特定保健指導では何をする? 目的や実施の流れ、生活習慣改善に向けた取り組みとは
日本人の死因の約半数は、生活習慣病に起因しています。
健康寿命を延ばすには、生活習慣病の予防と早期発見・治療が重要となることから、地域や職場ではメタボリックシンドロームに着目した“特定健康診査(以下、特定健診)が実施されています。
また、健診の結果、生活習慣病のリスクが高いとされる対象者には、専門家による“特定保健指導”を実施することが医療保険者に義務づけられています。
各自治体の健康づくりを推進する部署および従業員の健康管理に携わる企業担当者はよく理解されていると思いますが、「特定保健指導は何のために行われるのか」「具体的にどのような流れで指導が行われるのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、特定保健指導の概要や流れ、ルネサンスでの取り組みについて解説します。
出典:政府広報オンライン『生活習慣病の予防と早期発見のためにがん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!』
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特定保健指導とは
画像引用元:e-ヘルスネット『特定健康診査・特定保健指導』
特定保健指導とは、メタボリックシンドロームに着目した特定健診の結果、生活習慣病のリスクが高いと判定された方に対して医師・保健師・管理栄養士などの専門家が生活習慣の改善指導を行うことです。
特定健診と特定保健指導は、40~74歳未満の医療保険加入者が対象となっており、医療保険者に実施が義務づけられています。
国民の健康寿命の延伸と医療費適正化のために2015年から厚生労働省によって開始されたデータヘルス計画では、医療保険者による特定健診と特定保健指導の実施率を向上させるための目標が定められています。
2023年までの第3期データヘルス計画では、特定保健指導における実施率の目標は45%でしたが、22.7%にとどまる結果となりました。
▼第3期(2023年まで)の特定保健指導終了者数・特定保健指導実施率
画像引用元:厚生労働省『特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等に関する資料』
2024年からは、第4期データヘルス計画が開始される予定となっており、2029年までに特定保健指導の実施率を45%にする目標が掲げられています。
出典:e-ヘルスネット『特定健康診査・特定保健指導』 /厚生労働省『特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等に関する資料』
特定保健指導の目的
特定保健指導の目的は、生活習慣病の予防と健康状態の改善です。
生活習慣病の初期は自覚症状がない場合も多く、病気が進行してから発見されることも珍しくありません。
病気の予防や進行を抑えるには、特定健診を実施して病気のリスクを早期発見するとともに、特定保健指導によって運動習慣・食生活・禁煙などの生活習慣を見直すことが重要です。
生活習慣病のリスクが高い対象者に対して、専門家によるアドバイスを行うことで、自らの健康について考えて生活習慣を改善するための意識の向上と行動変容を促せるようになります。
特定保健指導の目標
特定保健指導には、専門家による指導を通してどれくらいの成果につながったかを評価するために、成果がどれだけ得られたかを数値化するアウトカム評価によって達成目標が定められています。
▼アウトカム評価
腹囲2cm・体重2kg(※)の減少
また、腹囲2cm・体重2kgに達しない状態であっても、以下の成果が見られた場合には同等の評価が行われます。
▼アウトカム評価の成果と同等に評価される条件
- 腹囲1cm・体重1kgの減少
- 対象者の行動変容によるアウトカム評価と、プロセス評価の合計が180p以上になる
第4期データヘルス計画における特定保健指導のアウトカム評価とプロセス評価の項目・基準は、以下のとおりです。
▼【第4期】特定保健指導のアウトカム評価とプロセス評価
画像引用元:厚生労働省『特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等に関する資料』
なお、アウトカム評価は、初回の面接から3ヶ月以上経過した時期に実施します。食習慣や禁煙などの行動変容については、生活習慣の改善が2ヶ月以上継続した場合に評価を行います。対象者が上記の目標に達した場合には、特定保健指導は終了となります。
※健診時の体重に0.024を乗じた体重(kg)以上かつ、同体重と同じ値の腹囲(cm)以上が減少していること。
出典:厚生労働省『特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等に関する資料』
特定保健指導における2つの支援方法と流れ
特定保健指導では、生活習慣病のリスクの程度に応じて2つの支援が行われます。
①動機づけ支援
動機づけ支援は、生活習慣の改善に向けた行動変容を促すための支援です。原則1回の支援が行われます。
医師や保健師などの専門家の指導によって生活習慣に関する行動計画を立てたあと、おおむね3~6ヶ月後にその行動計画を継続して効果が出ているかを評価します。
▼動機づけ支援の流れ
- 個別もしくはグループで面接を行いヒアリングやアドバイスを行う
- 面接で行動計画や目標体重・腹囲を決定する
- 3~6ヶ月後、行動計画の継続状況や目標に達しているかを評価する
出典:政府広報オンライン『生活習慣病の予防と早期発見のためにがん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!』
②積極的支援
積極的支援は、対象者への動機づけとともに、専門家による3ヶ月以上の定期的・継続的な支援を行います。おおむね3~6ヶ月後に、その行動計画を継続して効果が出ているかを評価します。
▼積極的支援の流れ
- 個別もしくはグループで面接を行いヒアリングやアドバイスを行う
- 面接で行動計画や目標体重・腹囲を決定する
- 3ヶ月以上にわたって行動計画の継続状況と成果について評価して、アドバイスやフォローなどの支援を行う
- 3~6ヶ月後、行動計画の継続状況や目標に達しているかを評価する
初回の面接支援については個別の場合は20分以上、グループ(おおむね8名以下)の場合は80分以上行われます。
なお、自治体による生活習慣病の予防への取り組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
出典:政府広報オンライン『生活習慣病の予防と早期発見のためにがん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!』
ルネサンスによる生活習慣の改善に向けた取り組み
ルネサンスでは、各自治体の健康づくりを推進する部署や企業の健康管理担当者に向けて、特定保健指導の対象となる住民や従業員の生活習慣改善を目指す各種プログラムを提供しています。
対象者の健康課題に合わせて、運動と食事を中心とした生活習慣教室を実施することで、健康づくりの啓発とヘルスリテラシーの向上を後押しします。
▼健康改善教室の実施例
実施プログラム |
取り組み内容 |
事前評価 |
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セミナー |
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運動プログラム(一例) |
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事後評価 |
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健康教室を通して運動の機会を創出できるだけでなく、食事・運動の正しい知識を身につけたり、生活習慣の改善のための目標設定・評価を行ったりすることで、自発的なセルフケアを促せるようになります。
プログラムの実施にあたっては、講師派遣のほか、全国のスポーツクラブルネサンスの店舗を会場にしての教室開催や、オンラインまたはビデオオンデマンドを使用した方法を選択することも可能です。
まとめ
この記事では、特定保健指導について以下の内容を解説しました。
- 特定保健指導の目的と目標
- 特定保健指導における2つの支援方法と流れ
- ルネサンスによる生活習慣の改善に向けた取り組み
生活習慣病が進行すると、さまざまな病気につながるリスクがあります。特定健診によって生活習慣病のリスクが高いと判断された対象者には、特定保健指導を実施して、食生活や睡眠習慣、禁煙習慣などを見直すための働きかけを行うことが重要です。
『ルネサンス』では、自治体や企業における健康づくりを支援するプログラムを提供しています。食生活や運動に関する正しい知識を習得したり、特定健診の結果に応じた目標設定とプログラムの選定を自ら行ったりする仕組みによって、対象者の自発的な行動を後押しします。
プログラムに関する詳しい内容は、こちらからご確認ください。