、ひと月および年間のたばこ代は、以下の金額となります。
▼例:年間・ひと月のたばこ代
年間:600円×365日=219,000円 ひと月:219,000円÷12ヶ月=18,250円 |
出典:財務省『たばこ税等に関する資料』
②間接的な経済損失
喫煙が原因で罹患した場合、医療費がかかるほか、禁煙者と比べて生命保険料が割高になるなど、間接的な損失が発生する可能性も考えられます。
喫煙にはさまざまな健康被害があることが報告されており、病気になった場合の医療費は、経済的な負担となってしまいます。大きな病気にかからなかったとしても、口腔内への影響によって、口内環境のケアに関する費用負担にもつながります。
出典:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』/厚生労働省 e-ヘルスネット『喫煙と歯周病の関係』
③健康面のリスク
喫煙のデメリットには、健康リスクの増大に影響することも挙げられます。
喫煙との因果関係が認められている病気には、以下のようなものが挙げられます。
▼喫煙者への健康影響
画像引用元:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』
喫煙による死亡者は、年間死亡者数の約1割に相当すると推計されており、なかでもがん死亡に関しては、喫煙が危険因子として関連していると報告されています。
出典:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』
禁煙のメリット
禁煙することで、経済面・健康面にさまざまなメリットがあります。
たばこ代の節約はもちろん、たばこによる健康リスクが軽減されることで、将来的に発生しうる医療費を削減できます。
また、呼吸機能を持ち直すことで息切れしにくくなったり、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症にかかりにくくなったりする効果も期待できます。受動喫煙を防ぐことで、家族や同僚、友人の健康を守ることにもつながります。
効果が期待できる禁煙方法
効果が期待できる禁煙方法として、以下の3つが挙げられます。
①禁煙治療やサービスを受ける
自分ではどうしても禁煙できない場合には、医療機関を受診したり、禁煙のサポートサービスを受けたりすることも方法の一つです。
医療機関を受診すると、血中の一酸化炭素濃度やニコチンへの依存度などを明確に数値化できます。薬による治療またはカウンセリング利用など、より自分に合った禁煙治療を受けられるようになります。
禁煙治療を受けることで、禁煙成功率が3~4倍高まるといわれています。なお、一定の条件に該当する人は、禁煙治療に保険が適用されます。
出典:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』/厚生労働省 e-ヘルスネット『禁煙治療ってどんなもの?』
②理由や目的を明確にする
禁煙を成功させるためには、禁煙する理由や目的を明確にして、自分に合った禁煙方法を選択することが重要です。
禁煙時には離脱症状が出ることもあり、ニコチンの依存度によっては禁煙が難しいケースもあります。「自分が何のために禁煙をするのか」という理由を明確にしたり、周囲の人に禁煙を宣言したりして、禁煙への思いを強く持つことが大切です。
また、途中で挫折することのないよう、モチベーションの維持・継続も重要です。そのためには、心理的なケアを行う、喫煙習慣を見直す、補助薬を使用するなど、自分に合った方法を取り入れます。
禁煙に自信がない場合は、半日だけ、1日だけといった小さな目標から始めます。禁煙に対するハードルを下げつつ、「喫煙しなくても大丈夫」という自信を積み重ねていくことで、禁煙に伴うストレスの緩和が期待できます。
出典:厚生労働省『禁煙支援マニュアル(第二版)』
③喫煙の代わりになるものを見つける
どのようなときにたばこを吸いたくなるのか、自分の喫煙習慣を把握して、喫煙衝動の出る状況や対策を考えておくことも有効です。
禁煙の代わりを見つける一例として、厚生労働省では以下のものを挙げています。
▼喫煙したくなる場面と代わりになる行動
喫煙したくなる場面 |
代わりになる行動 |
起床後 |
すぐに顔を洗う |
食事後 |
歯磨き |
通勤時の車の中 |
大声で歌う、深呼吸する |
仕事の休憩時間 |
職場の人に禁煙宣言をする |
コーヒーを飲んでいるとき |
コーヒーの代わりに紅茶を飲む |
飲酒しているとき |
喫煙したくなったら冷水を飲む |
厚生労働省 e-ヘルスネット『禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》』を基に作成
この表を参考に、自分に合った喫煙の代替を探しておくことで、喫煙欲求が出たときに適切な対処がしやすくなります。
出典:e-ヘルスネット『禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》』
まとめ
この記事では、喫煙について以下の内容を解説しました。
- 喫煙のデメリット
- 効果が期待できる禁煙方法
喫煙は、健康リスク・死亡リスクが高まるだけでなく、直接的・間接的な経済的負担が増えるといったデメリットがあります。
禁煙すると、自分自身の健康を守れるだけでなく、経済的負担を抑えられる、受動喫煙による周囲の健康リスクをなくせるといったさまざまなメリットが得られます。
禁煙を成功させるためには、喫煙習慣やニコチン依存度に合った方法を選択するとともに、強い意志を持ち続けることが重要です。自力で禁煙が難しい場合には、禁煙治療やサービスを受けることもおすすめです。
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また、こちらの記事では、従業員が抱えやすいストレスのサインや自律神経の不調について解説しています。併せてご覧ください。