ウェルビーイングはなぜ注目されている? 従業員の幸福に着目した取り組みとは
少子化による人口減少や高齢化の加速、技術革新などによる社会構造の変化によって、企業に求められる在り方にも変化が生じています。そのなかでウェルビーイングという言葉が注目されており、従業員のウェルビーイング向上に取り組む企業が増えてきています。
企業における人事・総務担当者のなかには、「ウェルビーイングとはなにか」「従業員のウェルビーイング向上に取り組むにはどうしたらよいのか」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ウェルビーイングの概要や期待できる効果、企業が行える取り組みについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ウェルビーイングとは
- 2.ウェルビーイングが注目される背景
- 3.ウェルビーイングで期待できる効果
- 4.従業員のウェルビーイング向上を図る3つの取り組み
- 4.1.①従業員のキャリア形成を支援する
- 4.2.②社内コミュニケーションを活性化させる
- 4.3.③健康経営®を実践する
- 5.まとめ
ウェルビーイングとは
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを指します。
▼ウェルビーイングの概念
「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。
引用元:厚生労働省『雇用政策研究会報告書 概要(案)』
また、ウェルビーイングは就業面からのアプローチが有効であると考えられています。自分が望む生き方に合った働き方に対して、生きる権利が保証され、さらには自己実現ができることで、肉体的・精神的・社会的に良好な状態が実現します。
働くことは、単に収入を得るだけではなく、人々の生活を豊かにすることにもつながります。働きがいを感じられる会社や組織に所属できることで、社会的な健康が満たされ、結果として肉体的にも精神的にもよい影響が生まれます。
出典:厚生労働省『雇用政策研究会報告書 概要(案)』
ウェルビーイングが注目される背景
ウェルビーイングが注目されるようになった理由として、以下の社会的背景が挙げられます。
▼ウェルビーイングが注目される背景
- 人口の減少
- 高齢化
- 技術革新による社会の変化
少子化による労働人口の減少や働き方の多様化が進むなか、ウェルビーイングに取り組むことは、企業競争力の確保を実現するための経営手法としても注目されています。
また、SDGs(※)の目標においてもウェルビーイングが言及されており、世界的に関心を集めています。
▼SDGsの目標におけるウェルビーイング
3: すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進するEnsure healthy lives and promote well-being for all at all ages
引用元:外務省『JAPAN SDGs Action Platform』
※SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月に国連で採択された国際的な開発目標のこと。
出典:外務省『JAPAN SDGs Action Platform』/経済産業省『SDGs(METI/経済産業省)』
ウェルビーイングで期待できる効果
企業においては、従業員のウェルビーイング向上に取り組むことで、以下の効果が期待できます。
▼ウェルビーイングで期待できる効果
視点 |
効果 |
従業員側 |
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企業側 |
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ウェルビーイング向上の取り組みが行われると、従業員は多様な働き方を行えるほか、自分が望む仕事のテーマの探索を通じて、自身のキャリアを主体的に決定することもできるようになります。
そして、企業にとっては、従業員満足度が向上することで離職の防止につながり、人材が定着しやすくなることが期待できます。また、ウェルビーイングが向上すると、従業員一人ひとりが能力を発揮しやすくなり、企業の生産性向上に寄与すると考えられます。
さらには、仕事にやり甲斐を感じながら働く従業員が増えることは、結果として、カスタマーディライト(顧客感動)を生み出すことの源泉にもつながります。
従業員のウェルビーイング向上を図る3つの取り組み
従業員のウェルビーイングの向上のための取り組みとして、主に以下の3つが挙げられます。
①従業員のキャリア形成を支援する
従業員のウェルビーイング向上のためには、従業員一人ひとりがライフスタイルに応じたキャリア選択を行える環境を整備することが重要です。
希望するキャリアに求められる能力を獲得できるように企業側で支援を行うことで、従業員は主体的なキャリア形成を行いやすくなります。
▼企業が行うキャリア形成支援の例
- 定期的な面談の実施
- 体系的なキャリア研修
- キャリアパスの提示 など
②社内コミュニケーションを活性化させる
職場でのウェルビーイングを向上させるには、社内のコミュニケーションを活性化させて、良好な人間関係を構築しやすい環境をつくる必要があります。
▼職場におけるコミュニケーション活性化施策の例
- 社内SNSやチャットツールを導入する
- メンター制度を導入する
- 社内イベントを開催する など
社内で良好な人間関係が築けると、職場におけるストレスの軽減が期待できるほか、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
③健康経営®を実践する
従業員のウェルビーイング向上を実現するには、健康経営®(※)の実践が有効です。健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点で捉えて戦略的に投資を行うことを指します。
従業員の心身の健康について維持・増進を図ることは、ウェルビーイング向上のために不可欠な要素です。健康経営を実践することで、従業員が生き生きと働く状態を作り出せると期待できます。
また、健康状態を整えて前向きに働けるようになることで、従業員個人のパフォーマンス向上にもつながります。
▼従業員の健康増進を図る施策の例
- 従業員全員が一緒に参加できる健康イベントを開催する
- 運動・食事・睡眠など生活習慣を向上させる研修を実施する
- メンタルタフネスやマインドフルネスなどに取り組む など
なお、健康経営の進め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
まとめ
この記事では、ウェルビーイングについて以下の内容を解説しました。
- ウェルビーイングの概要
- ウェルビーイングが注目される背景
- ウェルビーイングで期待できる効果
ウェルビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障されることで、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを指す概念です。少子化による人口減少や高齢化、技術革新による社会の変化といった背景から注目されています。
企業においては、従業員のウェルビーイングを向上させることで、人材の定着や生産性の向上などが期待できます。また、従業員にとっては多様な働き方が実現するほか、ライフステージに応じたキャリア形成も行いやすくなります。
従業員のウェルビーイング向上に取り組む際は、従業員へのキャリア形成支援や社内コミュニケーションの活性化、健康経営の実践などの方法が考えられます。
『ルネサンス』では、健康経営に役立つさまざまなサービスやプログラムを提供しています。従業員のウェルビーイング向上へ向けてどのように取り組めばよいかお悩みの方は、ぜひご相談ください。