介護予防・日常生活支援総合事業とは? 概要やサービス内容を紹介

介護予防・日常生活支援総合事業とは? 概要やサービス内容を紹介


介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は、介護や生活支援が必要な高齢者や高齢者のみの世帯に対して、効果的かつ効率的な支援を目指す事業です。

各市区町村が中心となり、高齢者が抱える課題やニーズに合わせたサービスが提供できる仕組みを構築しています。

この記事では、「総合事業について学びたい」「健康的なまちづくりに役立てたい」と考えている担当者の方に向けて、総合事業の概要とサービス内容について解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.介護予防・日常生活支援総合事業とは
  2. 2.従来の介護予防事業との違い
  3. 3.介護予防・日常生活支援総合事業のサービス内容
    1. 3.1.①介護予防・生活支援サービス事業
    2. 3.2.②一般介護予防事業
  4. 4.まとめ


介護予防・日常生活支援総合事業とは

総合事業とは、高齢者個人に対する支援だけではなく、高齢者を取り巻く環境や地域を含めた支援を行う事業です。

厚生労働省が示す総合事業の趣旨は以下のとおりです。


▼総合事業の趣旨

総合事業は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの。

引用元:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)


総合事業では、市区町村が中心となり、ボランティア・NPO・民間企業など、多様な主体によるサービス提供が必要です。

従来の介護予防事業に加えて、高齢者の生活を地域で連携して支えたり、高齢者が社会参加して社会的役割を持ったりすることで、生きがいや介護予防につなげられます。

また、さまざまなサービスが提供されることで、高齢者自身が求めるサービスを選択して利用できます。

このように、多様な主体によるサービスが利用できる地域づくりを行うためには、市区町村の支援が必要不可欠であり、制度的な位置づけの強化が重要です。


▼市区町村を核とした支援体制の充実・強化の例

  • 生活支援のボランティアの養成・発掘などの地域資源開発
  • 関係者との情報共有
  • サービス提供主体間の連携体制づくり


出典:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)』『介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(基礎資料・HP用)





従来の介護予防事業との違い

従来の介護予防事業と総合事業では、目的や運営基準・単価、対象者で以下のような違いが見られます。


従来の介護予防事業と総合事業の違い

項目
従来の介護予防事業
総合事業
目的
介護予防や要介護状態の軽減、悪化の防止
なるべく介護を必要としない自立した暮らしの継続
運営基準・単価
全国一律
各市区町村が独自に設定可能
対象者
介護認定の申請をした要支援者
要支援者と65歳以上のすべての高齢者


従来の介護予防事業との違い.

画像引用元:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)


少子高齢化が進む日本では、高齢者の単身世帯や認知症高齢者の増加が予想されます。

そのような状況のなかで、介護が必要な状態になっても高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、市区町村が中心となり、介護や医療、生活支援などを一体的に提供することが重要です。

総合事業では、従来の介護予防事業を利用できなかった高齢者にもサービスを提供することで、なるべく介護を必要としない自立した暮らしの継続を目的としています。

これまで介護保険内で行われてきた介護予防事業を、市区町村のニーズに沿った介護保険外のサービスに移行して、市区町村が管理・提供します。そのため、地域によって異なるニーズに柔軟に対応することで、効率的・効果的な支援を行えます。

また、従来の介護予防事業は、介護保険制度によって運営基準と単価が全国一律でした。

一方、総合事業は、各市区町村が運営基準や単価を独自に設定して運営するため、地域の実情に応じた介護保険外のサービスを提供できます。

出典:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)



介護予防・日常生活支援総合事業のサービス内容

総合事業のサービスは、“介護予防・生活支援サービス事業”と“一般介護予防事業”の2つで構成されています。

介護予防・日常生活支援総合事業のサービス内容

画像引用元:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)


ここでは、それぞれの事業内容について詳しく紹介します。

出典:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)


①介護予防・生活支援サービス事業

介護予防・生活支援サービスは、訪問型サービス・通所型サービス・その他の生活支援サービス・介護予防ケアマネジメントの4つの事業があります。

要支援者等の生活支援のニーズに対応するため、介護予防訪問介護のサービスや住民主体の支援などを含めた多様なサービスを、総合事業の対象として支援しています。


介護予防・生活支援サービス事業の主なサービス内容

訪問型サービス
掃除や洗濯などの日常生活上の支援を提供
通所型サービス
機能訓練や集いの場などの日常生活上の支援を提供
その他の生活支援サービス
栄養改善を目的とした配食や、一人暮らし高齢者への見守りを提供
介護予防ケアマネジメント
総合事業によるサービスが適切に提供できるようなケアマネジメント


②一般介護予防事業

一般介護予防事業は、介護予防把握事業・介護予防普及啓発事業・地域介護予防活動⽀援事業・⼀般介護予防事業評価事業・地域リハビリテーション活動⽀援事業の5つの事業があります。

5つの事業を地域の課題やニーズに沿って組み合わせることで、効果的かつ効率的に高齢者の支援を行います。


▼一般介護予防事業の主なサービス内容

介護予防把握事業
地域の実情に応じて収集した情報を活用して、何らかの支援を要する高齢者を把握したのちに、介護予防活動へつなげる
介護予防普及啓発事業
介護予防活動の普及・啓発
地域介護予防活動⽀援事業
地域における住民主体の介護予防活動の育成・支援
⼀般介護予防事業評価事業
介護保険事業計画の目標値に対する達成状況などの検証・事業評価
地域リハビリテーション活動⽀援事業
通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場などへのリハビリテーション専門職の関与を促進する


一般介護予防事業については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください

  一般介護予防事業とは? 構成する5つの事業内容を解説 一般介護予防事業は、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)の一部です。 高齢者が、住み慣れたまちで可能な限り自立した生活が送れるように支援する事業で、5つの事業から構成されています。 この記事では、一般介護予防事業の事業内容について解説します。 「一般介護予防事業について学びたい」「健康的なまちづくりに役立てたい」と考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。 株式会社ルネサンス

出典:厚生労働省『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)




まとめ

この記事では、介護予防・日常生活支援総合事業について以下の内容で解説しました。


  • 総合事業とは何か
  • 既存の介護予防制度との違い
  • 総合事業のサービス内容


総合事業は、これまで限られた対象者しか利用できなかったサービスを、より多くの高齢者に提供できるようにした事業です。

サービス提供は介護事業所のほか、ボランティアやNPOなど多様な主体が含まれているため、高齢者の課題やニーズに柔軟に応えることができます。

従来の全国一律の介護保険サービスとは異なり、市区町村が主体となって行う事業のため、地域の状況に合わせたサービス内容や料金設定が可能です。

ルネサンス』では、地域が抱えるさまざまな課題に対して、施策の立案から実行までを徹底サポートします。安全かつ効果的な介護予防プログラムを提供して、住民主体の介護予防の促進と担い手育成の負担軽減に貢献することが可能です。

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