健康経営の戦略マップを作成する3つの重要性。作成手順を3ステップでわかりやすく解説

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健康経営®は、従業員の健康を経営的な視点で捉えて戦略的に投資を行うことです。人材を資本と考えて従業員の健康維持・増進に取り組むことは、企業価値の向上や持続的な成長を目指すうえでも重要といえます。ただし、健康経営の取り組みにはさまざまな投資が必要になります。やみくもに実施するのではなく、企業の経営課題を踏まえた健康経営の戦略を立てて計画的な投資を行うことが重要です。健康投資を効率的・効果的に行ううえで必要になるのが“戦略マップ“です。

この記事では、健康経営の戦略マップを作成する重要性や具体的な作り方の手順について解説します。なお、健康経営のメリットについてはこちらで詳しく解説しています。併せてご確認ください。

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

出典:経済産業省『健康経営


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目次[非表示]

  1. 1.健康経営の推進に役立つ戦略マップとは
  2. 2.健康経営の戦略マップを作成する重要性
    1. 2.1.①健康経営を効率的・効果的に行える
    2. 2.2.②健康経営度調査の評価につながる
    3. 2.3.③取り組み状況を分かりやすく示せる
  3. 3.『健康経営ガイドブック』が示す戦略マップ
  4. 4.健康経営の戦略マップを作成する手順
    1. 4.1.手順①|健康経営で解決したい経営課題を設定する
    2. 4.2.手順②|健康投資効果の目標指標を設定する
    3. 4.3.手順③|健康投資の施策を決定する
  5. 5.戦略マップの具体的な活用イメージ
  6. 6.まとめ

健康経営の推進に役立つ戦略マップとは

健康経営の戦略マップとは、健康経営に取り組む際に、自社の健康課題や課題解決までのプロセスを見える化するためのフレームワークツールです。経済産業省が策定した『健康投資管理会計ガイドラインにおいて、戦略マップの作成・活用が推奨されています。

健康投資管理会計ガイドラインは、健康経営に取り組む際の効果分析や評価を行い、合理的な経営判断と行動をとれるようにすることを目的としています。

そのうちの戦略マップは、自社が抱える経営課題とそれを解決するための健康課題を特定して、健康維持・増進に関する具体的な取り組みへと落とし込む際に活用できます。

▼健康経営における戦略マップの例

健康経営における戦略マップの例

画像引用元:経済産業省『健康投資管理会計

戦略マップは、当ガイドラインに沿って健康投資管理会計を行ううえでの第一ステップとして挙げられています。

※健康投資管理会計ガイドラインとは、企業における健康経営の推進を促すために、効率的・効果的な投資を行う管理会計の手法を定めたガイドラインのこと。

出典:経済産業省『健康投資管理会計ガイドライン』『健康投資管理会計

健康経営の戦略マップを作成する重要性

健康経営の目的を達成するまでのプロセスを見える化して、経営層や従業員、外部のステークホルダーとの共通の認識を持つために、戦略マップを作成することが重要です。

健康経営に取り組むには、従業員と社外関係者の協力や健康投資が必要不可欠となります。戦略マップを作成して、“健康経営で解決したい経営課題”に対する段階的な目標と健康投資の内容、投資によって得られる効果をストーリー立てて示すことで、以下が期待できます。

①健康経営を効率的・効果的に行える

戦略マップを作成すると、目標を踏まえた合理的な投資判断ができるようになり、健康経営を効率的・効果的に行えます。

また、健康投資の内容と得られる効果を量的・金銭的な指標で定めて効果分析と評価のPCDAを回すことで、投資対効果の改善が期待できます。

②健康経営度調査の評価につながる

健康経営の戦略マップは、健康経営度調査の評価項目にも含まれています。

健康経営度調査とは、法人における健康経営の取り組み状況と経年での変化を分析するための調査のことです。健康経営に取り組む優良な企業への顕彰制度となる『健康経営銘柄』の選定と『健康経営優良法人』の認定を受けるうえで、健康経営度調査の調査票を提出する必要があります。

戦略マップを作成して社内外に公開することで、積極的に健康経営に取り組んでいる企業として評価を受けられます。

なお、健康優良法人の認定要件についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

出典:経済産業省『健康経営度調査について(METI/経済産業省)

③取り組み状況を分かりやすく示せる

戦略マップの作成は、健康経営の取り組み状況について社内・社外に分かりやすく示すためにも有効といえます。

健康経営で解決したい経営上の課題と期待する効果、具体的な取り組みなどのつながりを図示することが可能です。

例えば、以下のように役立ちます。

▼戦略マップが役に立つケース

  • 投資家や株主へ健康投資の状況や効果を示すことができる
  • 目的や目標、施策を明示することで職場の健康経営を推進できる
  • 健康経営に関する社外サービスなどを発注する際に、期待する目標やプロセスを共有できる など

『健康経営ガイドブック』が示す戦略マップ

健康経営ガイドブック』では、健康経営を場当たり的に行わず、因果関係に基づいて整理するための“戦略マップ”が示されています。戦略マップは、“インプット(資源投入) → プロセス(施策実施) → アウトプット(成果) →アウトカム(行動・状態の変化)”という4段階で構成され、「どの施策がどの成果につながるのか」を見える化できます。

▼戦略マップイメージ

経済産業省『健康経営ガイドブック』を基にルネサンス作成

重要なのは、戦略マップを「施策の整理図」として見るだけでなく、①経営方針 → ②健康経営の推進方針 を踏まえ、③健康経営の目標とKGIを逆算して設計するための思考モデルとして理解することです。つまり、健康経営の目的やKGIは、企業として目指す方向(経営方針)に即して設定されるべきであり、戦略マップはその因果関係と道筋を可視化する役割を担います。このマップを活用することで、“どのフェーズに課題があるのか”を切り分けることができます。

  • 高ストレス者向け施策の参加率が低いのは周知不足ではないか(=アウトプットの課題)
  • 運動習慣者は増えているのにプレゼンティーズムが改善しないのはなぜか(=アウトカムの因果)

指標の分類は、この戦略マップの各フェーズに対応しており、両方を組み合わせることで、短期的な施策効果から中長期の経営成果まで一貫して測定できるようになります。戦略マップに基づく指標設計は、健康経営を単発施策で終わらせず、“企業文化として根付かせる”ための土台となります。

健康経営の戦略マップを作成する手順

戦略マップを作成する際は、自社が解決したい経営課題を設定して、それを解決するための健康経営戦略をストーリーのようにつなげて作成することがポイントです。

▼経営課題と健康経営戦略

経営課題と健康経営戦略

画像引用元:経済産業省『健康経営ガイドライン

健康投資管理会計ガイドラインに基づいた作成の手順は以下のとおりです。

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出典:経済産業省『健康経営ガイドライン

手順①|健康経営で解決したい経営課題を設定する

健康経営によって解決したい経営課題を明らかにして設定します。経営課題を設定する際は、健康経営の施策とつながりが見えやすい内容にすることがポイントです。また、解決したい健康経営の課題が自社の経営課題と整合するようなストーリーを作ることが重要です。

例えば、“売上高利益率の向上”を経営課題に設定する場合、外部環境の変化や事業活動の状況などの健康経営投資以外の影響を受けやすいため、健康経営による効果なのか否かを見極めにくくなります。

そのため、効果を分析しやすくするためには従業員の健康とつながりが見えやすい経営課題まで掘り下げることが求められます。

▼従業員の健康とつながりのある経営課題の例

  • パフォーマンスの向上によって労働生産性を高める
  • 働き方を改革することで従業員エンゲージメントを高める
  • 心身の不調による欠勤率を下げる など

手順②|健康投資効果の目標指標を設定する

設定した経営課題を解決するための健康投資について、具体的な目標指標を設定します。健康投資効果の評価に用いる目標指標にはA~Cの3つがあります。

▼健康投資効果の目標指標

分類
概要
具体例
A.健康投資施策の取り組み状況に
関する指標
施策の効果を量的・質的に評価する
健康セミナーの参加率、健康管理アプリケーションの使用率 など
B.従業員の意識変容・行動変容に
関する指標
健康投資によって見られた意識・行動の変化を評価する
平均的な睡眠時間の増加率、運動時間が増加した従業員比率 など
C.健康関連の最終的な目標指標
健康投資によって得られた最終的な効果を評価する
欠勤率の減少、労働生産性の向上 など

また、3つの目標指標を設定する際は、各指標の因果関係を矢印で結びつけて、「Aを達成するとBになる」「Bを達成するとCになる」といった流れにすることがポイントです。

手順③|健康投資の施策を決定する

健康投資効果の目標指標を踏まえて、達成するための具体的な施策を決定します。

▼目標指標から考える健康施策の例

目標指標
健康施策
残業時間の削減
業務システムの導入
高ストレス職場の改善
管理職のヘルスマネジメント研修の実施と
ストレスチェックによる職場モニタリング
ワークエンゲージメントの向上
経営層と管理職による1on1面談の実施や管理職と部下による1on1面談の実施
運動実施率の向上
就業時間内中での運動実施制度の導入
健康セミナーの参加率向上
オンラインでの健康プログラムの導入

施策を決定する際は、健康投資効果における各指標を達成するまでの過程を具体化して、施策と効果が無理なく結びつくようにすることがポイントです。

戦略マップの具体的な活用イメージ

健康経営戦略マップは、企業が健康経営を効果的に実践するための道標となります。基本的な説明として、戦略マップは健康施策を企業のビジョンや目標と結びつけ、組織全体で共有するためのツールです。

具体的な活用イメージとして、例えば、従業員の健康状態を定期的にモニタリングし、そのモニタリングデータをもとに戦略マップで設定した健康指標を評価、更新することで、健康指標の達成度を可視化できます。

これにより、従業員は自らの健康状態に対する意識を高め、企業は健康施策の効果を測定しやすくなります。実践的なポイントとして、戦略マップは定期的に見直し、企業の変化や従業員のニーズに応じて柔軟に対応することが求められます。

このような活用を通じて、企業は健康経営を一層推進し、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋げていけるでしょう。

まとめ

この記事では、戦略マップについて以下の内容を解説しました。

  • 健康経営の推進に役立つ戦略マップの概要
  • 健康経営における戦略マップの重要性
  • 健康経営の戦略マップを作成する手順

健康経営戦略マップは、健康経営の目的を達成するまでのプロセスを見える化して、社内外の関係者との共通の理解を醸成するために重要といえます。経営課題や目標に基づいた合理的な健康投資を行うことで、健康経営を効率的・効果的に進められます。

戦略マップを作成する際は、健康経営で解決したい経営課題を設定したうえで、健康投資による目標指標を段階的に設定して、施策と効果を結びつけるストーリーを描くことがポイントです。

ルネサンス』では、健康経営に役立つさまざまなサービスやプログラムを提供しています。従業員の健康課題に対してどのように取り組めばよいかお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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