【2024年改定対応】ADL維持等向上加算のLIFE提出・評価方法を完全解説
2024年度の介護報酬改定により、「ADL維持等加算」の算定要件や評価方法に重要な変更が加えられました。特にLIFEへのデータ提出方法やADL利得の基準見直しなど、実務に直結するポイントが数多くあります。
本記事では、ADL維持等加算の基本から、改定の詳細、LIFE提出の具体的手順、評価の仕組み、そして加算取得に向けた実践的な戦略までをわかりやすく解説しています。制度改定への正確な対応と、事業所の収益向上を目指すために、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読んでいるあなたにおすすめの記事
お役立ち記事|ADL維持等加算とは。算定要件や加算を取得するポイント
お役立ち記事|科学的介護情報システム(LIFE)とは? 活用方法を解説
目次[非表示]
- 1.ADL維持等加算の基本概念と2024年度改定のポイント
- 1.1.ADL維持等加算とは
- 1.2.2024年度改定における主な変更点
- 2.ADL維持等加算の算定要件とLIFEへの登録方法
- 2.1.算定要件と単位数
- 2.2.LIFEへの登録手順
- 2.3.データ提出のタイミング
- 3.ADL維持等加算の評価方法とADL利得の計算
- 3.1.バーセルインデックスによるADL評価
- 3.2.ADL利得の計算方法
- 4.効率的なADL維持等加算の取得戦略
- 4.1.科学的介護推進体制加算との併用
- 4.2.運用上の注意点
- 5.まとめ
ADL維持等加算の基本概念と2024年度改定のポイント
ADL維持等加算とは
ADL維持等加算は、利用者の自立支援・重度化防止に繋がるサービスの提供を事業所へ促すインセンティブとして、評価期間の中でADLの維持または改善の度合いが一定の水準を超えている事業所を評価し、次年度の介護報酬に上乗せ加算するというアウトカム評価加算です。
2021年度の介護報酬改定で大幅に見直され、2024年度の改定でもさらなる変更がありました。この加算は対象者が「要介護」の方のみで、対象者のADL値を集計した結果、「維持」もしくは「改善している」結果が得られたら、評価期間終了後の1年間すべての要介護の利用者に対して加算を算定できるという、事業所の成果を高く評価する加算です。
また、こちらの記事でもADL維持加算について算定要件や加算取得のポイントを解説しています。併せてご覧ください。
2024年度改定における主な変更点
2024年度の介護報酬改定では、自立支援・重度化防止に向けた取組をより一層推進する観点から、ADL維持等加算(Ⅱ)におけるADL利得の要件が、「2以上」から「3以上」と見直されました。また、ADL利得の計算方法の簡素化も行われました。
令和5年4月以降が評価対象期間の始期となっている場合は、ADL利得が3以上の場合にADL維持等加算(Ⅱ)を算定することができます。
ADL維持等加算の算定要件とLIFEへの登録方法
算定要件と単位数
ADL維持等加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の算定要件と単位数は明確に区分されています。ADL維持等加算の算定を行うには、バーセルインデックスにてADL値を適切に評価し、LIFEにてデータ提出していることが求められます。
ADL維持等加算(Ⅰ)は30単位、ADL維持等加算(Ⅱ)は60単位と更に高い単位数が算定できます。単純に言えば、(Ⅰ)は現状維持、(Ⅱ)は改善に対して支給される加算です。
LIFEへの登録手順
LIFEへのデータ入力手順は、まず管理ユーザーまたは操作職員のアカウントでログインし、トップメニューから「令和〇年度ADL維持等加算算定」をクリックします。次に、「対象サービス」を選択すると利用者一覧が表示されます。
各介護サービス利用者のADL維持等加算情報の入力では、「初月」「6月後」「初月ADL」「6月後ADL」の入力を行います。入力操作は20分以内でこまめに一時保存することを推奨します。全対象者の入力完了後、計算ボタンをクリックすると算出結果が表示されます。
データ提出のタイミング
LIFEへのデータ提出は毎月ではなく、既存の利用者については加算の算定を始める月の翌月10日までとなっており、2回目以降の情報提供は、6ヵ月後の翌月10日までの合計2回と少ない頻度での提出ができます。
ADL維持等加算の評価方法とADL利得の計算
バーセルインデックスによるADL評価
ADL維持等加算の算定要件にあるADL値の測定は、バーセルインデックス(BI)の評価により合計100点満点で計算(測定)します。
バーセルインデックスの評価項目は、食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行(移動)・階段昇降・更衣・排便・排尿の全10項目で構成され、各項目を自立度に応じて15点・10点・5点・0点で採点します。採点方法は100点満点で採点できるので、見た目にもわかりやすい評価方法です。
ADL利得の計算方法
ADL利得の計算方法は「7ヵ月目のBIの合計値」から「初月のBI値」を差し引いた値に、初月のADL値に応じた調整係数(0〜3)を加えるというものです。式で表すと「7ヵ月目のBIの合計値-初月のBIの合計値+調整係数」となります。
このADL利得の計算方法は、LIFEに提出をすることで計算は自動で行なわれます。
ADL利得の計算につきましては、LIFEにADL値を提出することで計算が可能となっています。赤枠内が「1」以上の場合、ADL維持等加算(Ⅰ)・「3」以上の場合は、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定が可能です。
効率的なADL維持等加算の取得戦略
科学的介護推進体制加算との併用
科学的介護推進体制加算とは、2021年に新設された加算で、6ヶ月ごとに利用者のBI値(バーセルインデックス)を測定、LIFEへのデータ提出とフィードバックによりケアの質を向上させることを目的とした加算です。
ADL維持等加算を算定する際は、科学的介護推進体制加算(LIFE加算)と併せて算定を検討することをおすすめします。科学的介護推進体制加算はLIFE関連加算の中でもLIFEにデータを提出しフィードバックを受け取るだけで、施設を利用しているすべての利用者に対して算定が行える加算で、最低40単位を算定することができます。
ADL維持等加算(Ⅰ)は30単位が算定できるため、両加算を組み合わせることで月に合計70単位を取得できる計算になります。ADL維持等加算の算定要件にはADL値をLIFEにて提出することも含まれるため、ADL維持等加算と合わせて科学的介護推進体制加算も算定するようにしましょう。
運用上の注意点
ADL維持等加算は、体制届の提出するタイミングに注意する必要があります。この加算は1年間の評価期間を経て算定できる加算のため、算定を開始しようとする月の前年同月に、介護給付費算定に係る体制状況等一覧表の「ADL維持等加算〔申出〕の有無」を「2 あり」で提出する必要があります。また、「2 あり」と届けたものの、LIFEで確認した結果、ADL利得に係る基準を満たさなかった場合、今後本加算を算定する意思がなければADL維持等加算の有無は「1 なし」に変更することも必要です。
ADL維持等加算は、実際の算定までに時間を要する加算で、LIFEへの情報提供が必須であるなど、算定に対するハードルの高い加算となっていますが、算定できれば1年間という長い期間、30単位か60単位という多くの点数を加算できるため、可能であれば算定した方が良いでしょう。
しかし、ADL維持等加算はあくまで利用者のADLの維持向上に努め、一定の成果を挙げた事業所に対するインセンティブな加算であるため、適切な算定を行いましょう。
この記事の内容を踏まえ、貴事業所のADL維持等加算の取得や、利用者のADL維持・向上のための取り組みの参考にしていただければ幸いです。
まとめ
この記事では、ADL維持等加算について以下の内容で詳しく解説しました。
ADL維持等加算とは
2024年度改定の主な変更点
算定要件とLIFEへの登録手順
ADL利得の計算方法
科学的介護推進体制加算との併用
運用上の注意点
ADL維持等加算は、利用者のADL維持・向上を評価することで、事業所のサービス品質向上に繋がる重要な加算です。また、科学的介護推進体制加算と組み合わせることで、さらに高い単位数を取得することも可能です。
貴事業所の取り組みの質を高め、収益改善にもつながるADL維持等加算の取得をぜひ検討してみてください。
ADL維持等加算のADL評価でバーセルインデックスが(BI)が必要になります。バーセルインデックスは以下のセミナーで解説しています。ぜひこちらをご覧ください。
『ルネサンス』では、加算取得支援サポートサービス『R-Smart』を提供しており、帳票作成やタスク管理を徹底サポートします。LIFEとの連携にも対応しているため、データ提出の遅延防止にも役立てることが可能です。サービスの詳細はこちらまでお気軽にご相談ください。