水泳授業はいらない? 現状と今後に求められる授業のあり方とは
学校での水泳授業は、水の危険から身を守る運動能力を身につけたり、全身の持久力や水中における体の調整力を養ったりするために必要となります。しかし、近年では「水泳授業はいらない」という意見も見られます。
学校教員や教育委員会の担当者のなかには「水泳授業はなぜいらないといわれているのか」「今後どのように水泳授業を実施するとよいのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、水泳授業がいらないといわれる理由や、今後に求められる水泳授業のあり方について解説します。
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目次[非表示]
水泳授業が「いらない」といわれる理由
学校の水泳授業で泳ぎ方を学ぶことは、水中での運動を通して身体の機能を養うだけでなく、学校以外の場において水辺でのレジャーやスポーツを楽しむうえでも重要といえます。
しかし、施設の維持管理や授業の負担などの理由によって「水泳授業はいらない」という意見も見られています。
施設の老朽化が進んでいる
水泳授業がいらないといわれる理由の一つに、施設の老朽化が挙げられます。
日本でプールを含む公立学校施設が多く建設されたのは、1970年代から80年代となり、築年数の経過によって建物や設備の老朽化が進んでいます。特にプール施設・設備については、以下の原因によって老朽化が進行しやすくなります。
▼プールの老朽化が進行する主な原因
- 風雨や紫外線の影響
- 稼働しない期間中のろ過設備や配管の劣化 など
プール施設・設備が老朽化すると、安全面や機能面において課題が生じるリスクがあります。また、安全性を確保するには施設の改修や改築などを行う必要があり、学校の予算によっては対応しきれないケースもあると考えられます。
出典:文部科学省『学校施設の集約化・共同利用に関する取組事例集』
予定どおりの授業回数を確保することが難しい
天候の影響で水泳授業が行えず、予定どおりの授業回数を確保するのが難しいことも理由の一つです。
水泳授業が行われる時期は、多くの学校で夏季に限定されており、梅雨や台風のシーズンと重なります。屋外にプール施設がある学校では、天候不良になると授業を実施できなくなります。
また、近年では熱中症が社会的な問題となっており、水温が一定以上に達した場合は水泳授業を中止にしている自治体も存在します。
天候や水温については、年間の指導計画を立てる際に予測することは難しいため、水泳授業を実施できない場合には体育授業の組み直しが必要になります。
出典:文部科学省『水泳指導の手引(三訂版)』『学校施設の集約化・共同利用に関する取組事例集』
教員への負担が大きい
水泳授業を実施する際には、プール施設・設備について清掃や水質管理などを行う必要があり、教員への大きな負担となります。
また、水泳指導そのものが専門外の教員にとっては、指導法の習得や評価などを行うことが負担となるケースも少なくありません。
水泳授業は保護者の不満・不安を招いている可能性もある
保護者のなかには、水泳授業を行う際の衛生管理や安全管理について不満・不安を感じている人もいると考えられます。
▼保護者の不満・不安を招きやすい事項
- 水質管理
- 感染症対策
- 転倒や熱中症などの事故
学校のプールは多人数で使用することから、細菌やウイルスなどで汚染されやすい環境といえます。清潔な状態を保つには、水質検査や水の消毒(※)、循環ろ過装置の使用などが必要となり、教員・施設管理者による管理を徹底することが求められます。
また、水泳授業ではプールサイドでの転倒や熱中症などの事故が発生したり、体調の変化が起きたりする可能性があります。教員は、生徒に対してケガや熱中症を防ぐための指導を行うとともに、常に監視を行い事故や体調の変化にすぐ対応できる体制を整えることが必要です。
なお、水泳授業では各家庭で物品を購入・用意する必要があるため、費用の負担から不満に思う保護者もいると考えられます。
※文部科学省が定める『学校環境衛生基準』で水質の基準が定められています。
出典:文部科学省『学校環境衛生基準(令和6年文部科学省告示第54号)』『水泳指導の手引(三訂版)第4章 水泳指導と安全』
今後に求められる水泳授業のあり方
プール施設・設備の維持管理にかかるコストや天候による授業回数の不足、教員への負担といった課題に対応するには、水泳授業の実施体制について見直しが求められます。
▼今後に求められる水泳授業のあり方
- 学校外のプール施設を有効活用する
- 天候や気温に左右されずに授業を実施できるようにする
- 外部の講師による水泳指導のサポートを受ける など
自治体のなかには、水泳授業の課題を解決するために各学校でプール施設を持つのではなく、共用化する施策を進めているケースが見られます。
▼プールを共用化する施策例
- 市営の屋内温水プールで水泳授業を行う
- 民間事業者が所有するプール施設で水泳授業を行う など
民間事業者と協働する際には、プール施設の使用だけでなく、水泳授業そのものを民間委託する方法も考えられます。水泳授業を民間委託した場合、プロの講師によるサポートを受けられるほか、専門知識を有するスタッフによる徹底した衛生管理・安全管理が期待できます。
これにより、水泳授業における衛生管理・安全管理の強化や教員の負担軽減につながります。
なお、学校の水泳授業を民間事業者に委託するメリットと事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、水泳授業について以下の内容を解説しました。
- 水泳授業が「いらない」といわれる理由
- 水泳授業に対する保護者の不満・不安
- 今後に求められる水泳授業のあり方
水泳授業は、施設の老朽化による維持管理コストの負担、天候による授業回数への影響、教員への負担などから「いらない」という意見も少なくありません。
一方で、水泳授業は全身の持久力や身体の調整力を身につけて、安全に水辺でのスポーツ・レジャーを楽しむためにも必要といえます。
今後の水泳授業には、市営または民間事業者が所有するプールを共有化したり、プロの講師による水泳指導のサポートを受けたりして、授業の実施体制を見直すことが求められます。また、水泳授業の課題を解決する施策の一つとして、民間事業者への委託も考えられます。
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