メタボリックシンドロームの改善方法と従業員の健康維持対策
肩こり・腰痛やメンタルヘルス不調をはじめ、健康維持においてリスクとなる要因はさまざまあります。なかでも“メタボリックシンドローム”は代表格ともいえるリスクの一つです。
メタボリックシンドロームまたはその予備軍と診断されてしまった従業員がいる場合、体重・体型・血液状態を、食事や運動で改善して、危険因子から遠ざけることが大切です。
この記事では、メタボリックシンドロームを改善する方法を3つ紹介します。従業員の健康維持の対策としてご参考ください。
目次[非表示]
- 1.①カロリーコントロール
- 2.②血糖値コントロール
- 3.③中性脂肪コントロール
- 4.まとめ
①カロリーコントロール
1つ目の対策方法は、カロリーコントロールです。
メタボリックシンドロームの主な要因は、内臓脂肪の蓄積だといわれています。内臓脂肪は、遺伝や生活習慣病などが要因となり、摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで蓄積されます。
メタボリックシンドロームの該当者は、動物性脂肪を取り過ぎているといわれているため、リスクを軽減するためにも適切なカロリーコントロールを行うことが大切です。
厚生労働省が発表した『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』によると、1日に必要な摂取カロリーの目安は、以下のとおりです。
画像引用元:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』
また、1日に必要な摂取カロリーの計算方法は、標準体重に身体活動レベルをかけて求めることができます。
▼標準体重の計算式
標準体重=身長(m)×身長(m)×BMI22 |
▼身体活動レベル
- 低い:25~30kcal(デスクワークの人)
- 普通:30~35kcal(立ち仕事の人)
- 高い:35~40kcal(力仕事の人)
体重が標準よりも重い人は、摂取カロリーを制限する必要があります。摂取カロリーを制限する方法は、以下のとおりです。
▼摂取カロリーを制限する方法例
- 甘い食べ物・お酒・主食の摂取量を減らす
- 咀しゃくの回数を増やして満腹中枢を刺激する
- 約20分かけて食事をとる
- 塩分は控えめにして野菜を多く食べる
食事を改善するだけではなく、消費カロリーを増やすために、運動することも重要です。
▼運動例
- 筋トレによって筋肉量を増やす
- 通勤時に1駅分歩く
- エスカレーターを使わない
- 早歩きをする
出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』
②血糖値コントロール
2つ目の対策方法は、血糖値コントロールです。
血糖値の上昇は、肥満・運動不足が要因といわれています。血糖値をコントロールするには、血糖値を緩やかに上げる食べ方でインスリン(※)を大量に出さないようにします。
▼緩やかに血糖値を上げる食べ方の例
- GI(Glycemic Index:食後血糖値の上昇度を示す指標)値55以下の食材を選ぶ
- 副菜から食べる
- ゆっくり食べる
- 1日3食バランスのよい食事をとる
また、筋肉が増えるとインスリンの効果が高まり血糖値が下がりやすくなります。食事改善とともに、日々の生活のなかに運動を取り入れることも必要です。
▼運動例
- 食後に10分程度散歩する
- 10回できつくなる筋トレを数種類行う
なお、治療中や投薬中、運動制限を受けている方は、医師からの指示を優先します。
※インスリンとは、血糖を下げる働きのある膵臓から分泌されるホルモンのこと。
③中性脂肪コントロール
3つ目の対策方法は、中性脂肪コントロールです。
トリグリセライドとも呼ばれる中性脂肪が増えすぎると、HDL(善玉)コレステロールが減少して、LDL(悪玉)コレステロールが増加します。
この状態が続くと、動脈硬化が起きて心筋梗塞や脳梗塞を発症する恐れがあります。
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を“脂質異常症”といいます。診断基準は以下のとおりです。
▼脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール |
140mg/dL以上 |
高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL |
境界域高LDLコレステロール血症 |
|
HDLコレステロール |
40 mg/dL未満 |
低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド |
150 mg/dL以上 |
高トリグリセライド血症 |
Non-HDLコレステロール |
170mg/dL以上 |
高non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL |
境界域高non-HDLコレステロール血症 |
厚生労働省『脂質異常症』を基に作成
食事や運動などの生活習慣を見直したうえで中性脂肪値をコントロール・改善することが大切です。中性脂肪をコントロールするには、食生活を見直す必要があります。
▼食生活の改善例
- メニューを和食中心にする
- 甘い食べ物・アルコール量を減らす
- 魚・大豆製品・食物繊維の摂取量を増やす
- 脂っこい食品を摂り過ぎない
さらに、運動はトリグリセライドを減らして、HDLコレステロールを増やす効果があります。
▼運動例
- 有酸素運動を1日30分行う
- ウォーキングは息が弾む・会話ができる程度の早さにする
- スクワット・腹筋・腕立て伏せなどを行う
また、職場での食事・運動不足改善には、以下の取組みが挙げられます。
▼職場で食事改善を行う主な取組み
- 社員食堂にサラダバーを設置する
- カロリーを意識したヘルシーメニューを導入する
- カロリーやGI値を表示した食事バランス表を掲示する
- 希望社員を対象にしたダイエット企画を実施する
▼職場で運動不足改善を行う主な取組み
- 職場にトレーニング器具を設置する
- 昼休みにエクササイズ教室を開催する
- 従業員に歩数計を支給する
- 徒歩や自転車通勤の日を設ける
なお、職場での食事・運動不足改善の取組みは、カロリーコントロール、血糖値コントロールにも有効です。
出典:厚生労働省『脂質異常症』
まとめ
この記事では、メタボリックシンドロームの改善方法について、以下の項目を解説しました。
- カロリーコントロール
- 血糖値コントロール
- 中性脂肪コントロール
メタボリックシンドロームの該当者が職場内にいる場合は、従業員個人の問題と放置せず、職場全体で食事や運動の改善対策を行ってみてはいかがでしょうか。
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