【令和6年度】健康経営度調査票の改訂ポイント! 変更点を踏まえて効果的な施策へ

【令和6年度】健康経営度調査票の改訂ポイント! 変更点を踏まえて効果的な施策へ


健康経営度調査は、健康経営®に取り組む優良な法人を顕彰する制度『健康経営銘柄』『健康経営優良法人(大規模法人部門)』の認定に必要な基礎情報を得ることを目的とした調査です。

企業が健康経営度調査に回答することは、当制度の認定を受けるだけでなく、社会が変化するなかで求められるテーマを理解したうえで、「健康経営を実践するうえで何を重視すべきか」「どのような優先順位のもとで取り組めばよいのか」を検討する材料となります。

2025年度の認定制度に向けて『令和6年度 健康経営度調査票』が発表されており、前年度から改訂が行われています。そのなかで、今、どのようなテーマが企業に求められているのかを理解しておくことが重要です。

この記事では、令和6年度における健康経営度調査票の改訂ポイントや具体的な変更点についてはもちろん、具体的に取り組む際のポイントについても解説します。

今後の健康経営の方向性を把握するとともに、自社の健康施策を立案する上で是非ご参考ください。

なお、健康経営度調査票についてはこちらの資料で詳しく解説しています。

  【2024年度申請版】よくわかる健康経営度調査票の変更点 2024年度の認定要件や調査票・申請書が公表されました。 本資料では、2024年度健康経営度調査の主な変更点を紹介しております。 株式会社ルネサンス

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

出典:経済産業省『健康経営度調査について』『令和6年度 健康経営度調査


目次[非表示]

  1. 1.【令和6年度】健康経営度調査の改訂ポイント
  2. 2.ポイント1|健康経営の可視化と質の向上
    1. 2.1.組織全体における意識の醸成
    2. 2.2.PHR(パーソナルヘルスレコード)の活⽤促進
    3. 2.3.40歳未満の従業員に関する健診データの提供
    4. 2.4.柔軟な働き方の促進
  3. 3.ポイント2|新たなマーケットの創出
  4. 4.ポイント3|健康経営の社会への浸透・定着
    1. 4.1.仕事と介護の両立支援
    2. 4.2.非正社員等に対する取り組みの拡充
    3. 4.3.プレコンセプションケアの実施
  5. 5.まとめ


【令和6年度】健康経営度調査の改訂ポイント

経済産業省は、2024年7月23日に実施した『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』において、健康経営に関する施策の方向性を示しました。

これらの方向性を踏まえて『令和6年度 健康経営度調査』では、主に3つのポイントで調査項目の改訂が行われています。


▼施策の方向性と改訂のポイント

  1. 健康経営の可視化と質の向上
  2. 新たなマーケットの創出
  3. 健康経営の社会への浸透・定着


以下の段落では、それぞれの変更点と取り組み方について解説します。


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査



ポイント1|健康経営の可視化と質の向上

健康経営の意義や目的を組織全体で共有して意識の向上を図るとともに、従業員一人ひとりに合った健康支援を行う際に、取り組みの成果を見える化していくことが評価項目に追加されています。


組織全体における意識の醸成

令和6年度の調査票では、経営層の関与に関する設問が追加されたほか、施策の網羅性ではなく“成果”を重視したアウトプット指標の評価が見直されています。

そのため、持続的な健康経営を実現するには、取り組みの意義や質の向上に対して意識を持ち続けることが重要です。

▼調査項目の変更点と取り組みのポイント

変更点
取り組みのポイント
経営レベルの会議での議題・頻度
  • 健康経営の具体的な効果を取締役会で把握・共有する
  • 保険者と連携する
  • 経営計画上での健康経営の位置づけを明確にする
  • 従業員への浸透度合いを調査・把握する
  • 健康経営に進捗が経営課題にどのように関連しているか把握する
アウトプット指標の配点増加
  • 従業員参加型・環境整備型の認定基準を満たす施策を実施する
  • 施策に対する取り組みの内容を詳細に回答する
  • 施策に対する対象者の比率・参加者の比率を測定する


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査


PHR(パーソナルヘルスレコード)の活⽤促進

PHRとは、個人の健康状態・生活習慣に関する健康情報のことです。PHRサービスを活用して、企業が個人の同意のもとに健康情報を収集し、適切に保管・管理します。これにより、従業員が自身の健康データを閲覧したり、よりパーソナライズされた健康アドバイスを受けたりすることができます。


▼PHRサービスの活用例

PHRサービスの活用例

画像引用元:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG


令和6年度の調査票では、PHRの活用に向けた環境の整備状況や個人情報保護に関する設問が新設されています。


▼新設項目と取り組みのポイント

新設項目
取り組みのポイント
PHR活用の環境整備
  • 従業員の健診情報やライフログを管理できるサービスを提供する
  • PHRに基づいた健康アドバイスを行うサービスを提供する
PHRを活用する社内イベントやインセンティブを与える取り組みを実施する
個人情報保護への配慮
  • PHRサービス事業者のセキュリティ対策を確認する
  • 個人が特定されない方式でPHRサービス事業者からデータを受け取り活用する


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査


40歳未満の従業員に関する健診データの提供

保険者に対して、40歳未満の従業員に関する健診データを提供することが評価項目に加えられています。これは、若年層の健康リスクの早期発見と予防を、保険者とのコラボヘルスにより推進することで、疾病の進行抑制や医療費の適正化への効果が期待されるためです。


▼取り組みのポイント

保険者が指定する形式で40歳未満の従業員の健診データを提供する

健診データの提供について保険者に意思表示をしていない場合には、健康経営優良法人の認定が不可となります。なお、40歳以上の従業員に関しては前年度から変更はありません。


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査


柔軟な働き方の促進

今までは、育児と仕事の両立が大きなテーマでした。しかし今後は、生産人口が減少するなかで、ビジネスケアラーによる介護と仕事の両立や、高齢従業員が増えることでの治療と仕事の両立などへの支援が企業に求められるようになります。

こうした背景のもとに在宅勤務やテレワークなどの柔軟な働き方について、育児・介護・療養などの事由を問わない実施状況を把握する項目が追加されています。

また、心身の不調に早期対処できる環境づくりに向けて、有給での特別休暇制度に関する選択肢も追加されています。


▼新設項目と取り組みのポイント

新設項目
取り組みのポイント
事由を問わない柔軟な働き方
  • テレワークを導入する
  • 短時間勤務制度や勤務日数短縮制度を設ける
  • 本人や家族のライフイベントを考慮して転勤の免除・調整制度を設ける
  • テレワークの導入時に健康問題を防ぐ施策を行う
有休での特別休暇制度の導入
  • 任意での健康診断や定期検診時の休暇制度を導入する
  • 生理休暇・PMS休暇を設ける


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査



ポイント2|新たなマーケットの創出

日本企業のグローバル化については、海外への進出はもちろん、国内においても外国籍の従業員が一緒に働く環境が当たり前になりつつあります。このような状況のなかで経済産業省では、特にアジア圏を中心に、日本の健康経営を海外に展開する活動を始めています。

以上のような背景を踏まえて、 グローバル展開を実施する企業に対して、海外における健康経営の方針や推進状況を把握するためのアンケート項目が追加されています。

認定の評価点数には含まれませんが、グローバル展開をしている企業は国内と同様に健康経営の準備を進めておくことが望まれます。


▼設問内容

  • 海外拠点での健康経営の取り組み状況
  • 自社(国内)の健康経営推進方針と同じ取り組み
  • 当該国の文化・慣習・労働環境・健康課題に応じた取り
  • 健康経営を実施している国
  • 海外拠点における健康経営の対象範囲 など

今後は健康経営の国際的な普及により、海外ヘルスケア関連産業のマーケットを創出・拡大につなげることを目標としています。

出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査



ポイント3|健康経営の社会への浸透・定着

健康経営の浸透・定着を図るために、健康増進に向けた施策や支援を拡充する取り組みを評価する項目が追加されています。


仕事と介護の両立支援

令和6年度の調査票では、両立支援に関する評価について育児と介護の分野が区別されました。両立支援に関する組織方針・運用体制・実態・施策の実効性などが評価されます。


▼設問分離後の主な評価項目・設問内容

評価項目
主な設問内容
両立支援に関する取り組み
  • 経営層によるメッセージの配信
  • 両立支援を行う運用体制の整備状況
  • 従業員による介護実態の把握状況
  • 人材戦略と連動させた両立支援の構築状況
施策の実行
  • 介護保険や両立支援に関する情報の提供
  • 従業員や管理者に向けた研修の実施と参加率の算出
  • 柔軟な勤務制度や福利厚生による経済的支援の導入状況
  • 外部専門家や人事部門などとの個別相談環境の整備状況

出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査


非正社員等に対する取り組みの拡充

常時使用しない従業員に対して、健康増進に向けた施策の実施状況を評価する項目が新設されています。

企業には、雇用形態にかかわらず正規雇用の従業員と同等の施策を行うことが求められるほか、派遣社員については法令で定められた範囲での対応が必要です。


▼非正社員に対する取り組みのポイント

  • 健康診断の再検査に関する受診勧奨
  • ストレスチェック
  • ヘルスリテラシー向上のための研修・教育
  • 運動習慣や食生活改善の支援
  • メンタルヘルス予防・不調者への対応
  • セルフケアに役立つアプリケーションやサービスの提供


出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査


プレコンセプションケアの実施

プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、男女ともに性や妊娠に対する正しい知識を身につけて自身による健康管理を促すことです。将来の妊娠を考えながら、当事者である女性やそのパートナーの男性が共に、自分たちの生活や健康に向き合うことを指します。

このケアは、妊娠を希望・計画している女性はもちろん、妊娠可能年齢であるすべての女性にとって重要なものです。ケアを通して健康的な生活習慣を身につけることで、より豊かな人生を送ることにつながるとされています。

令和6年度の調査票から、企業におけるプレコンセプションケアの認識度合いや取り組み状況を問う項目が新設されています。


▼設問内容

  • プレコンセプションケアの認知
  • 啓発活動の実施状況
  • 具体的な施策内容や従業員の反応 など


なお、プレコンセプションケアについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  プレコンセプションケアとは。企業による啓発活動の必要性と取り組み 健康経営®に取り組む優良な企業を顕彰する『健康経営銘柄』『健康経営優良法人(大規模法人部門)』の認定に必要な健康経営度調査に、新たにプレコンセプションケアの項目が追加されています。今回は、プレコンセプションケアの定義や必要性、企業による取り組みについて解説します。 株式会社ルネサンス

出典:経済産業省『健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG』『令和6年度 健康経営度調査



まとめ

この記事では、健康経営度調査票について以下の内容を解説しました。


  • 令和6年度の改訂ポイント
  • 調査票の変更点や新設項目


健康経営度調査の評価項目は毎年改訂が行われており、令和6年度は経営層の積極的な関与や施策に対する具体的なプロセス、実効性などが重視されています。

また、仕事と育児・介護の両立支援に関する制度の拡充や、非正社員を対象に含めた取り組みを評価する項目も追加されています。

人事部門や健康経営推進部門の管理者は、評価項目の変更点・設問内容を踏まえて自社の課題に応じた施策を講じることが重要です。

ルネサンス』では、企業の健康経営をサポートするサービスやプログラムを多数用意しております。従業員の健康課題に対して「何から始めればよいか分からない」という方もお任せください。

令和6年度における健康経営度調査の変更点は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。

  【2024年度申請版】よくわかる健康経営度調査票の変更点 2024年度の認定要件や調査票・申請書が公表されました。 本資料では、2024年度健康経営度調査の主な変更点を紹介しております。 株式会社ルネサンス


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