自治体が民間企業と防災協定を締結するメリット。スポーツクラブを活用した防災の事例とは

自治体が民間企業と防災協定を締結するメリット。スポーツクラブを活用した防災の事例とは


日本では、地形・地質・気象などの自然的条件から、地震をはじめとするさまざまな自然災害が発生しやすいとされています。自治体においては、災害時に迅速な対応が行える体制を前もって整備しておくことが求められます。

そこで重要となってくるのが、民間企業との協定による災害への備えです。

自治体の担当者のなかには、「民間企業と防災協定を結ぶことでどのようなメリットがあるのか」「防災協定の事例が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、防災協定の概要やメリット、協力体制を構築するポイント、事例について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.防災協定とは
  2. 2.自治体と民間企業が防災協定を締結するメリット
    1. 2.1.自治体側のメリット
    2. 2.2.民間企業側のメリット
  3. 3.防災協定に基づく協力体制を構築する際のポイント
    1. 3.1.①防災協力の具体的な内容を決めておく
    2. 3.2.②平常時にも防災に関連した活動を設ける
    3. 3.3.③企業に対してインセンティブを付与する
  4. 4.スポーツクラブを活用した防災協定の事例
  5. 5.まとめ


防災協定とは

防災協定とは、災害時において自治体が民間企業の協力を得るために協定書や覚書を交わしておくことです。防災協定を締結することで企業の責任が明確となり、災害時の協力に実効性を持たせやすくなります。

企業による防災協力の例としては以下が挙げられます。


▼防災協力の例

  • 特別養護老人ホームにおける要配慮者の受け入れ
  • タクシー会社による負傷者の搬送 など



自治体と民間企業が防災協定を締結するメリット

防災協定を締結することで、自治体と民間企業の双方にメリットが生じます。


自治体側のメリット

自治体においては、企業の協力を得ることで災害時の対応をより円滑に行いやすくなります。


▼防災協定による自治体のメリット

  • 初動対応を迅速に行いやすくなる
  • 企業が持つ資機材やスキルを災害時に活用できる


災害時の初動対応は、被害の軽減や応急対策の策定に大きく影響します。防災協定を締結して企業の組織力や設備を利用できるようになることで、迅速な初動対応が実現できます。

また、企業が持つ専門的な資機材やスキルは、初動対応だけでなく災害からの復興においても重要となります。


民間企業側のメリット

自治体と協定を結んで地域の防災に取り組むと、企業にとっても以下のメリットが期待できます。


▼防災協定による企業のメリット

  • 災害時に地域経済が立ち直りやすくなる
  • 地域における信頼の確立につながる


災害で地域経済が落ち込んでしまうと、その地域における企業活動にも影響が生じます。民間企業にとっては、防災に協力して地域経済をいち早く復興させることが、事業における損失の軽減につながります。

また、災害時の支援が認知されると地域住民からの信頼を確立でき、商品・サービスを手に取ってもらうきっかけにもなります。



防災協定に基づく協力体制を構築する際のポイント

防災協力の実効性を確保するには、自治体と民間企業の間での協力体制の構築が欠かせません。


①防災協力の具体的な内容を決めておく

防災協力の内容については協定時点で具体的に定めておくことで、実効性を確保しやすくなります。


▼決めておく内容の例

  • 災害時に企業側が提供する物資・設備・サービスの内容
  • 被災者に物資・設備・サービスを提供するまでのフロー など


災害時に企業側が提供する物資・設備・サービスなどの内容を明確にしておくと、その活動に必要な準備を前もって進められます。

また、協力内容を実現するためのフローについて、自治体と企業で協力して策定することも重要です。


②平常時にも防災に関連した活動を設ける

平常時にも防災に関連した活動を行っておくことで、有事の際に民間企業の組織力を生かしやすくなります。


▼平常時における活動の例

  • 民間企業による地域の防災訓練への参加
  • 災害に備えた資機材の充実 など


民間企業による防災協力が迅速に行われるためには、災害時における従業員や事業所への被害を最小限に抑えることが欠かせません。そのためには、日頃からの防災に向けた取り組みが重要です。


③企業に対してインセンティブを付与する

民間企業による防災協力に対してインセンティブを付与する仕組みをつくっておくと、防災協力が円滑に進みやすくなると考えられます。


▼インセンティブを付与する仕組みの具体例

  • 表彰制度の整備
  • 防災協力が地域で評価される機運の醸成 など


インセンティブが付与されることで、民間企業にとっては防災協力によるメリットがより期待しやすくなります。それによって、防災協力の実効性も確保しやすくなると考えられます。



スポーツクラブを活用した防災協定の事例

スポーツクラブを活用した防災協定の事例


千葉県野田市とルネサンスの防災協定では、災害時における帰宅困難者の受け入れ施設としてルネサンスのスポーツクラブを利用することが取り決められています。

災害が発生した際にスポーツクラブの施設・設備が一部開放されるほか、避難者への健康維持の支援も実施します。


▼防災協定による具体的な取り組み

  • 帰宅困難者の一時滞在施設として、可能な範囲での施設提供
  • 避難者への温浴施設の利用受入れと健康維持の支援
  • 車中避難場所としての、施設の一部および設備の開放
  • 避難所における可能な範囲での運動支援
  • 防災イベントにおける普及啓発活動 など


  千葉県野田市と「災害時における施設利用及び避難所等での運動支援に関する協定」を締結 株式会社ルネサンスの最新情報をご覧いただけます。 https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=2206



まとめ

この記事では、自治体と民間企業による防災協定について以下の内容を解説しました。


  • 防災協定の概要
  • 自治体と民間企業が防災協定を締結するメリット
  • 防災協定に基づく協力体制を構築する際のポイント
  • スポーツクラブを活用した防災協定の事例


防災協定とは、災害時に自治体が民間企業の協力を得るために協定書や覚書を交わしておくことです。防災協定を締結することで企業が持つ資機材や組織力を災害時の対応に活用しやすくなります。

例えば、スポーツクラブと防災協定を締結した場合、スポーツクラブの建物を被災者の滞在場所として活用できます。また、運動設備や温浴施設も利用できるようになり、被災者の健康を維持しやすくなります。

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