地域活性化の事例4選! 成功させるポイントとは

地域活性化の事例4選! 成功させるポイントとは


現在国内では少子高齢化が進んでおり、特に地方は首都圏と比べて顕著となっています。2045年を迎える頃には、65歳以上の人口は首都圏の30%に対して、地方では40%を超えると推定されています。

また、地方では高齢化と併せて人口減少も大きな課題となっており、地域経済・産業の担い手不足やコミュニティの運営が困難になるなどの影響が見られています。

このような課題に対応するには、地域の特性や資源を生かして地域活性化に取り組み、活気あふれるまちづくりと自立的かつ持続可能な社会をつくることが重要です。

自治体の担当者のなかには「地域活性化を行いたいけれど、取り組み方が分からない」「自治体で活用できる資源やノウハウなどに不安がある」などとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、地域活性化の概要や課題、成功させるポイント、自治体での取り組み事例について紹介します。

出典:総務省『令和4年版 情報通信白書


目次[非表示]

  1. 1.地域活性化とは
    1. 1.1.少子高齢化の進行
    2. 1.2.東京圏への人口集中
    3. 1.3.地域活性化に向けた政府の動き
  2. 2.自治体による地域活性化の課題
  3. 3.地域活性化を成功させるためのポイント
    1. 3.1.①地域資源の棚卸しを行う
    2. 3.2.②世代を超えて交流できる居場所をつくる
    3. 3.3.③官民連携による取り組みを推進する
  4. 4.地域活性化の取り組み事例
    1. 4.1.①福岡県久留米市の事例
    2. 4.2.②高知県の事例
  5. 5.ルネサンスの取り組み事例
    1. 5.1.③公民館や集会所の日常活用事例
    2. 5.2.④子どものための運動教室を開催した事例
  6. 6.まとめ


地域活性化とは

地域活性化とは、各地域の経済・社会・文化などを活発化させて地域の維持・発展を図ることです。


▼地域活性化によって自治体が目指すこと

  • 地方都市での安定した雇用の創出
  • 子育てがしやすい環境の整備による地方移住の推進
  • 公共施設や遊休施設などの地域資源を活用した、地域住民におけるつながりや経済循環の実現
  • デジタル技術を活用した安心して暮らせるまちの機能の充実


自治体で地域活性化の取り組みが必要とされる背景には、少子高齢化の進行や東京圏への人口集中が挙げられます。


少子高齢化の進行

2022年10月1日時点の日本の総人口は1億2,495万人となり、65歳以上の人口は全体の29.0%となる3,624万人に及びます。2070年には総人口が9,000万人を割り、高齢化率は39%の水準となることが推計されています。


▼日本における総人口の推移

日本における総人口の推移

画像引用元:厚生労働省『将来推計人口(令和5年推計)の概要


人口減少と高齢化が進むと、経済・産業活動が縮小して小売・飲食・医療機関などの生活関連サービスまたは行政サービスの水準が低下することが懸念されます。

また、地域コミュニティが希薄になることで共助機能や防災力が低下したり、地域のにぎわいと愛着が失われたりする可能性もあります。

地域の生活関連・行政サービスの維持と将来の世代にわたって安心して暮らせる環境を目指すために、自治体による魅力的なまちづくりが求められます。

出典:内閣府『令和5年版 高齢社会白書』/厚生労働省『将来推計人口(令和5年推計)の概要


東京圏への人口集中

近年、国内の人口は東京圏へ集中しています。

総務省が発表した2022年の人口推計によると、東京都のみ人口が増加しており、そのほかの都道府県では人口の減少が見られています。


▼都道府県別の人口増減率

都道府県別の人口増減率

画像引用元:総務省統計局『人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)


東京圏に人口が集中すると、地域経済・産業の担い手が不足して地域社会の衰退につながることが懸念されます。

東京圏への人口流出による地域の過疎化に対応するには、地方への移住促進や雇用の創出、子育てしやすい環境の整備などを通して、「住み続けたい」と思えるようなまちづくりに取り組むことが必要です。

出典:総務省統計局『人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)


地域活性化に向けた政府の動き

第二次安倍内閣の2014年に、政府は全国各地の自治体で地域活性化を促進するために「まち・ひと・しごと創生法」を議決、執行しました。これにより“地方創生”という言葉は広く認知され、地域活性化に注目が集まりました。
 
現在では「まち・ひと・しごと創生法」は廃止されましたが、政府による地方活性化への取り組みは「まち・ひと・しごと創生総合戦略」「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」という形で継続しています。
 
地域経済の活性化の他に、今後日本が直面する少子高齢化への対策や東京圏への人口集中を是正することを目的に、全国各地の自治体は地域活性化に取り組んでいます。
 
また政府も、2015年に国連で採択された世界共通の目標であるSDGsの推進や、Society 5.0と呼ばれる新しいシステムの社会の実現に向けた取り組みとして、助成金をはじめとした地域活性化への積極的な支援を行っています。

出典:内閣府『 Society 5.0 – 科学技術政策


自治体による地域活性化の課題

自治体が地域活性化に取り組むにあたって、次のような課題に直面することがあります。


▼地域活性化の課題

  • 活用できる資源が分からない
  • 地域の人的リソースや財源に限りがある


地域活性化のためには、地域資源を有効活用することが欠かせません。しかし、「どの資源が活用できるのか」「資源はあるがどのように活用すればよいのか」が分からず、具体的なプロジェクトの策定までつながらないケースがあります。

また、地域活性化を推進するには、災害リスクを踏まえたインフラの整備や地域のコミュニティ再生、地域資源の老朽化対策などの課題に応じた投資が必要です。

このような取り組みを推進する知識・ノウハウを持つ人材を自治体内で確保するのが難しい場合や、財源に限りがあることによって地域活性化のための投資を十分に行えない可能性があります。



地域活性化を成功させるためのポイント

自治体による地域活性化を成功させるためには、地域資源の活用とコミュニティの形成、官民連携による取り組みの推進を行うことが重要です。


①地域資源の棚卸しを行う

地域活性化に向けた新たな施設を整備するために、地域資源の棚卸しを実施して新たな地域資源の発掘や再評価を行います。

文化や産業といった観光資源になるものだけでなく、市町村の統廃合によって使われなくなった遊休施設の状況についても把握することがポイントです。


▼有効活用できる地域資源の例

  • 旧公民館や旧保健所、旧保険福祉センター
  • 廃校になった小中学校
  • 公共の空き地
  • 空き家
  • 公共施設の空きスペース


地域のコミュニティや健康づくりを促進するための新しい施設のほか、医療・介護・生活支援を行う拠点として地域資源を有効活用できます。

なお、遊休施設の活用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  遊休施設の活用方法。官民連携で地域活性化を図るメリットとは 自治体における企画政策課の担当者のなかには、「遊休施設をどのように活用すればよいのか」「官民連携で遊休施設を活用するメリットはあるのか」などと対応を検討されている方もいるのではないでしょうか。この記事では、官民連携による遊休施設の活用方法とメリット、ルネサンスが協同で取り組んだ事例について解説します。 株式会社ルネサンス


②世代を超えて交流できる居場所をつくる

少子高齢化が進む地域において、社会的孤立の発生や深刻化を防ぐには、世代を超えた交流を生み出す居場所をつくることも重要なポイントとなります。


▼交流を生む居場所づくりの例

  • 防災拠点として地域のコミュニティを形成できる複合施設をつくる
  • 既存の公共施設や遊休施設を活用して生活関連サービス・地域活動の拠点をつくり、生活圏を形成する
  • 公共施設で自助・共助の啓発に向けたイベントを実施して、地域住民の防災力を高める
  • 空き家・空き地を活用して、アートギャラリーや体験型工房、特産物の販売イベントなどを実施する


地域の現状課題・魅力・住民のニーズなどを踏まえたうえで、新たな施設・サービスの提供やイベントの開催などを行うことによって、まちの活気づくりと住民同士のつながりを創出できます。


③官民連携による取り組みを推進する

地域の人的リソースや財源に関する課題に対応するには、民間企業と連携して人材・設備・ノウハウなどを取り入れることが重要です。

官民連携で取り組むことによって、多角的な視点から地域の課題を見つめ直せます。その結果、新たな交流拠点の創出や地域住民の暮らしやすさにつながるサービスなどのアイデアが生まれることが期待できます。

また、民間事業者のノウハウを基に事業性を精査してもらったり、経営能力・人材・設備などの資本を活用したりすることによって、計画的にプロジェクトを進行できるようになります。



地域活性化の取り組み事例

ここからは、自治体による地域活性化の取り組み事例を紹介します。


①福岡県久留米市の事例

福岡県久留米市では、地域におけるつながりの希薄化や複合的な悩みを抱える世帯の増加などの課題を解決するために、世代を超えた交流と居場所づくりを通して地域活性化に取り組んでいます。


▼本業+αプロジェクト

本業とする店舗や施設から派生した新たな店舗・サービスを提供して、さまざまな人たちが集える居場所を増やすことによって、互いに見守り合えるまちづくりを目指しています。


▼久留米10万人女子会久留米10万人女子会

女性自身の課題解決と地域のつながりを形成するために生まれたプロジェクト。地域の困りごとを話し合い、解決につなげています。


▼じじっか

“実家よりも実家”をコンセプトにした子育て拠点を設けて、地域や民間企業の協力を得ながらひとり親への支援、使わなくなったおもちゃのプレゼントなどを行っています。


地域住民・民間団体・自治体が一丸となって、人と人とのつながりを形成する場所づくりやイベントの開催を行うことによって、住民同士が多様に支え合える地域を目指しています。

出典:厚生労働省『令和5年版 厚生労働白書


②高知県の事例

高知県の事例

画像引用元:高知県『【高知型地域共生社会】あったかふれあいセンター


高知県では、人口減少や高齢化が進む中山間地域の維持・再生を図るために、地域に密着した小規模な拠点を中心としたコミュニティづくりを推進しています。


▼集落活動センター

地域での生活や福祉、防災などに関する活動の拠点です。平時には地域コミュニティの場として、災害時には災害対応拠点として利用できます。


▼あったかふれあいセンター

集落活動センター内に設けられた地域の福祉施設です。高齢者や障がい者、子育て家族などを支援する居場所と生活支援サービスを提供しています。


両センターでの活用を通して、地域の助け合い・支え合いや地域資源を生かした産業の創出を目指しています。

出典:内閣官房『地域活性化と連携した国土強靭化の取組について



ルネサンスの取り組み事例

次に、ルネサンスでの取り組み事例を紹介します。


③公民館や集会所の日常活用事例

住民の自宅から歩いて通える距離にある公民館や集会所、利用率の低下している公共施設などを、住民同士が集える交流の場として活用した事例です。

地域交流の場を設けて社会参加の場づくりを行い、QOLの向上や世代を超えた共生型社会への展開を目指しています。

ルネサンスでは、運用のサポートをはじめ、定期的な運動指導・体力測定などの出張指導、体験教室・講演会の実施などを行いながら、徐々に地域住民主体で活動を継続していただけるように支援しています。


④子どものための運動教室を開催した事例

中心市街地にある大規模遊休地を活用して、子どものための運動教室イベントを開催した事例です。

多用な動きを取り入れた遊びを段階的に組み込んで、子どもたちの身体活動を増やすことを目指しています。

近年、放課後の子どもの遊び場が少なくなっていることが問題視されています。この教室では、身体を動かせる遊びの場所を提供して、子どもたちの健やかな身体を育むことを目的としています。

また、定期的にスポーツ選手をスペシャルゲストとして招くイベントや、保護者見学会を開催しており、親子で楽しめる内容になっています。



まとめ

この記事では、地域活性化について以下の内容を解説しました。


  • 地域活性化の取り組みが求められる背景
  • 自治体による地域活性化の課題
  • 地域活性化を成功させるためのポイント
  • 地域活性化の取り組み事例


少子高齢化や東京圏への人口集中が進む今、自律的かつ持続可能なまちをつくるには、地域活性化を通してにぎわいや人と人とのつながりを創出したり、住民が安心・安全に暮らせる環境を整備したりすることが求められます。

地域活性化を成功させるには、地域資源の活用をはじめ、コミュニティ形成に役立つ居場所づくり、官民連携による取り組みの推進を行うことがポイントです。

ルネサンス』では、その地域が持つ魅力や自治体が保有する資源を生かして、課題を解決するための地域活性化を支援しています。使用されていない公共施設の空きスペースや眠っている遊休施設を利用して、多世代が交流できるにぎわい創出の場所づくりをご提案します。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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