【2024年度】介護報酬改定の4つのポイント! 加算の取得を促進するには
介護報酬は、事業者が要介護者または要支援者に介護サービスを提供した際に、保険者から対価として介護給付費が支払われる制度です。各事業者のサービス内容や提供体制、利用者の状況に応じて加算・減算される仕組みとなっています。
介護報酬は3年ごとに見直しが行われており、次回の改定は2024年となります。介護施設の管理者のなかには「2024年度の介護報酬改定ではどのような点が見直されるのか」「加算を算定するにはどのような対応が必要なのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、2024年度における介護報酬改定のスケジュールやポイント、加算の取得に求められる対応について解説します。
出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』
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介護報酬改定のスケジュール
介護報酬は3年に一度見直しが行われており、改定の前年度となる年末から年明けに改定内容がおおむね決定されます。
通常、報酬告示が公布となるタイミングは改定される年の3月となっているため、介護施設では短期間でサービスの内容や事務対応の見直しが求められます。
次回の改定は2024年4月から開始となり、“第9期介護保険事業計画期間”に向けて行われます。介護報酬改定を含めた第9期介護保険事業計画期間のスケジュールは、以下のとおりです。
▼第9期介護保険事業計画期間のスケジュール(2023年7月10月時点)
画像引用元:厚生労働省『介護報酬改定の施行時期について』
出典:厚生労働省『介護報酬改定の施行時期について』『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』
2024年度における介護報酬改定のポイント
2024年度から始まる第9期介護保険事業計画期間では、団塊世代のすべてが75歳以上となります。今後さらに高齢者人口が増加すると予測されるなか、介護サービスの需要が拡大・多様化するとともに、都市部と地方で異なる課題が生まれることが考えられます。
また、生産年齢人口の減少による介護人材の不足や物価高騰による賃金の引き上げ、DX(注釈)の推進などの事業環境の変化に対応することも求められます。
このような背景を踏まえて、今回の介護報酬改正では、地域ごとの特性や介護需要に応じた柔軟な介護サービスの提供、良質なサービスを確保するための職場づくりなどが推進されています。
改定内容を整理すると、主に4つのポイントが挙げられます。
なお、介護報酬改定の内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
また、介護情報の蓄積・共有・分析ができる科学的介護情報システム(LIFE)についてはこちらの記事で解説しています。
ポイント1|地域包括ケアシステムの深化・推進
地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持や自立生活の支援を目的として、地域の包括的な支援やサービスを提供できる体制を構築することです。
▼地域包括ケアシステムの深化・推進の具体例
- 地域の実情や高齢者のニーズに応じた質の高い医療・介護サービスの提供
- 在宅・施設を通じた介護サービスの基盤整備
- 医療・介護・住まい・生活支援を連携させた、切れ目のない一体的な支援の実現
- 新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた、感染症対策や災害への対応力の強化
- 地域における介護予防と社会参加活動への取り組みの推進
出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『令和6年度介護報酬改定に向けた要望』
ポイント2|自立支援・重度化防止に向けた対応
自立支援・重度化防止に向けて、質の高い介護サービスを実現することです。多職種が連携できるよう、電子データの活用が重要視されています。
▼自立支援・重度化防止に向けた対応の具体例
- 医師・歯科医師・管理栄養士・薬剤師などの多職種の連携による、リハビリテーション・口腔・栄養の一体的な取り組みの推進
- 科学的介護情報システムの“LIFE”を活用した、介護情報の蓄積・共有・分析による質の高いケアの推進
出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『令和6年度介護報酬改定に向けた要望』
ポイント3|良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり
良質な介護サービスを確保するために、働き方・処遇改善といった職場環境を行い、働きやすい職場環境を実現することです。
▼良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくりの具体例
- 介護ロボットやICTを用いた介護助手の活用による業務負担の軽減とサービス品質の向上
- 介護福祉事業における経営の協働化やテレワークなどの柔軟な働き方の推進
出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『令和6年度介護報酬改定に向けた要望』
ポイント4|介護保険制度の安定性・持続可能性の確保
介護保険制度の安定性・持続性を高めることで、利用者だけでなく、現在介護保険料を負担している全ての世代にとって安心できる制度とすることです。
▼介護保険制度の安定性・持続可能性の確保
- 介護保険サービスの品質に対する評価の適正化・重点化
- 介護報酬における加算体系の簡素化
出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)』『第9期介護保険事業(支援)計画の作成準備について』『令和6年度介護報酬改定に向けた要望』
ポイント5|一定以上所得者の利用者自己負担額の増加
被保険者世代で介護保険料における負担の公平化を図るために、一定以上所得者の自己負担額が引き上げられます。
▼一定以上所得者の利用者自己負担額の増加
- 一定以上の所得がある被保険者の利用者自己負担額を1割から2割へ増加
- 第1号保険料の多段化と軽減強化
出典:厚生労働省『給付と負担について』『3.介護保険制度改正における費用負担に関する事項等について』
介護報酬改定への対応は“加算の取得”がカギ
2024年度の介護報酬改定では、介護人材の不足に対応するために職員の処遇改善や職場環境の改善が推進されています。
しかし、基本報酬は年々減少している傾向にあります。また、2024年度の介護報酬改定によって利用者の自己負担が増えると、介護サービスの利用控えが生じる可能性があり、さらに売上が減少することも懸念されます。
このような問題に対応するためには、積極的に加算算定を行い介護施設の売上向上を目指すことが必要と考えられます。
一方、事業所のなかには介護報酬の加算を取得するための事務作業の複雑さや利用者負担などを理由に、加算を取得しないケースが一定数見られています。特に“口腔機能向上加算”の取得率についてルネサンスが調査したデータでは、実績がある介護施設は12.2%にとどまっている状況です。
▼ルネサンスが調査した口腔機能向上加算の実績
今後、介護人材の確保や定着化、より質の高い介護サービスの提供を実現するには、介護報酬加算の取得を促進していくことが重要です。
なお、口腔機能向上加算の算定要件についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
介護報酬の加算を取得するには
介護報酬改定によって加算の仕組みが変わると、事業所で提供する介護サービスの内容や算定事務などの対応についても見直しを図る必要があります。
加算を取得するためのプログラムの考案や、専門知識を有するスタッフの確保などに課題がある場合には、ルネサンスの加算算定業務と多様なプログラムの提供を行うサービスを活用することがおすすめです。
なかでも映像を用いたプログラムの活用が有効です。ルネサンスの映像プログラムには、以下のメリットがあります。
▼ルネサンスの映像プログラムを活用するメリット
- 口腔機能向上加算も個別機能訓練加算の両方を取得できる
- 集団運動に必要な知識やノウハウを動画で補填できる
- 運動指導未経験の看護師でも映像を用いて実施できる など
2024年度の介護報酬改定が行われたあとは、さまざまなプログラムを活用して加算算定に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、介護報酬改定について以下の内容を解説しました。
- 介護報酬改定のスケジュール
- 2024年度における介護報酬改定のポイント
- 介護報酬改定への対応は“加算の取得”がカギ
- 介護報酬加算の取得を後押しするプログラム
2024年度の介護報酬改定では、地域包括ケアシステムの整備に向けた取り組みをはじめ、自立支援や重症化の防止のための質の高い介護サービスの提供、介護人材の確保に向けた働きやすい職場づくり、加算体系の簡素化などが推進されています。
安定した事業活動を継続して、質の高い介護サービスの提供を行うには、介護報酬加算を取得して職員の処遇改善や利用者の満足度向上を図ることが重要です。
『ルネサンス』では、介護報酬改定に対応するための加算算定業務やプログラムの提供をサポートしています。
介護施設向けの加算取得支援サービス『R-Smart』は、加算算定に必要な帳票作成を行うシステムの導入や、プログラムの運用と効果測定などをサポートしています。職員の業務負担を防ぎつつ、希少性の高い嚥下機能に特化したプログラムによって利用者の満足度向上を後押しします。
詳しくは、こちらをご確認ください。