デイサービス職員がストレスを感じる理由と、今すぐできる改善策5選

デイサービスの仕事は、やりがいと引き換えに、大きな負担も伴います。
身体的な疲労はもちろん、時間的拘束、人間関係、評価されにくい努力……さまざまな要因が複雑に絡み合い、「もう限界かも」と感じてしまう職員も少なくありません。
この記事では、「なぜこんなにストレスを感じるのか?」という原因の整理から始め、具体的な対策と外部支援までを体系的に解説します。
「今つらいと感じているあなた」だけでなく、「現場改善を目指す管理者」にとってもヒントになる内容です。
その他、この記事を読んでいるあなたにおすすめ
目次[非表示]
- 1.デイサービス職員が感じるストレスの原因とは?
- 1.1.1.利用者・家族とのコミュニケーションによる気疲れ
- 1.2.2.時間的拘束と突発対応
- 1.3.3.介助・移乗などの身体的負担
- 1.4.4.職場の人間関係
- 1.5.5.キャリアや将来への不安
- 2.ストレスが続くとどうなる?代表的な症状と兆候
- 2.1.身体的なサイン
- 2.2.心理的なサイン
- 2.3.行動面でのサイン
- 2.4.離職意向・燃え尽き(バーンアウト)
- 3.ストレスの声から学ぶ:現場のリアル体験談
- 4.今すぐできるストレス軽減の具体策【5選】
- 4.1.1. 同僚との“振り返り雑談”を習慣化する
- 4.2.2. ストレッチや深呼吸を取り入れる
- 4.3.3. 休憩時間の質を高める
- 4.4.4.完璧を求めない
- 4.5.5. 自分の状態を“見える化”する
- 5.外部支援の活用で、負担を軽くし職場を変える
- 6.まとめ|「誰もがきつい」から、「みんなで変える」へ
- 6.1.今日からできることのまとめ
- 6.2.「安心して続けられる職場」への第一歩
デイサービス職員が感じるストレスの原因とは?
デイサービスの現場では、「これが原因」と一言で断定できない複合的なストレスが職員を蝕んでいます。ここでは主な5つの要因に整理して紹介します。
1.利用者・家族とのコミュニケーションによる気疲れ
高齢者やその家族とのやりとりには、繊細な配慮が求められます。
「言葉を選ばない」 「感情的な要望」 「思い通りにならない苛立ち」 など、対応に神経をすり減らしながらも笑顔で接しなければならない場面も多く、心の消耗が大きくなります。
2.時間的拘束と突発対応
送迎遅れ、体調不良者の対応、突発的な家族連絡など。イレギュラー対応の多さは、想定したスケジュールを容易に崩します。さらに、慢性的な人手不足により、休日返上や時間外労働を余儀なくされるケースも。
3.介助・移乗などの身体的負担
デイサービスでは、利用者の移動や排泄介助、入浴支援など、身体的なサポートが欠かせません。その積み重ねによる腰痛・肩こり・筋疲労は慢性化しやすく、年齢とともに体力的な限界を感じる職員も少なくありません。
4.職場の人間関係
「上司が忙しすぎて相談しづらい」 「手が空いているのに手伝わない」 「ベテラン職員からミスを責められる」…こうした職場の人間関係は、対人ストレスの大きな要因です。また、上司のマネジメント不足、方針や評価の不透明さが不満を蓄積させ、突然の退職や転職につながることもあります。
5.キャリアや将来への不安
どれだけ頑張っても昇給・昇進の道筋が見えづらく、「このまま働き続けて将来どうなるんだろう」と感じる職員は少なくありません。やりがいはある。でも、安心して続けられる環境がない…そんなジレンマもストレスの一因です。
ストレスが続くとどうなる?代表的な症状と兆候
デイサービス職員が日々の業務で受けるストレスは、気づかないうちに「心」と「体」の両方に深刻な影響を及ぼします。例えば、腰痛が悪化して出勤できなくなる、時間のプレッシャーから送迎中に交通違反や事故が起きる、悩みを抱え込んでしまい離職してしまうといったことが挙げられます。そのような事態を予防するために、ここでは放置すると危険な代表的な症状や兆候を整理します。
身体的なサイン
- 慢性的な疲労感:「休んでも疲れが取れない」状態が続く
- 頭痛・胃腸不調:ストレスが自律神経に影響し、体調不良が習慣化する
- 肩こり・腰痛の悪化:身体的負担とストレスが相乗して症状が強まる
心理的なサイン
- イライラが収まらない:小さなことでも怒りっぽくなる
- 不安・焦燥感が強まる:未来に希望が持てない感覚に陥る
- 無気力・無関心:「何をしても楽しくない」「やる気が出ない」
行動面でのサイン
- ミスや忘れ物が増える:集中力や記憶力の低下
- 人との交流を避ける:孤立が進み、さらにストレスが増す悪循環
- 欠勤・早退の増加:心身が悲鳴を上げているサイン
離職意向・燃え尽き(バーンアウト)
「もう頑張れない」「やっても意味がない」と感じるようになると、それは燃え尽きの危険信号です。特に介護業界は離職率が高く、ストレスが直接的な理由になっているケースも少なくありません。
結論:ストレスは“見えにくい”けれど、必ず体と心にサインが出ます。早めに気づいて対応することが、長く働き続けるための第一歩です。
ストレスの声から学ぶ:現場のリアル体験談
実際にデイサービスで働く職員の声には、リアルなストレス体験と改善のヒントが隠されています。ここではいくつかの事例を紹介します。
「管理者に相談し業務の偏りを見直した」
40代男性リーダーの声:
「スタッフ全員の業務内容を棚卸しし、スタッフ間の業務量の偏りがないか確認しました。その結果、一部の人への仕事の偏りに関する不満や残業が減り、職場全体の雰囲気も改善。一人で抱え込まずに上長に相談してよかったと心から思いました。」
→ ポイント: ストレスは“個人の問題”ではなく、“チームの仕組み”として解決することができる。
「利用者さんと一緒に体操をはじめたら雰囲気がよくなった」
20代新人職員の声:
「利用者さんと一緒に体操を行うようにしました。身体を動かすことで気持ちがスッキリし、笑顔が増え、職員同士の会話も自然に増えたんです。利用者さんに見られているので真剣に取組んでいるので職員の健康にもつながっています。」
→ ポイント: 身体を動かすことは、利用者にも職員にも良い効果を生み出す。
「本来の目的に立ち返ることで解消できるストレスも」
30代管理者の声:
「現場から色々と不満が出ていましたが、そもそも利用者にどのような状態になってもらいたいのか、改めて目指す姿についてスタッフ同士の意識を合わせ、明確になったことで、多少の頑固さだったり、いうことを聞いてくれないことも個性ととらえられるようになってストレスが軽減できたと思います。使命感を持たせることも大事。」
→ ポイント: 目の前の問題にとらわれすぎず、本来の目的に立ち返る。
結論:現場の声から学べるのは、“自分だけが苦しいのではない”という安心感と、“小さな改善でも変化は起きる”という希望です。
今すぐできるストレス軽減の具体策【5選】
「職場環境をすぐに変える」のは難しくても、自分の行動や習慣を少し変えるだけでストレスは和らぎます。ここでは、明日から取り入れられる具体的な方法を5つ紹介します。
1. 同僚との“振り返り雑談”を習慣化する
「今日一番うれしかったこと」を共有するだけでも、心が軽くなります。
小さな「ありがとう」の交換が、心理的なストレスを和らげ、孤独感を減らします。
→ 愚痴ではなく“プラスの共有”がポイント。
2. ストレッチや深呼吸を取り入れる
業務の合間に肩を回す、深呼吸するだけでも効果があります。
特に腰痛・肩こりを抱える職員にとっては、血流改善が疲労の軽減につながります。
→ 体をほぐす=心もほぐれる、これは科学的にも実証済みです。
3. 休憩時間の質を高める
忙しいので休憩中も仕事をしてしまうケースも多いと思いますが、休憩中は仕事から離れるように意識しましょう。また、スマホを使っていると脳が休まりませんので、目を閉じて静かに深呼吸する、香りアイテムを使う、外に出て5分歩くだけでもリフレッシュ効果があります。
→ 「休む」ではなく「リセットする」意識が大切。
4.完璧を求めない
すべてを完璧にこなそうとすると、時間も心もパンクしてしまいます。
「今日やるべきこと」を絞り込み、それ以外は翌日以降に回す勇気を持ちましょう。
→ ToDoリストは“短く・具体的に”が鉄則。
5. 自分の状態を“見える化”する
ストレスを溜め込みやすい人ほど、「気づかない」まま進んでしまいます。
簡単な日記やアプリで、自分の気分や体調を毎日チェックしましょう。
→ 文章や記録に残すことで自分を客観視でき、早めの対応が可能になります。
結論:小さな工夫を積み重ねることで、“心と体のバランス”は必ず取り戻せます。
「頑張らない工夫」を持つことが、ストレスと上手に付き合う第一歩です。
外部支援の活用で、負担を軽くし職場を変える
どれだけ個人で工夫を重ねても、限界はあります。ストレスの根本原因は「職場環境」や「組織構造」にも関わるため、外部の支援を取り入れることが効果的です。
1. 外部研修の活用
介護現場のメンタルヘルスをテーマにした外部研修を導入したり、厚生労働省が提供している研修動画を活用したりするのも選択肢です。職場のコミュニケーションをよくする研修、管理職向けのラインケア研修、怒りの感情をコントロールするためのアンガーマネジメント研修など、職場の課題に合わせて実施することができます。
職場のメンタルヘルスに関する様々なテーマについて短時間で学べる動画シリーズ。
2. 職場全体で取り組むストレスチェック制度
厚労省が推進しているストレスチェックを導入し、職員一人ひとりの状態を可視化。「気づかれにくい不調」を早期に発見し、対応につなげられます。
3. 職員と利用者の双方にメリットがあるプログラムの導入
最近注目を集めているのが、オンライン体操プログラムです。
- プロのインストラクターが介護現場に特化した体操をライブ配信
- 座ったまま参加できる安全設計のオリジナル体操メニュー
- 必要機材は ネット回線+PC(またはタブレット)+大型テレビ等
実際に導入した事業所では、「職員と利用者が一緒に体を動かす時間が増え、雰囲気が明るくなった」「体操を取り入れることで、職員同士の会話や協力も自然と増えた」という声も聞かれています。
結論:外部支援は“コスト”ではなく“投資”です。
職員が安心して働ける環境をつくることで、利用者へのサービスの質も高まり、結果的に事業所全体の安定につながります。
まとめ|「誰もがきつい」から、「みんなで変える」へ
デイサービス職員のストレスは、決して個人の弱さや努力不足が原因ではありません。身体的な負担・時間的拘束・人間関係や組織課題など、構造的な要因が複雑に絡み合って生まれるものです。だからこそ、必要なのは「一人で抱え込むこと」ではなく、チーム全体・職場全体で改善に取り組む姿勢です。
今日からできることのまとめ
- 自分のストレスを“見える化”する
- 小さな習慣(運動・休憩・振り返り)を取り入れる
- 上司や同僚に相談して、仕組みそのものを変えていく
- 外部支援を活用して、無理なく環境改善を進める
「安心して続けられる職場」への第一歩
「この仕事は好きだけど、続けられるか不安…」そう感じている方は少なくありません。ですが、ストレスを正しく理解し、小さな改善から積み重ねることで、働き続けられる環境は必ず作れます。