第9期介護保険事業計画の改定ポイントと基本指針に沿った取り組み事例

第9期介護保険事業計画の改定ポイントと基本指針に沿った取り組み事例


2024年度から第9期介護保険事業計画がスタートします。介護保険事業計画は、3年を1期として作成されており、国が示した基本指針を踏まえて各自治体が医療・介護に関する具体的な取り組みを検討する必要があります。

自治体で健康福祉や高齢者支援を行っている担当者のなかには「第9期介護保険事業計画は前期と比べて何が変わったのか」「第9期介護保険事業計画に沿った取り組みにはどのようなものがあるか」などと調べている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、介護保険事業計画の概要や第9期の改定ポイント、自治体での取り組み事例を紹介します。

出典:厚生労働省『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『介護報酬改定の施行時期について


目次[非表示]

  1. 1.介護保険事業計画とは
  2. 2.第9期介護保険事業計画における基本指針の改定ポイント
    1. 2.1.①介護サービス基盤の整備
    2. 2.2.②地域包括ケアシステムの深化・推進
    3. 2.3.③介護人材の確保と介護現場の生産性向上
  3. 3.地域包括ケアシステムの構築へ向けた取り組み事例
    1. 3.1.新潟県長岡市の事例
    2. 3.2.ルネサンスによる介護予防推進の事例
  4. 4.まとめ


介護保険事業計画とは

介護保険事業計画とは、国が介護保険事業に関わる保険給付を円滑に行うために市区町村が策定する計画のことです。3年を1期として改定が行われ、第9期は2024年4月からスタートする予定となっています。


▼介護保険制度の改正サイクル

介護保険制度の改正サイクル

画像引用元:厚生労働省『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について


第9期介護保険事業計画では、2025年を迎えて団塊世代が75歳以上になることや、高齢者人口の増加がピークを迎える2040年を見通したうえで、基本となる指針が見直されています。

各地域の自治体においては、国が示した基本指針の改定内容を踏まえて、計画に盛り込む具体的な内容を検討することが必要です。


▼第9期介護保険事業計画で自治体に求められる対応

  • 地域特有の課題や介護ニーズの見込みなどを踏まえて介護サービスの基盤を整備する
  • 地域包括ケアシステムの構築・充実化を推進する
  • 介護人材の確保や介護現場の生産性を向上させるための具体的な施策・目標・優先順位を定める


第9期介護保険事業計画による介護報酬改定のポイントや影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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出典:厚生労働省『基本指針の構成について』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について



第9期介護保険事業計画における基本指針の改定ポイント

第9期介護保険事業計画では、国が定める基本指針のなかで主に3つの項目についての記載が充実化されています。


①介護サービス基盤の整備

地域の人口や介護ニーズに関する今後の見込みを中長期的にとらえたうえで、地域の介護サービス基盤を計画的に整備することが求められます。また、居宅要介護者の生活を支えるための在宅サービスを充実させることも重要とされています。

日本では、少子高齢化によって生産年齢人口が減少している一方で、75歳以上・85歳以上の人口は増加し続けています。2040年にはさらに高齢者人口が増加すると予測されています。


▼【都道府県別】2021年から2040年までの高齢者口の増加数

【都道府県別】2021年から2040年までの高齢者口の増加数

画像引用元:厚生労働省『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について

高齢化の進行によって介護ニーズの増加や家族による介護負担の増加が懸念されており、自治体では地域の持続可能な介護支援体制を構築することが課題となっています。


▼介護サービス基盤を整備するための検討要素

  • 人口動態や介護ニーズを踏まえた既存の施設・サービス種別の変更
  • 高齢者の増加を踏まえた介護・医療の連携強化
  • 介護サービス提供者と地域関係者による情報共有の仕組みづくり
  • 居宅要介護者の訪問介護や小規模多機能型居宅介護などの普及
  • 居宅要介護者のための訪問リハビリテーションをはじめとする住宅療養支援の充実


出典:厚生労働省『基本指針の構成について』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について


②地域包括ケアシステムの深化・推進

第9期介護保険事業計画では、地域共生社会の実現に向けて地域包括ケアシステムの構築に集中的に取り組む重要性が示されています。

自治体には、高齢者が住み慣れた土地で自分らしい人生を最後まで歩むために、地域での包括的な生活支援と、医療・介護サービスの提供体制を構築することが求められます。

特に首都圏よりも高齢化の進展が早い首都圏以外の地域では、地域包括ケアシステムの充実が重要となります。


▼各地域における高齢化の状況

各地域における高齢化の状況

画像引用元:厚生労働省『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について


また、地域によって要介護認定率や1人当たりの介護費用、施設・居宅サービスの割合などに差が発生している現状があります。自治体では、認定率や介護給付費に関するデータを分析して、地域の介護需要・特性に基づいた地域包括ケアシステムを検討することが必要です。


▼地域包括ケアシステムの深化・推進のための検討要素

  • 地域リハビリテーション支援や認知症高齢者の家族・ヤングケアラーなどの介護者支援体制の推進
  • 重層的支援体制整備事業による障がい者福祉や児童福祉などの属性・世代を問わない相談支援体制の推進
  • デジタル技術を活用した医療・介護情報基盤の整備
  • 給付適正化事業の充実・見える化と介護給付費の適正化
  • 介護現場の安全性の確保とリスクマネジメントの推進


出典:厚生労働省『基本指針の構成について』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『介護保険事業(支援)計画策定のための地域包括ケア「見える化」システム等を活用した地域分析の手引き


③介護人材の確保と介護現場の生産性向上

地域包括ケアシステムを実現するには、介護人材の確保と介護現場の生産性を向上するための取り組みが求められます。

前期となる第8期介護保険事業計画での介護職員の必要数に関する将来推計では、2025年には約32万人、2040年には約69万人が不足すると考えられています。


▼介護職員の必要数に関する将来推計

介護職員の必要数に関する将来推計

画像引用元:厚生労働省『介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)


介護人材を確保するには、処遇と職場環境の改善を図ったり、採用要件を見直したりする取り組みを推進する必要があります。

また、都道府県が主導して、市区町村における介護現場の生産性向上のための支援や施策を総合的に推進することも重要と考えられます。


▼介護人材の確保と介護現場の生産性向上のための検討要素

  • ハラスメント対策をはじめとする働きやすい職場づくりの推進
  • 介護未経験者に対する入門的研修から体験支援、マッチングまでの一体的な支援
  • 介護福祉士修学資金や再就職準備金の貸し付けによる支援
  • 外国人介護人材の定着化に向けた介護福祉士の国家資格取得支援
  • 経営の共同化・大規模化による人材・資源の有効活用
  • 文書に関する標準様式の使用や電子申請・届出システムの利用の原則化
  • 介護サービス事業所の財務状況の見える化
  • 介護認定審査会の簡素化と認定事務の効率化に関する取り組みの推進


出典:厚生労働省『基本指針の構成について』『介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)



地域包括ケアシステムの構築へ向けた取り組み事例

ここからは、第9期介護保険事業計画の基本指針とされている地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいる自治体の事例を紹介します。


新潟県長岡市の事例

新潟県長岡市では、行政・医療機関・介護サービス事業者・民間事業者と連携して官民共同での地域包括システムの構築に取り組んでいます。


▼地域包括ケアシステムの構成

地域包括ケアシステムの構成

画像引用元:厚生労働省『地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例~新潟県長岡市の取組~


多様な生活スタイルやニーズに対応するために、地域の主要駅を中心に住まい・医療・介護・予防・生活支援などを組み合わせたサービスを一体的に提供するサポートセンターを設置しています。


▼サポートセンターでのサービス内容

  • 地域包括支援の拠点となるセンター
  • 地域密着型特養
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 高齢者向け住宅
  • 配食サービス
  • 地域交流スペース


また、小規模多機能型居宅介護施設を利用して、世代間交流の場と居場所を提供しています。

このような取り組みによって、事業所に対する地域住民の理解を得られたとともに、町内会とのよい関係性の構築につながりました。今後は、地元住民からの提案を受けたり、老人福祉センターの娯楽室のように来館者が自由に使える場を創ったりすることを目指しています。

出典:厚生労働省『地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例~新潟県長岡市の取組~


ルネサンスによる介護予防推進の事例

ルネサンスでは、自治体との委託契約によって高齢者の介護予防を推進する介護予防事業を継続支援しています。

通いの場の創出や専門職による出張指導、サポーターの養成、地域住民に向けた認知症予防の啓発を図るイベントなどを包括的に行っています。


▼具体的な取り組み

  • 通いの場での運動指導・体力測定、口腔・栄養指導
  • 運動ボランティアなどの担い手養成の実施
  • 地域で使用可能な施設の選定と体験教室や実技の実施
  • 未参加者を啓発するための広報活動


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まとめ

この記事では、介護保険事業計画について以下の内容を解説しました。


  • 介護保険事業計画の概要
  • 第9期介護保険事業計画における基本指針の改定ポイント
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組み事例


第9期介護保険事業計画では、地域の実情・特性に応じた介護サービス基盤と地域包括ケアシステムの構築に取り組むとともに、介護人材の確保や生産性向上を推進することが重要なポイントとされています。

なかでも地域包括ケアシステムの構築には、自治体や医療機関、介護サービス事業者、民間事業者などとの連携体制が必要です。

ルネサンス』では、介護予防事業をはじめ、自治体が運営する施設や地域企業の資本を活用した地域の拠点整備、健康づくりを支援する事業をサポートしております。地域の抱える課題とニーズを踏まえて、事業構想から計画、実行までを併走して支援いたします。


  高齢者の健康づくりをサポート|ルネサンス介護予防事業 ルネサンスの介護予防事業は、豊富な指導経験を持つ運動指導員による「安全」「楽しい」「効果的」なプログラムが高い評価を得ています。 全国各地での地域支援事業や協会けんぽ、企業からの健康づくり事業を数多く受託し、豊富な実績がございます。自治体の目指すべき姿の実現に向け、地域の大切な高齢者の健康づくりを誠心誠意お手伝いさせていただきます。 株式会社ルネサンス


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