栄養アセスメント加算の完全ガイド:算定要件・LIFE活用・手順解説【2024年度改定対応】
通所系サービスにおける栄養ケア・マネジメントの強化を目的として新設された「栄養アセスメント加算」。この加算により、利用者の低栄養状態を的確に把握し、適切なサービスへつなげることができます。本記事では、栄養アセスメント加算の算定要件やLIFEへの情報提出方法、具体的な手順まで詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.栄養アセスメント加算とは?改定後の最新情報と概要
- 1.1.栄養アセスメント加算が重要視される背景
- 1.2.栄養アセスメント加算の対象サービス
- 2.栄養アセスメント加算の算定要件と単位数【LIFE対応必須】
- 3.栄養アセスメント加算の手順と実施方法【現場ですぐ使える】
- 3.1.低栄養リスクの把握
- 3.2.栄養管理上の課題の特定
- 3.3.結果説明と情報提供
- 3.4.ケアマネジャーとの情報共有
- 3.5.LIFEへの情報提出とPDCAサイクル
- 4.栄養アセスメント加算のLIFE対応【データ提出の実務】
- 4.1.LIFEへのデータ提出頻度
- 4.2.提出が必要な情報項目
- 5.栄養アセスメント加算と栄養改善加算の違い【2024年度改定対応】
- 5.1.対象者の違い
- 5.2.併算定に関する注意点
- 6.栄養アセスメント加算に関するQ&A【現場の疑問解決】
- 6.1.Q1.栄養アセスメント加算に栄養ケア計画書は必要ですか?
- 6.2.Q2.栄養アセスメントの頻度はどれくらいですか?
- 6.3.Q3.栄養アセスメント加算には様式やフォーマットの指定はありますか?
- 6.4.Q4.栄養アセスメント加算とリハビリテーションマネジメント加算の併算定は可能ですか?
- 7.まとめ
栄養アセスメント加算とは?改定後の最新情報と概要
栄養アセスメント加算は、栄養改善が必要な利用者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていくために、管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取り組みを評価する加算です。令和3年度の介護報酬改定で新設され、2024年度の改定でも継続されています。
栄養アセスメント加算が重要視される背景
要介護高齢者の多くは低栄養状態のリスクを抱えています。栄養不足により活動量が減少し、さらに食事摂取量が低下するという悪循環に陥りやすいのです。適切な栄養管理は、リハビリテーションや機能訓練の効果を高めるためにも不可欠です。
栄養アセスメント加算の対象サービス
栄養アセスメント加算は以下の5つの事業所が対象となります。
- 通所介護(デイサービス)
- 地域密着型通所介護(小規模なデイサービス)
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
栄養アセスメント加算の算定要件と単位数【LIFE対応必須】
単位数
栄養アセスメント加算の単位数は全てのサービスで共通しています。 - 50単位/月
算定要件の詳細解説
栄養アセスメント加算を算定するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
-
人員配置要件
事業所の職員として、または外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。 外部との連携先としては以下に限定されます。 - 医療機関 - 介護保険施設 - 公益社団法人日本栄養士会または都道府県栄養士会が設置・運営する栄養ケア・ステーション
-
アセスメント実施要件
利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種が共同して栄養アセスメントを実施し、その結果を利用者やその家族に説明し、必要に応じて栄養食事相談や情報提供等を行うこと。
-
LIFE活用要件
利用者ごとの栄養状態等の情報をLIFE(科学的介護情報システム)を用いて厚生労働省へ提出し、フィードバック情報を活用して栄養管理の質の向上を図ること。
栄養アセスメント加算の手順と実施方法【現場ですぐ使える】
栄養アセスメントは、以下の流れで3ヵ月に1回以上実施します。
-
低栄養リスクの把握
利用開始時に、利用者ごとの低栄養状態のリスクを把握します。体重測定は毎月実施する必要があります。
-
栄養管理上の課題の特定
管理栄養士等が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮しながら、解決すべき栄養管理上の課題を把握します。
-
結果説明と情報提供
栄養アセスメントの結果を利用者または家族に説明し、必要に応じて栄養管理上の課題に応じた栄養食事相談、情報提供等を行います。
-
ケアマネジャーとの情報共有
低栄養状態にある利用者またはそのおそれのある利用者については、ケアマネジャーと情報を共有し、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供を検討するよう依頼します。
-
LIFEへの情報提出とPDCAサイクル
LIFEへ情報を提出し、フィードバックを受け、利用者の状態に応じた栄養管理の内容決定、支援内容の評価、評価結果を踏まえた栄養管理の内容の見直し・改善の一連のサイクルによりサービスの質の管理を行います。
栄養アセスメント加算のLIFE対応【データ提出の実務】
LIFEへのデータ提出頻度
栄養アセスメント加算を算定するためには、以下のタイミングで情報をLIFEへ提出する必要があります。
- 栄養アセスメントを行った日の属する月
- 上記の月の他、少なくとも3月に1回
提出期限は各月の翌月10日までです。
提出が必要な情報項目
LIFEへ提出する情報項目は以下の7項目です。
- 実施日
- 利用者の要介護度
- 利用者の低栄養状態のリスクレベル
- 利用者の低栄養状態の状況
- 利用者の食生活状況等
- 栄養士やケアマネジャー等、多職種による栄養ケアの課題
- 総合評価や計画の変更
なお、食事を提供していない場合など、事業所で把握できない情報については、提出を求められていません。
栄養アセスメント加算と栄養改善加算の違い【2024年度改定対応】
比較項目 |
栄養アセスメント加算 |
栄養改善加算 |
---|---|---|
目的 |
利用者の低栄養状態のリスクの把握と評価 |
低栄養状態にある利用者の栄養状態の改善 |
対象者 |
通所系サービスを利用する全ての要支援・要介護者 |
BMI18.5未満、体重減少、血清アルブミン値定価など低栄養状態またはそのおそれがある利用者 |
単位数 |
50単位/月 |
200単位/回 (要介護:月2回まで、要支援:月1回まで) |
算定期間 |
制限なし(毎月算定可能) |
原則3か月以内の期間 |
必要書類 |
栄養アセスメントシート |
栄養ケア計画書 |
LIFEへの情報提出 |
必須 |
必須 |
栄養アセスメント加算と栄養改善加算は、どちらも通所系サービスにおける栄養に関する加算ですが、いくつかの重要な違いがあります。
対象者の違い
-
栄養アセスメント加算
- 通所系サービスを利用している全ての要支援・要介護者が対象です。
- 通所系サービスを利用している全ての要支援・要介護者が対象です。
-
栄養改善加算
- BMIが18.5未満、体重減少、血清アルブミン値低下、食事摂取量不良など、低栄養状態またはその恐れがある利用者が対象です。
併算定に関する注意点
原則として、利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間及び栄養改善サービスが終了した日の属する月は、栄養アセスメント加算は算定できません。
ただし、栄養アセスメント加算に基づく栄養アセスメントの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養アセスメント加算の算定月でも栄養改善加算を算定することができます。
栄養アセスメント加算に関するQ&A【現場の疑問解決】
Q1.栄養アセスメント加算に栄養ケア計画書は必要ですか?
A.栄養アセスメント加算の算定時には、栄養ケア計画書の作成は必要ありません。栄養ケア計画書は栄養改善加算の算定時に必要な書類です。
Q2.栄養アセスメントの頻度はどれくらいですか?
A.栄養アセスメントは3カ月に1回以上実施する必要があります。体重測定は1カ月ごとに行うことで毎月の算定が可能です。
Q3.栄養アセスメント加算には様式やフォーマットの指定はありますか?
A.指定のフォーマットはありませんが、厚生労働省から「栄養アセスメントシート」が提供されています。「別紙様式5-1(栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)」をダウンロードして使用することができます。
厚生労働省:「別紙様式5-1(栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)」
Q4.栄養アセスメント加算とリハビリテーションマネジメント加算の併算定は可能ですか?
A.2024年度改定により、栄養アセスメント加算とリハビリテーションマネジメント加算の併算定はできません。ただし、リハビリテーションマネジメント加算(ハ)の算定要件に栄養アセスメントの実施が含まれています。
まとめ
この記事では、「栄養アセスメント加算」について以下のポイントを中心に解説しました。
- 栄養アセスメント加算とは
算定要件と対象サービス
LIFEへのデータ提出の手順
-
栄養改善加算との違い
栄養アセスメント加算は、利用者の低栄養リスクを把握し、適切なケアを提供するための重要な取り組みです。特に、LIFEを活用することで科学的な根拠に基づいたケアが可能となり、利用者の健康管理をより効果的に行うことができます。
栄養管理の強化は、利用者の健康状態の改善だけでなく、事業所のサービスの質向上にも直結します。算定要件の確認や手順を正確に理解し、実務に取り入れることで、継続的なケアの質の向上を目指しましょう。
さらに、高齢者の低栄養に対する取り組みについては、こちらのお役立ち資料で詳しく解説しています。ぜひダウンロードしてご覧ください。
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