遊休施設の活用方法。官民連携で地域活性化を図るメリットとは
遊休施設とは、現在使われていない施設のことです。公有の施設についても市町村合併による施設の統廃合が起きた影響で旧施設の遊休化が進んでおり、特に過疎地域では数多く存在しています。
自治体では、遊休施設を有効活用して地域の復興や課題解決、住民の交流促進などに資する新たな施設へと再整備する事業が推進されています。
自治体における企画政策課の担当者のなかには、「遊休施設をどのように活用すればよいのか」「官民連携で遊休施設を活用するメリットはあるのか」などと対応を検討されている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、官民連携による遊休施設の活用方法とメリット、ルネサンスが協同で取り組んだ事例について解説します。
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目次[非表示]
- 1.遊休施設の活用とは
- 2.官民連携による遊休施設の活用方法
- 3.遊休施設の活用を官民連携で行うメリット
- 3.1.事業性を精査してもらえる
- 3.2.民間事業者の資本を活用できる
- 3.3.地域における雇用の創出につながる
- 4.官民連携によって遊休施設を有効活用した事例
- 4.1.熊本県合志市の事例
- 4.2.三春町(保健センター)の事例
- 4.3.鳥取県境港市の事例
- 5.まとめ
遊休施設の活用とは
遊休施設の活用とは、遊休施設やその土地を有効活用して地域の課題解決に向けた新しい施設へと再整備することを指します。活用される遊休施設には、廃校になった校舎や旧公民館、放置されている倉庫などが挙げられます。
▼遊休施設の活用例
- 旧公民館を地域住民のコミュニティ拠点とする
- 保健センター跡地を地域の健康づくり拠点として活用する
- 統廃合により活用されていない公共施設の一部を地域の通いの場として活用する
遊休施設を有効活用することによって、以下の効果が期待できます。
▼遊休施設の活用による効果
期待できる効果 |
活用方法 |
地域の活性化 |
商業施設への転換や地域生活支援拠点を整備して、にぎわいの創出、暮らしやすさの向上を図る |
災害に強いまちづくり |
防災拠点や防災倉庫を整備して、災害時の自助・共助による防災力の向上を図る |
少子高齢化への対応 |
介護福祉施設や交流センター、保育所などを整備して、地域共生のまちづくりを目指す |
地域の活性化や防災、少子高齢化などの地域の課題に応じて遊休施設の活用を進めるには、官民連携での取り組みが有効です。
官民連携による遊休施設の活用方法
自治体の財政状況が厳しくなるなかで、公有の建物・土地の効率的な利用と不要な資産の売却要請が高まっています。
使用されていない遊休施設を民間事業者に売却または貸与することで、まちづくりや都市再生に役立てられると期待されています。
官民連携による遊休施設の活用には、以下の方法が考えられます。
▼遊休施設の活用方法
- 遊休施設の土地を売却して民間事業者による街づくりを誘導する
- 遊休施設やその土地を民間事業者に貸与して事業に利用してもらう
- 遊休施設と周辺の土地を含めた再開発を民間事業者と連携して行う
画像引用元:国土交通省『第3章 公有地等のまちづくり活用事例集』
遊休施設の活用を官民連携で行うメリット
遊休施設を自治体が自らで活用する場合に加えて、官民連携で取り組むことによって、事業性を踏まえた計画の策定やリソースの有効利用などのさまざまなメリットが期待できます。
事業性を精査してもらえる
1つ目のメリットは、事業性を精査してもらえることです。
営利団体となる民間事業者と連携すると、民間事業者の実績・ノウハウを基に新たな施設を整備するための設計・企画を策定したり、金融機関からの融資や民間機構の出資などによる事業計画を策定したりして、関係者間の多様な観点から事業性を評価できます。
事業として成立する見通しを立ててプロジェクトを進行することによって、遊休施設の活用が失敗するリスクを避けられます。
民間事業者の資本を活用できる
2つ目のメリットは、民間事業者の資本を活用できることです。
遊休施設を活用してまちづくりや再開発を行う際、自治体だけではノウハウ・リソース・コストなどの資本が不足する可能性があります。
官民連携を行うことで「遊休施設を保有しているものの、有効活用ができていなかった」という場合に、民間事業者が持つ経営能力・人材・設備・技術力などを取り入れられるようになり、効率的な運用ができます。
地域における雇用の創出につながる
3つ目のメリットは、地域における雇用の創出です。
遊休施設を再整備して、官民の複合施設として運営できるようになると、そこで働く人員を確保するための雇用が新たに創出されます。
雇用の創出によって事業の安定化やサービス品質の向上につながると、地域にもよい経済循環が生まれると期待できます。
官民連携によって遊休施設を有効活用した事例
ここからは、ルネサンスを含めた官民連携の取り組みによって、遊休施設を地域の健康づくり拠点やコミュニティ拠点として新たに整備した事例を紹介します。
熊本県合志市の事例
熊本県合志市では、旧西合志庁舎の“ユーロ合志”を活用して、地域住民の健康増進を図るコミュニティ拠点を開設しました。
ルネサンスが持つ高齢者への健康促進や多世代交流による地域活性化などのノウハウを活用して、国立大学法人熊本大学と日本ユニシス株式会社、Kuru-Lab株式会社が連携しながら地域住民の健康増進および地域発展を目指しています。
▼フィットネス&コミュニティ コレカラダ
コレカラダは、Kuru-Lab株式会社が開設した地域密着型のフィットネス&コミュニティ施設です。最新のフィットネスマシンやスタジオプログラムの提供に加えて、運動を通じたコミュニティ形成によって心身の健康増進を支援しています。
▼コレカラボ
コレカラボは、コレカラダで取得した地域住民の健康データを熊本大学が教育・研究に利用する拠点です。また、そのデータを管理・流通するプラットフォーム『地域ビジネスエコシステム』を日本ユニシス株式会社が提供しています。合志市やルネサンス、そのほかの事業者と活用することで、健康データの利活用による経済価値の創出・循環による地域住民への還元を目指しています。
三春町(保健センター)の事例
福島県三春町では、保健センターを活用して町民の健康づくりの拠点となる町営ジム(マチトレ)を開設しました。
ルネサンスからフィットネスマシンや運動システムを提供しており、幅広い世代の健康増進を支援しています。
▼三春町 町営ジム マチトレ
マチトレでは、フィットネスマシンや運動システムを完備していることに加えて、ルネサンスから月2回程度の頻度で指導員の派遣を行っています。また、スポーツクラブ品質の映像プログラムも 活用し、集団での運動プログラムも実施してい ます。介護予防や生活習慣の改善、ダイエットなどさまざまな目的で活用されています。
鳥取県境港市の事例
鳥取県境港市では、ルネサンスによるフィットネスクラブの開業支援のもと、地元企業の株式会社KENによるフィットネススタジオを開業しました。
株式会社KENは、「人と人を結ぶ場をつくり、結ぶ人を育てることで、心と身体の健康を地域に提供する」という理念に基づき、市と連携して地域住民の健康づくりを促進することを目標としています。
▼フィットネス&スタジオ ユミナ24
ユミナでは、トレーニングジム・スタジオを完備しているほか、管理栄養士による対面指導、SNSを活用した栄養アドバイスなどを実施しており、運動習慣のきっかけづくりや地域のコミュニケーションの場としてまちづくりに貢献しています。
まとめ
この記事では、遊休施設の活用方法について以下の内容を解説しました。
- 遊休施設の活用とは
- 官民連携による遊休施設の活用方法
- 遊休施設の活用を官民連携で行うメリット
- 官民連携によって遊休施設を有効活用した事例
自治体が所有する遊休施設を活用して、地域住民のコミュニティ形成や防災、健康づくりなどの拠点を整備することで、地域の活性化、暮らしやすさの向上といった新たな価値を創出できます。
また、官民連携で遊休施設の活用に取り組むと、民間事業者が持つ経営能力と資本を活用して、再開発や複合施設の整備などによる街づくりを効率的に進められるようになります。
『ルネサンス』では、自治体が保有する遊休施設を活用して、新しい事業の創出や地域活性化に向けたまちづくりを支援しております。地域住民の健康促進や集いの場として活用したり、防災拠点に転換したり、自治体の課題に合わせたご提案が可能です。詳しくは、こちらからお問い合わせください。