EMSを利用したリハビリで期待できる効果。実施する際の注意点とは
EMSとは、“Electric Muscle Stimulation”の略で、筋肉に電気刺激を加えることで筋力を鍛える手法のことです。医療・介護の分野では神経電気刺激療法とも呼ばれます。
介護施設においては、医療用のEMS機器をリハビリに利用することがあります。
介護施設の担当者のなかには、「EMSによるリハビリでどのような効果が期待できるのか」「実施する際の注意点が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、EMSによるリハビリについて、期待できる効果や低周波治療との違い、注意点、プログラムの例を解説します。
目次[非表示]
- 1.EMSによるリハビリで期待できる効果
- 1.1.筋力量を維持・強化できる
- 1.2.基礎代謝を向上させられる
- 2.EMSと低周波治療の違い
- 3.EMSによるリハビリを実施する際の注意点
- 3.1.健康状態によってはEMSの使用を避ける
- 3.2.出力を上げ過ぎないようにする
- 3.3.間隔を空けて実施する必要がある
- 4.EMSを利用したリハビリプログラム
- 5.まとめ
EMSによるリハビリで期待できる効果
介護施設でEMSによるリハビリを導入すると患者に対して筋力量の維持・強化や基礎代謝の向上などが期待でき、施設にとってもサービス価値の向上につながります。
筋力量を維持・強化できる
EMSを利用すると、激しい運動を行わずとも鍛えたい部位の筋肉を集中的に刺激することが可能です。
介護施設のリハビリにおいては、運動機能の低下によって通常の運動・トレーニングが難しい利用者でも、筋力量の維持・強化に取り組みやすくなります。
また、高齢者の場合は、筋力量を維持・強化することで転倒や骨折のリスク低減も期待できます。
基礎代謝を向上させられる
EMSで筋力量を増やすことで、基礎代謝の向上につながります。また、基礎代謝が向上すると体温を維持しやすくなり、免疫力の安定も期待できます。
特に高齢者は、加齢に伴って免疫力が低下しているケースがあります。EMSによるリハビリで基礎代謝を向上させて免疫力を安定させることで、健康の維持につなげることが可能です。
EMSと低周波治療の違い
EMSと同じ電気治療の一種に低周波治療があります。しかし、EMSと低周波治療では仕組みや目的が異なります。
▼EMSと低周波治療の違い
種類 |
概要 |
EMS |
電気刺激による筋収縮で、筋力の維持・強化を図る手法 |
低周波治療 |
微弱な電流で、痛みやコリにアプローチする手法 |
EMSでは、筋肉や運動神経への電気刺激で筋収縮を起こします。筋収縮によって筋肉が鍛えられることで、筋力の維持・強化につながります。
一方で、低周波治療では、運動神経だけでなく感覚神経にも微弱な電流で働きかけます。筋肉の緊張がほぐれてコリを軽減できるほか、感覚神経が刺激されることで、痛みにもアプローチします。
EMSによるリハビリを実施する際の注意点
EMSによるリハビリを実施する際は、利用者の健康状態や電気の出力、実施間隔などに注意します。
健康状態によってはEMSの使用を避ける
健康状態によっては、EMSを使用できない場合があります。EMSによるリハビリを実施する際は、利用者の健康状態を把握しておくことが欠かせません。
▼EMSを使用できない例
- ペースメーカーを使用している
- 妊娠している
- 心臓や循環器の疾患・障害がある
- 感覚障害がある
- 脳血管障害や心筋梗塞の既往歴がある など
また、体調が悪いときや疲れているときもEMSの使用を避けた方がよいとされます。
出力を上げ過ぎないようにする
EMSをリハビリに使用する際は、出力を上げ過ぎないようにします。
EMSの出力は高いほど筋肉を鍛える効果も期待しやすくなるものの、上げ過ぎると筋肉を傷めてしまいます。また、やけどや水ぶくれなどの皮膚疾患につながる可能性も考えられます。
EMSによる筋肉へのアプローチは、通常の運動・トレーニングと異なり負荷の限度が分かりにくいため、出力は段階的に上げていくことが重要です。
間隔を空けて実施する必要がある
EMSによるリハビリは、通常のトレーニングと同様に間隔を空けて実施する必要があります。
筋肉を効率よく鍛えるためには、回復期間を設けることが重要です。筋収縮の繰り返しによって傷ついた筋線維は、回復期間の間に修復されることで太くなり、筋力の強化へとつながります。
具体的には、同じ筋群に対して2〜3日ほどの間隔を空けるとよいとされます。
EMSを利用したリハビリプログラム
ルネサンスの『R-Smart』では、EMSを口腔嚥下機能向上のリハビリに活用できる『EMSリハビリプログラム』を提供しています。
EMSを利用することで、摂食・嚥下に必要な筋肉について口腔体操だけでは鍛えることが難しい部位も含めて鍛えられます。
また、EMSを装着したあとはその場に付き添う必要がないため、介護施設にとっても負担の軽減につながります。
なお、嚥下機能の訓練についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、EMSを利用したリハビリについて、以下の内容を解説しました。
- EMSによるリハビリで期待できる効果
- EMSと低周波治療の違い
- EMSによるリハビリを実施する際の注意点
- EMSを利用したリハビリプログラム
介護施設でEMSによるリハビリを実施することで、患者の筋力量を維持・強化して、基礎代謝の向上も期待できます。
また、施設にとってもサービス価値の向上が図れるほか、スタッフの負担軽減にもつながります。
『ルネサンス』では、口腔機能加算の取得を支援するサービス『R-Smart』を提供しています。口腔嚥下筋肉のトレーニングや姿勢改善に特化したグループプログラムと、EMSによる個別のリハビリによって嚥下機能の維持・向上を目指せます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。