【地方自治体向け】地方スポーツ振興費補助金とは。事業内容や補助対象となる取り組み例
日本では、少子高齢化や人口の過疎化などの問題が顕在化しています。
地方自治体には、住民の健康づくりや地域コミュニティの強化、地域経済の活性化といったさまざまな課題への対応が求められています。
そうしたなか、地域が抱える課題を解決する手段の一つとして“スポーツの力を活用した健康増進や地域活性化”が挙げられます。
政府は、地方自治体のスポーツによる健康増進や地域活性化を推進することを目的とした補助金制度『地方スポーツ振興費補助金』を運用しています。
この記事では、地方スポーツ振興費補助金の概要や事業内容、補助金制度を活用する流れ、ルネサンスのサービスについて解説します。
なお、スポーツ庁委託事業を活用するメリットや補助金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
地方自治体の健康づくりを含めたまちづくりはこちらの資料をご確認ください。
また、ルネサンスがスポーツを通じて地方自治体の健康づくりを支援した実績についてはこちらの資料をご覧ください。
目次[非表示]
- 1.地方スポーツ振興費補助金とは
- 2.①運動・スポーツ習慣化促進事業
- 2.1.補助内容
- 2.2.補助対象となる取り組み
- 3.②地域SC経営多角化支援事業
- 3.1.補助内容
- 3.2.補助対象となる取り組み
- 4.地方スポーツ振興費補助金を活用する流れ
- 5.ルネサンスが健康づくりを通じて地域課題の解決をサポート
- 6.まとめ
地方スポーツ振興費補助金とは
地方スポーツ振興費補助金とは、地方自治体によるスポーツを活用した住民の健康増進や、地域活性化を通じたまちづくりを推進するための補助制度です。
補助事業には、以下の2種類があります。
【1】スポーツによる地域活性化推進事業(運動・スポーツ習慣化促進事業)
項目 |
概要 |
事業内容 |
地方自治体によるスポーツを通じた健康増進の取り組みを支援する |
目的 |
高齢者や障がい者、若年層などのより多くの住民が運動・スポーツに親しめる環境をつくり、健康増進につなげる |
事業実施期間 |
2015年~ |
【2】スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業(地域SC経営多角化支援事業)
項目 |
概要 |
事業内容 |
地方自治体におけるスポーツを活用した地域活性化・まちづくりの取り組みを支援する |
目的 |
地域スポーツコミッション(以下、地域SC)(※)による多角的な事業を後押しすることで、スポーツを活用した地域活性化の推進につなげる |
事業実施期間 |
2015年~ |
次の段落では、それぞれの事業について詳しく解説します。
※地方自治体・スポーツ団体・民間企業などが一体となって、地域資源を戦略的に活用しながらスポーツによる地域復興に取り組む組織のこと。
出典:文部科学省 スポーツ庁『令和7年度地方スポーツ振興費補助金(スポーツによる地域活性化推進事業「運動・スポーツ習慣化促進事業」)の募集について』『令和7年度地方スポーツ振興費補助金「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業(地域SC経営多角化支援事業)」の募集について』
①運動・スポーツ習慣化促進事業
運動・スポーツ習慣化促進事業では、運動に対して何らかの制限・配慮が必要な人や、スポーツ実施率が低い働く世代・女性などが運動・スポーツに親しめる環境をつくることが求められます。
地方自治体においては、関係団体と連携・協働体制を整備して、地域住民が安全かつ効果的な運動・スポーツを習慣的に実施できる仕組みをつくることが必要です。
補助内容
スポーツを通じて地域住民の健康増進に取り組んだ際にかかった経費の一部について、補助を受けられます。
▼補助金の概要
項目 |
概要 |
補助率 |
定額 |
補助期間 |
最長3年 |
対象経費 |
消耗品費、印刷製本費、通信運搬費、借料・損料、旅費 など |
対象事業者 |
都道府県、市町村 |
交付される補助金額については、申請件数に伴って予算の範囲内で決定されます。
出典:文部科学省 スポーツ庁『令和7年度地方スポーツ振興費補助金(スポーツによる地域活性化推進事業「運動・スポーツ習慣化促進事業」)の募集について』『令和7年度運動・スポーツ習慣化促進事業における留意事項・記載要領』
補助対象となる取り組み
地方自治体が行政や関係団体などと連携・協働体制を整備して、地域の実情に応じて運動・スポーツを習慣化させる取り組みが必要になります。
▼連携・協働する行政や関係団体の例
行政 |
関係団体 |
スポーツ主管課
障がい者スポーツ主管課
健康・福祉・介護予防主管課
企画・総務・財務部局 など
|
医療機関・医師会
大学
スポーツ推進委員
総合型地域スポーツクラブ
民間事業者
健康関連団体 など
|
また、運動・スポーツを習慣化させるための取り組みについては、対象者や目的に合わせて以下のいずれかを選択する仕組みとなります。
▼運動・スポーツを習慣化させる取り組み
項目 |
取り組み |
1.働く世代 |
仕事や家事との両立に忙しい働く世代のスポーツ実施率を高めて健康増進を図る |
2.女性 |
女性のライフステージごとに現れる健康課題を乗り越えられるように、習慣的な運動・スポーツの実施を後押しする |
3.医療機関連携 |
医師や専門医などと連携しながら、運動の制限・配慮が必要な住民が自分に合った効果的な運動・スポーツを実施できる機会を創出する |
4.ライフパフォーマンス |
心身の機能に焦点を当て、目的を明確化させた運動・スポーツを取り入れることで、住民のQOL向上や生きがいづくりに貢献する |
5.介護予防 |
介護予防に取り組む必要のある住民が持続的に運動・スポーツに参加できる機会を創出する |
出典:文部科学省 スポーツ庁『運動・スポーツ習慣化促進事業』/文部科学省『令和7年度運動・スポーツ習慣化促進事業における留意事項・記載要領』
②地域SC経営多角化支援事業
地域SC経営多角化支援事業では、スポーツによる地域活性化・まちづくりを推進するために、地域SCによる多角的な事業展開に取り組むことが求められます。
令和6年度までは地域SC設立のための支援も行われていましたが、令和7年度の補助事業では地域SCの複合的な事業展開に関する多角化支援のみに変更されています。
地方自治体が補助金を活用することによって、地域SCによる活動規模の拡大や取り組みの質的な向上につながることが期待されます。
補助内容
地域SCによる事業を実施した際の経費の一部について補助を受けられます。
▼補助金の概要
項目 |
概要 |
補助率 |
定額 |
補助上限額 |
1,000万円 |
対象経費 |
消耗品費、印刷製本費、通信運搬費、借料・損料、旅費 など |
対象事業者 |
都道府県、市町村 |
補助金額は、申請件数に伴って予算の範囲内で決定される仕組みとなります。
出典:文部科学省 スポーツ庁『令和7年度地方スポーツ振興費補助金「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業(地域SC経営多角化支援事業)」の募集について』/文部科学省『令和7年度「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業」(多角化支援)における留意事項・記載要領』
補助対象となる取り組み
地方自治体がスポーツ団体や民間企業などと連携したうえで、地域SCの経営基盤の安定化を図るための事業展開を実施する必要があります。
地域SCの構築においては、地方自治体や観光協会、総合型地域スポーツクラブなどが中心となり、民間企業を含めた組織の連携体制を整備することが求められます。
▼地域SCのネットワーク構成例
画像引用元:文部科学省 スポーツ庁『スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業』
また、地域SCが取り組む事業内容は、2つの種類があります。
▼地域SCによる補助対象事業
事業の種類 |
取り組み例 |
インナー事業
(地域住民向けの活動)
|
スポーツ教室の開催
地域のオープンスペースを活用した交流イベントの実施
スポーツインライフの推進
部活動の地域連携 など
|
アウター事業
(対交流人口を拡大する活動)
|
スポーツ合宿やキャンプの誘致
地域資源を活用したスポーツアクティビティの導入
スポーツツーリズムコンテンツの創出 など
|
出典:文部科学省 スポーツ庁『令和7年度地方スポーツ振興費補助金「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業(地域SC経営多角化支援事業)」の募集について』『スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業』/文部科学省『令和7年度「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業」(多角化支援)における留意事項・記載要領』
地方スポーツ振興費補助金を活用する流れ
地方自治体が地方スポーツ振興費補助金を活用するには、事業計画書を作成・提出して、スポーツ庁による書類審査に通過する必要があります。
申請から補助金を受け取るまでの流れは、以下のとおりです。
▼補助金交付の流れ
流れ |
実施者 |
内容 |
1 |
スポーツ庁 |
募集案内の送付 |
2 |
地方自治体 |
事業計画書の作成・提出 |
3 |
スポーツ庁 |
審査・内定通知 |
4 |
地方自治体 |
交付申請書の作成・提出 |
5 |
スポーツ庁 |
交付決定 |
6 |
地方自治体 |
実績報告書の作成・提出 |
7 |
スポーツ庁 |
実績報告書の確認と補助額の確定 |
8 |
地方自治体 |
交付請求書の作成・提出 |
9 |
スポーツ庁 |
補助金の支払い |
スポーツ庁が実施する審査では、地域の現状や保有する資源(景観・環境・文化)などの背景を踏まえて、事業計画との整合性、達成目標などを基に判断されます。
なお、事業計画書や交付申請書、実績報告書は、スポーツ庁が定めた期限内に提出する必要があります。実施年度によって要件や対象とする取り組みなどが変わる可能性があるため、スポーツ庁の応募案内と募集要項をご確認ください。
ルネサンスが健康づくりを通じて地域課題の解決をサポート
『ルネサンス』では、住民の健康増進や健康づくりを起点とした地域のまちづくりを一貫してサポートしています。
地方自治体ごとに異なる地域課題に対して、多角的な施策を通じて住民の健康づくりや地域の活性化を後押しいたします。
▼地域課題を解決するルネサンスのサービス例
サービス |
概要 |
健康づくりプログラム |
働く世代・高齢者・子どもといった対象者に応じて、生活習慣病予防やメンタルヘルスケアなどの実践的なプログラムを提供します。 |
学校水泳授業受託事業 |
学校プールへの出張指導や施設の貸し出し、弊社インストラクターによる指導、教員向け研修などを実施して、学校水泳の質向上や維持管理負担の削減を図ります。 |
部活動支援事業 |
部活動の運営受託や専門性の高い指導員の養成などを行い、安全・効果的な部活動の運営を支援します。 |
介護予防事業 |
運動・栄養・口腔・認知機能などのテーマ別の介護予防教室の実施や運動指導員のサポーター養成などを実施します。 |
地方創生事業(PPP事業・地域連携事業) |
行政と連携して地域のスポーツ振興や住民の健康づくり、地域活性化などの取り組みをサポートします。 |
遊休施設活用 |
遊休施設を活用して多世代交流の場づくりや健康プログラムの実施、スポーツイベントの実施などを行います。 |
また、補助金を活用した事業実績もございます。
山梨県都留市では、2023~2024年度の『運動スポーツ習慣化促進事業』において、働く世代の無関心層をターゲットとして健康経営の観点から運動習慣化の取り組みを支援しました。
ルネサンスが支援した地方自治体の健康づくりについては、こちらの資料をご確認ください。
地方自治体の課題に合わせてご活用いただける多様なサービスについては、こちらをご確認ください。
PFS(成果連動型民間委託契約方式)による官民連携の事例は、こちらの記事で紹介しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、地方スポーツ振興費補助金について以下の内容を解説しました。
- 地方スポーツ振興費補助金の事業内容
- 運動・スポーツ習慣化促進事業
- 地域SC経営多角化支援事業
- 地方スポーツ振興費補助金を活用する流れ
- 地域課題の解決をサポートするルネサンスのサービス
地方スポーツ振興費補助金を活用して効率的・効果的に健康増進や地域活性化に取り組むには、地方自治体の体制整備が必要です。
地方自治体の関連部署だけでなく、スポーツ団体や民間企業と連携・協働することにより、多角的かつ質の高い取り組みが可能になります。
『ルネサンス』では、スポーツクラブの運営で培った健康づくりのノウハウや独自のネットワークを活用した産官学との豊富な連携実績があります。
地域課題を解決するための事業構想から計画の立案、実行に至るまでの一貫した取り組みにより、地方自治体が自走化できる体制の構築を支援いたします。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。
ルネサンスが支援した地方自治体の健康づくりの実績については、こちらの資料をご確認ください。