行動変容とは何か?社員の行動が変わる、健康経営の設計原則
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目次[非表示]
- 1.「響かない健康施策」の原因は“行動変容の欠如”
- 2.行動変容とは? 「気づき」から「習慣化」へのプロセス
- 3.行動変容の前提条件:「変わりたい」と思える環境をつくる
- 4.健康経営と行動変容の関係性
- 5.行動変容を支援する設計の視点とプログラム選定
- 5.1.1.対象者の明確化:誰に向けた支援か?
- 5.2.2.支援の深さと持続性:継続支援は設計されているか?
- 5.3.3.習慣化の工夫:社員が“続けられる”設計か?
- 5.4.4.実績と信頼性:導入する価値があるか?
- 5.5.5.導入後の支援体制:導入して終わらないか?
- 5.6.6.健康な組織風土との親和性:受け入れられる“土壌”があるか?
- 6.実践のヒント:変わるための設計 × 組織風土
- 6.1.よくある失敗パターン
- 6.2.成功する3つの設計 × 風土との連携
- 7.まとめ
「響かない健康施策」の原因は“行動変容の欠如”
健康経営の重要性が高まるなか、多くの企業が運動促進や生活習慣の改善に取り組んでいます。
しかし、現場では次のような課題が繰り返されています。
- 参加率が上がらない
- 継続しない
- 一過性で終わってしまう
その最大の原因は、社員の行動変容に対する理解と支援の不足にあります。
社員の心理状態や行動ステージに即した支援設計がなければ、どれほど制度を整えても「やって終わり」になってしまいます。
行動変容とは? 「気づき」から「習慣化」へのプロセス
行動変容とは、人がある行動を起こし、それを習慣として定着させるまでの心理的・行動的プロセスです。
健康行動においては、知識や制度だけでは不十分であり、納得感・実行可能な環境・継続支援の仕組みが揃って初めて、変化が生まれます。
代表的なモデルが、トランスセオレティカルモデル(TTM)です。
ステージ |
特徴 |
---|---|
無関心層期 |
行動を変える意識がない |
関心期 |
変える必要性を感じ始める |
準備期 |
行動に移す計画を立てる |
実行期 |
実際に行動を始める |
維持期 |
行動が習慣として定着する |
この段階を理解することで、社員一人ひとりの状態に応じたアプローチが可能になります。
行動変容の前提条件:「変わりたい」と思える環境をつくる
行動変容は、個人の意志や努力だけで自然に起こるものではありません。
社員が「変わってみよう」と思えるかどうかは、組織からの支援と組織風土の在り方に大きく左右されます。行動変容を促進するうえで重要な要素は、以下の3点です。
- 形式知化された組織支援:行動変容を支える継続支援・動機づけの仕組み
- ポジティブな関係性と感情の創出:称賛・共感・心理的安全性のある環境
- 変容しやすい風土の醸成:「まずやってみよう」と言える空気感
すなわち、健康な組織風土があってこそ、社員の自発的な行動変容は促進されるのです。
健康経営と行動変容の関係性
健康経営とは、従業員の健康を経営戦略として位置づけ、組織の持続的な成長と結びつける考え方です。しかし、それを実際の成果に結びつけるためには、社員の行動変容が伴ってこそ意味があります。たとえば、健康的な食事の提供、運動プログラム、メンタルケアなどの施策も、社員が「やってみよう」と感じ、自ら継続して初めて効果が生まれます。
行動変容とは、健康経営を「制度の整備」から「文化の定着」へと進化させる接続装置なのです。
行動変容を支援する設計の視点とプログラム選定
行動変容の支援にあたっては、「何を導入するか」以上に、「どう設計するか」「どんな職場にフィットするか」という視点が重要です。以下の6つの観点から施策の選定・設計を行うことで、より確実に行動を根づかせることができます。
1.対象者の明確化:誰に向けた支援か?
施策は、対象層や行動ステージに応じた階層別・関心度別設計が不可欠です。若手社員には楽しく取り組めるプログラム、ミドル層にはセルフマネジメント強化、管理職には組織支援力向上など、“適時適切な支援”が変化を引き出します。
2.支援の深さと持続性:継続支援は設計されているか?
初期導入だけで終わるのではなく、継続的な伴走設計(フィードバック・再介入・段階評価)が整っていることが重要です。これにより、社員は孤立せず、変化を“習慣”として根づかせることができます。
3.習慣化の工夫:社員が“続けられる”設計か?
行動変容は合理性だけでなく感情面のデザインが鍵を握ります。成果の見える化、仲間とのつながり、称賛される仕掛けなど、続けたくなる“空気”の演出が、習慣化を促します。
4.実績と信頼性:導入する価値があるか?
導入実績、業種別対応、改善効果の定量データなどが自社にとっての確実性・安心感につながります。自社と類似した環境での成功事例があるかを確認することも有効です。
5.導入後の支援体制:導入して終わらないか?
トライアル、導入初期のサポート、活用状況のフィードバックと改善提案など、現場との連携が設計されているかを確認することで、プログラムの“定着力”を見極めます。
6.健康な組織風土との親和性:受け入れられる“土壌”があるか?
施策は、「何をやるか」だけでなく、「どんな空気の中でやるか」が極めて重要です。
社員同士の応援文化や称賛の風土、共感が育つ空間があることで、行動変容は“自分ごと”として定着していきます。
実践のヒント:変わるための設計 × 組織風土
よくある失敗パターン
一律の施策が無関心層に響かない
- ハードルが高すぎて初期離脱が発生
- 周囲の無関心が孤立を生み、継続が困難に
成功する3つの設計 × 風土との連携
設計の工夫 |
健康な風土が与える支援効果 |
---|---|
小さな成功体験の積み重ね(例:1日5分) |
「できたね」と詳細し合える文化が継続を後押しする |
行動の可視化とフィードバック |
成果を共有・共感する空気が、続ける動機を高める |
”自分ごと化”する問の設計 |
感情移入しやすい雰囲気が、内発的動機を引き出す |
たとえば「5年後、どう在りたいか?」を語り合える風土そのものが、行動変容の“種”を育てる土壌となります。
まとめ
行動変容は“制度”ではなく“風土”で動く
行動変容を実現するためには、次の3要素が不可欠です。
- 社員が納得できる支援設計
- 組織全体で支える継続と共感の仕組み
- 行動が根づく心理的・文化的な土壌
形式知化された支援体制と、変化が自然に受け入れられる職場風土が揃ったとき、行動変容は「個人の努力」ではなく「組織の成果」として定着していきます。
行動変容とは、社員一人ひとりの変化であると同時に、組織の器の成熟度を問うテーマでもあります。
健康な風土と精緻な設計が揃ったとき、健康経営は本当の意味で企業価値の向上へとつながります。
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