2040年問題とは? 原因や対策を分かりやすく解説
現在、日本は気候変動や少子高齢化などのさまざまな社会問題を抱えています。
特に2040年問題は、社会保障や医療体制に大きな影響を与えるといわれているため、健康なまちづくりに役立てるには、原因や対策を把握しておくことが大切です。
この記事では、2040年問題の原因と対策を分かりやすく解説します。
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目次[非表示]
- 1.2040年問題の原因
- 2.2040年問題で直面すると危惧される課題
- 2.1.①社会保障の増額
- 2.2.②労働力人口の減少
- 2.3.③介護離職の増加
- 2.4.④建物・インフラの老朽化
- 3.2040年問題への対策
- 3.1.①健康寿命の延伸
- 3.2.②医療・介護事業の生産性向上
- 4.まとめ
2040年問題の原因
2040年問題とは、少子化による急速な人口減少と高齢者人口がピークに達することで、日本が2040年に直面すると考えられている問題の総称です。
2040年は、1971~1974年の第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になる年です。
高齢者人口の増加に伴い、労働力人口の減少が懸念されており、あらゆる業種で人手不足が発生すると推計されています。
このような人口の動きは、平均寿命が伸びたことや出生数の減少が主な原因といわれています。
厚生労働省の『令和2年版 厚生労働白書』によると、平均寿命はこれまでの30年間で5年以上伸びており、今後も伸びる見込みです。
▼平均寿命の推移
画像引用元:厚生労働省『令和2年版 厚生労働白書』
また、団塊ジュニア世代は就職氷河期に直面した世代のため、その前の世代と比べて非正規雇用で働いている方が多いです。
そのため、団塊世代に比べて貯蓄や年金水準が低いケースがあり、今後の年金や医療費の負担額増加が予想されています。
出典:厚生労働省『令和2年版 厚生労働白書』
2040年問題で直面すると危惧される課題
2040年問題で、直面すると危惧されている課題として、労働力人口の減少が挙げられます。また、労働力人口の減少に伴い、社会保障費の負担額増加や人手不足に陥るといわれています。
ここでは、2040年問題で直面すると危惧されている問題を3つ紹介します。
①社会保障の増額
2040年問題のなかで特に問題視されているのが、社会保障費の増加です。
現在の日本では、労働者が納めたお金を高齢者が年金として受け取る仕組みになっているため、労働世代が高齢者を支えている状態です。
しかし、今後高齢者が増加して労働力人口が減少すれば、この仕組みを維持できなくなります。
そのため、今後は医療や介護といった社会保障費の負担額増加が考えられます。
②労働力人口の減少
2040年には、労働力人口の大幅な減少が予想されており、さまざまな影響を与えるといわれています。
総務省統計局の『労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果』によると、15~64歳の労働力人口は、2019年以降減少傾向です。また、2021年の平均労働力人口は5,931万人で、2020年に比べて15万人減少しています。
画像引用元:総務省統計局『労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果』
特に労働力人口の減少は、医療や福祉事業への影響が大きく、今後増加する高齢者に対して、必要なサービスを提供できない可能性が懸念されています。
今後の人口の変動を踏まえたうえで、医療や福祉事業での人材確保や経済維持のため、女性や高齢者の労働参加が不可欠です。
出典:総務省統計局『労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果』
③介護離職の増加
2040年には、医療や介護の担い手不足により、心理的・肉体的に負担の多い介護離職が深刻化すると予想されています。総務省の調査では、2022年に約10万6,000人が介護離職しており、2017年から増加傾向が続いています。
これにより、企業は介護と仕事の両立を支援する環境整備をより一層求められています。
参考:令和4年就業構造基本調査結果の要約 | 総務省
自治体においては、介護予防や生活支援サービスの充実に向けてボランティアをはじめとする多様な担い手の確保が進められており、その一つに”介護サポーター”が挙げられます。
介護サポーターについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
④建物・インフラの老朽化
高度経済成長期に都市部で整備された建物は、2040年に築年数が50年を超えます。ここで問題視されるのは老朽化です。
建物のほかには、道路や橋、下水道などのインフラも老朽化が懸念されており、今後の維持・管理費の増加が予想されます。
また、人口減少により税収が減少した自治体は、インフラの更新費用を捻出できない可能性があります。
そのため、老朽化したインフラが更新されなかった場合に、住民の生活に影響が及ぶ可能性も想定しなくてはなりません。
2040年問題への対策
2040年問題を踏まえ、健康寿命の延伸による就業者数の増加や、医療・福祉現場の業務効率化などの対策が必要であると考えられています。
ここでは、2040年問題の対策方法を2つ紹介します。
①健康寿命の延伸
2040年問題の高齢者増加と労働力減少に備え、今後は健康寿命を伸ばすための取組みが必要です。
健康寿命とは、心身ともに健康であり、日常生活に支障がない期間を指します。
健康寿命を伸ばすためには、健康づくりの推進が大切です。特に食習慣・運動習慣の改善に関心がない、もしくは関心はあるが改善策を講じないなどの健康無関心層を含めたアプローチが重要となります。
日本は、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上伸ばすことを目指しており、次世代を含めた健康的な生活習慣の形成に取組む方針を示しています。
②医療・介護事業の生産性向上
高齢者が増加し、労働力人口が減少することで、医療・介護事業の人手不足が懸念されます。そのため、より少ない人手でも回る医療・介護現場の実現に向けた取組みが必要です。
日本は2040年に向けて、国民の暮らしや日常生活にICTやAI、ロボットなどの先端技術が溶け込んでいる社会を想定し、医療・介護分野での実用化を図っています。
また、より効率的かつ機能的なチーム医療を実現するためのタスクシフティングを担う人材の確保や育成に取組んでいます。
さらに、働くことによる生きがいや自立支援へつなげるため、介護や看護、保育などの分野において、助手としてシニア層の人材参入を促進しています。
生活機能全般の改善、要介護状態になることの予防などを目的とする
一般介護予防事業に関する内容はこちら
まとめ
この記事では、2040年問題について以下の内容で解説しました。
- 2040年問題の原因
- 2040年問題で直面すると危惧される問題
- 2040年問題への対策
2040年には、高齢者の増加と労働力人口の減少により、現在の社会保障体制は維持できない可能性があります。
また、高齢者が増えることで自治体の税収が減り、老朽化していくインフラの維持や管理・更新が困難になる点が懸念されています。
2040年問題に備えるためには、健康寿命の延伸や医療・介護事業の生産性向上といった、誰もが健康で長く生活できる社会の形成が大切です。
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