機能訓練指導員の業務内容と業務を効率化させる方法
今後、介護職員の必要数が年々増加して、将来的に約69万人の介護職員が不足するといわれています。そのようななか、「機能訓練指導員の人手不足に悩んでいる」「機能訓練指導員の業務を効率化する方法を知りたい」と考える担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、機能訓練指導員の業務内容と効率化させる方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
出典:厚生労働省『介護人材確保に向けた取り組み』
機能訓練指導員の業務負担を軽減する、関連情報・記事
目次[非表示]
- 1.機能訓練指導員とは?
- 2.機能訓練指導員の仕事内容
- 3.機能訓練指導員に必要な資格
- 4.機能訓練指導員が活躍できる施設・職場は?
- 4.1.①介護福祉施設
- 4.2.②要介護者向けの医療施設
- 5.需要とともに増す機能訓練指導員
- 6.ICTとサービスの活用による業務負担の軽減
- 7.まとめ
機能訓練指導員とは?
機能訓練指導員は、介護保険法によって定められている職種の一つです。
介護施設に1人以上の設置が義務づけられており、主に理学療法士や作業療法士などの資格を持つ人がこの役割を担います。
機能訓練指導員を配置する主な目的は、要介護者が、可能な限り自分で身の回りのことができるように支援することです。生活環境や心身の状態に合わせて、適切な機能訓練やリハビリテーション(以下、リハビリ)を行います。
機能訓練指導員の仕事内容
まずは利用者の生活環境や身体状況を確認します。そして、利用者の能力に応じて自立した生活が営めるよう、個別の訓練計画を作成し、それに基づいたリハビリを行います。また、定期的に訓練の効果を評価し、必要に応じて訓練内容を修正します。
機能訓練指導員に必要な資格
機能訓練指導員になるためには、以下で紹介する7つの資格のうち、いずれかを取得する必要があります。
いずれも業務の流れは共通していますが、保有する資格によってアプローチの視点が異なります。
機能訓練指導員の基本的な業務フローは次のとおりです。
- 利用者の心身の状況を確認する
- 個別機能訓練計画を作成する
- 利用者および家族へ説明して同意を得る
- 個別機能訓練・リハビリの実施をする
- 身体・生活の能力の評価をする
- 計画の見直しをする(3ヶ月ごとに1回以上)
ここからは、それぞれの資格の得意分野を紹介します。
①看護師・准看護師
看護師・准看護師は、利用者のケア・サポートを行います。
医療の知識と経験を生かして、利用者の健康状態のチェックや体調管理を行い、病気の予防やけがの処置、疾患別のリスク管理が可能です。
一方で、看護師・准看護師はリハビリに関する知識や技術が十分でないこともあります。そのため、デイサービス(通所介護)で看護師と機能訓練指導員を兼務しながら、リハビリの経験を積む必要があります。
②理学療法士
理学療法士は、運動機能が低下した利用者に対して機能訓練を行います。
運動療法や物理療法などを用いたリハビリに基づいて機能訓練を行い、運動機能に障がいがある利用者の自立を促します。
理学療法士による機能訓練では、利用者のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の改善と症状悪化の防止が目的です。
③作業療法士
作業療法士は、入浴・食事・掃除などの応用動作のリハビリに加えて、精神面のケアを行います。
判断能力を伴う日常生活上の動作を指すIADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)に対して、改善・維持に有効な機能訓練を行うことが特徴です。
また、レクリエーションや創作活動を取り入れた訓練を行い、利用者の心のケアにも取組みます。
④言語聴覚士
言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションが難しい利用者に対して機能訓練を行います。
発声・発語訓練を用いて利用者の言語能力の改善・維持に取組み、社会生活への復帰をサポートするとともに、嚥下(えんげ)障がいや口腔機能など、利用者の食事をする能力の回復を目指します。
⑤あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、肩こり・腰痛・筋肉のハリといった利用者の体の不調を軽減させるためのサポートを行います。
不調の原因を究明するために問診や検査を実施します。そのうえで、マッサージや指圧療法を用いた機能訓練を行い、利用者の運動機能の回復を目指します。
⑥柔道整復師
柔道整復師は、捻挫・打撲・骨折など、利用者の人体の損傷の機能回復に向けた機能訓練を行います。
外傷や痛みの緩和を促すために、固定・整復などの手技を用いながら利用者をケアして、運動機能の向上や回復を目指します。
⑦はり師・きゅう師
はり師・きゅう師は、2018年に機能訓練指導員として追加されました。
筋肉のこりの緩和や血行促進など、利用者の身体機能の改善を促すことを目的として、鍼灸の技術を用いた機能訓練を行います。
なお、はり師・きゅう師が機能訓練指導員として働くためには、はり師・きゅう師以外の機能訓練指導員が在籍している施設に半年以上実務している必要があります。
機能訓練指導員が活躍できる施設・職場は?
①介護福祉施設
デイサービスや老人ホームなどでの機能訓練指導員の仕事は施設によって異なり、高度な介護が必要な場合は運動機能向上よりも日常生活の向上が重視され、身体介護やレクリエーション、送迎なども担当することがあります。
②要介護者向けの医療施設
医療施設でも、介護療養型医療施設や病院併設型リハビリステーションなどで機能訓練指導員が活躍しており、利用者は介護度が高く、障がいが重いことが一般的です。そのため、機能訓練を通じた在宅復帰の成功が大きな喜びとなっています。
需要とともに増す機能訓練指導員
厚生労働省の介護従事者処遇状況調査によれば、2010年には機能訓練指導員の就労人口が約20,000人でしたが、2016年には約53,000人に増加しています。超高齢社会の影響で増える医療費と介護費用の削減を目指し、地域での療養を支えるための自立生活サポートが求められています。将来的に高齢者の増加が予測され、高齢者が自力で生活できるようにするために、機能訓練指導員の役割は不可欠とされています。
ICTとサービスの活用による業務負担の軽減
機能訓練指導員は、さまざまな業務を兼任して業務負担が大きくなることがあります。ここからは、機能訓練指導員の業務負担を軽減する方法を2つ紹介します。
①ICTの活用
1つ目は、ICTの活用です。2021年度の介護報酬改定により、介護現場でのICT活用が認められました。
介護記録システムや勤怠管理システムをはじめとしたICTの活用により、機能訓練指導員の業務負担を軽減して、業務効率化を図ることが可能です。
また、保存が義務づけられている計画書・報告書・ケアプランなどの記録をデータ保存することも、職員の業務負担の軽減につながります。
②R-Smart
2つ目は、サービスの活用です。
介護事業にかかる業務にICTを活用することはできますが、手作業によるデータ入力が必要なことで職員の業務を圧迫してしまうことがあります。
『ルネサンス』の加算取得支援サービス“R-Smart”は、個別機能訓練加算と口腔機能向上加算に特化しています。また、身体機能だけではなく生活動作の改善にも効果的なプログラムを提供しています。
科学的介護情報システム(以下、LIFE)(※)との連携をサポートするシステムもあるため、加算算定に向けた充実の支援を受けられます。
個別機能訓練加算や口腔機能向上加算の詳細は、以下の記事で解説しています。ぜひご一読ください。
※科学的介護情報システム(LIFE)とは、介護事業者が利用者のケアの内容や計画を厚生労働省に送信することでフィードバックが受けられるシステムのこと。
まとめ
この記事では、機能訓練指導員の業務内容と効率化させる方法について、以下の内容を解説しました。
- 機能訓練指導員の資格と業務内容
- ICTとサービスの活用による業務負担の軽減
機能訓練指導員は、介護施設に1人以上配置することが義務づけられており、保有する資格によって得意分野とアプローチの視点が異なります。
機能訓練を行うことで加算算定の対象となりますが、個別機能訓練加算を算定するには、計画書の作成や各種データをLIFEへ提出することが必要です。そのため、機能訓練指導員の業務を圧迫するリスクが懸念点として想定されます。
“R-Smart”は、帳票作成やタスク管理などの業務負担を軽減して、個別機能訓練加算と口腔機能向上加算の取得をサポートします。
また、『ルネサンス』では、視覚・聴覚・体知覚などの五感を刺激しながら体を動かすシナプソロジー®というプログラムを提供しています。
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