新しい地方経済・生活環境創生交付金とは?採択ポイントと事例を解説

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2025年度に創設された『新しい地方経済・生活環境創生交付金』は、地域経済の稼ぐ力と、防災・交通などの生活環境の整備を支援する制度です。

日本の地方創生交付金は2014年に創設され、2016年の『地方創生推進交付金』による戦略立案、2022年の『デジタル田園都市国家構想交付金』(以下、デジ田交付金)を通じてデジタル実装が進められてきました。こうした流れを踏まえ、現在は新しい地方経済・生活環境創生交付金へと再編されています。

さらに、2026年度予算案では、本交付金を発展的に見直し、『地域未来交付金』として1,600億円規模の新制度へ移行する方針が示されています。

本記事では、新しい地方経済・生活環境創生交付金の概要や以前の交付金制度の違い、採択率を高めるポイント、交付金活用の事例を解説します。

出典:内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『新しい地方経済・生活環境創生交付金』『新しい地方経済・生活環境創生交付金について

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新しい地方経済・生活環境創生交付金の概要

新しい地方経済・生活環境創生交付金は、2024年度補正予算および2025年度当初予算で創設された制度で、従来のデジタル田園都市国家構想交付金(以下、デジ田交付金)を発展的に再編したものです。

地方公共団体の自主性と創意工夫を尊重し、地域経済の活性化と、交通・防災・買い物支援などの生活環境整備を一体的に支援することを目的としています。

▼新しい地方経済・生活環境創生交付金の交付金の種類

新しい地方経済・生活環境創生交付金の交付金の種類画像引用元:内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『新しい地方経済・生活環境創生交付金について

この交付金制度では、デジタル技術の導入自体を目的とせず、地域課題を解決するための手段として柔軟に活用する点が大きな特徴です。

ソフト・ハードを組み合わせた事業設計や、行政・民間・住民が連携する共創体制の構築、さらに交付金終了後も見据えた自走性・実効性の高い取組が重視されています。自治体の特性に応じた、持続可能な地域づくりを後押しする制度と位置づけられています。

出典:内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『新しい地方経済・生活環境創生交付金について』『デジタル田園都市国家構想交付金

デジタル田園都市国家構想交付金との違い

新しい地方経済・生活環境創生交付金は、デジ田交付金で進められてきたデジタル活用の流れを引き継ぎつつ、その対象と評価軸を大きく広げた制度です。

デジ田交付金が、地域のデジタル化による生活利便性の向上や産業のデジタル実装を中心としていたのに対し、新しい地方経済・生活環境創生交付金では“日本経済成長の起爆剤としての大規模な地方創生”と“安心・安全で心豊かに暮らせる生活環境の創生”を同時に支えることが打ち出されています。

デジタル技術の活用は引き続き重要な要素ではあるものの、住民サービス、防災、交通、買い物支援など、具体的な地域課題の解決にどう結びつくかが問われます。また、旧制度では事業ごとに個別の計画・申請が求められていましたが、新制度では自治体が描く包括的な地域戦略に基づいて支援が行われる点も含まれます。

出典:内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『新しい地方経済・生活環境創生交付金について

新しい地方経済・生活環境創生交付金の主な対象分野

交付金の対象分野は、特定の施策に限定されておらず、地域の実情に応じた幅広い取組が想定されています。基本的な考え方として重視されるのは、地域経済を支える取組と、住民の暮らしを支える取組を一体的に進めることです。

産業振興や雇用創出といった稼ぐ力の強化に加え、交通、買い物、防災、子育てなど、日常生活に直結する分野までを含めて、自治体が包括的な地域戦略として事業を構成できる点が特徴です。

なお、デジタル技術の活用も対象となりますが、あくまで地域課題を解決するための手段として位置づけられています。

▼想定される主な分野の例

  • 地域経済・産業振興
    地域産業の高付加価値化、地域商社、観光振興、雇用創出、賃上げにつながる取組

  • 生活サービス・生活環境
    買い物支援、地域交通、医療・福祉、子育て支援、高齢者支援など

  • 防災・減災、安心・安全
    避難所機能の強化、災害時の情報・通信・給電体制の整備、平時と非常時を兼ねる仕組み

  • 人材・定住・関係人口
    若者・女性に選ばれる地域づくり、働き方支援、学びや交流の場づくり

  • デジタル活用(横断的分野)
    行政サービス、地域経済、生活支援を支えるためのデータ活用やデジタル基盤整備

出典:内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『新しい地方経済・生活環境創生交付金について

交付金の採択ポイント

新しい地方経済・生活環境創生交付金では、事業の新しさやデジタル技術の導入そのものよりも、地域の課題と事業内容が明確に結びついているかが重視されます。

まず、地域でどのような課題が生じているのかを整理したうえで、「なぜこの取組が必要なのか」「実施することでどう変わるのか」を、分かりやすく説明できていることが重要です。

あわせて、計画が机上の空論にならないよう、実施体制や役割分担、スケジュール、交付金終了後の運営方法まで具体的に示すことが求められます。こうした点が明確であれば、事業の効果や継続性がイメージでき、採択につながりやすくなります。

▼採択のポイント

  • 地域の課題と事業内容が自然につながっているか

  • 誰が何を担当するのかが具体的に示されているか

  • 事業終了後も継続できる仕組みがあるか

  • 住民の暮らしや地域経済にどのように役立つかを説明できているか

交付金の活用事例

実際に交付金を活用し、地域課題の解決と新たな価値創出につなげた事例を紹介します。

2025年度採択事例|富山県朝日町に見る「実効性のある生活環境創生」

富山県朝日町では、人口減少と高齢化の進行により、地域運営を支える担い手不足や、生活サービスの持続可能性の低下といった課題が顕在化していました。こうした状況を踏まえ、同町は交付金を活用し、行政単独に依存しない「官・民・地域共創型」の地域運営モデルの構築に着手しています。

具体的には、民間事業者と連携した“まちづくり”会社構想を中核に、地域通貨やデジタルサービスを段階的に導入。平時には域内消費や住民参加を促進し、災害時には避難者管理などの生活インフラとしても機能する仕組みを整備しています。

このように、日常と非常時を分断しない生活環境づくりを進めている点が特徴です。デジタル施策を前面に打ち出すのではなく、あくまで課題解決の手段として位置づけている点も、本制度の趣旨と高い親和性を持つ事例といえます。

▼富山県朝日町の事例の評価ポイント

  • 地域課題の捉え方が明確
    人口減少や高齢化による担い手不足、生活サービスの維持といった根本的な課題を起点に事業を設計

  • 官・民・地域で役割分担
    行政に偏らず、民間事業者や住民も担い手となる共創型の運営体制を構築

  • デジタルを手段として活用
    地域通貨やLINEなどを、消費促進や住民参加、防災対応といった課題解決に活用

  • 継続を前提とした事業構造
    交付金終了後も継続できるよう、まちづくり会社を軸に運営モデルを設計

出典:内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局『富山県朝日町の事例』/富山県朝日町『ノッカルあさひまち』『LoCoPiあさひまちコイン』『朝日町のたすけあいサービス「もちもたネット」

まとめ

この記事では、新しい地方経済・生活環境創生交付金について以下の内容を解説しました。

  • 新しい地方経済・生活環境創生交付金の概要
  • デジタル田園都市国家構想交付金との違い
  • 新しい地方経済・生活環境創生交付金の主な対象分野
  • 交付金の採択ポイント
  • 交付金の活用事例

新しい地方経済・生活環境創生交付金』は、従来の『デジタル田園都市国家構想交付金』を発展的に改組したもので、2025年度補正予算から運用されています。さらに、2026年度予算案では、本制度を見直し、『地域未来交付金』として1,600億円規模の新制度へ移行する方針が示されています。

新しい地方経済・生活環境創生交付金の採択にあたっては、地域課題と事業内容の明確な関係性に加え、官民連携や、交付金終了後も継続できる事業構造が重視されます。今後は民間や地域と役割を分担しながら、地域全体の将来像を描く取組が求められます。

また、交付金事業を実行段階へ進める際には、民間事業者のノウハウを活用することも有効です。棚倉町スポーツコミッションの設立支援におけるルネサンスの取り組みは、地域の健康づくりや交流人口の創出を支える一例であり、官民連携による事業推進の可能性を示しています。

ルネサンス』では、健康経営を効果的に推進するための、さまざまなプログラムをご用意しています。多角的な健康づくりの施策で、従業員の皆さまの健康を保持・増進して、組織の活性化と生産性の向上に貢献します。詳しくはこちらをご覧ください。

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