デイサービスや介護施設の体操は何のため?利用者・入居者が続けたくなる体操プログラムの考え方

デイサービスや介護施設で行っている体操が、いつの間にか「とりあえずやっている時間」になっていないでしょうか。
毎日の予定には入っている。職員も利用者に声をかけている。動画や映像コンテンツも活用している。
それでも、「なぜ、この体操を行っているのか」「利用者に、どのような時間を提供したいのか」と改めて聞かれると、すぐには答えにくいこともあるかもしれません。
デイサービスや介護施設の体操は、実施すること自体が目的ではありません。
身体を動かす機会をつくること。生活機能の維持につながる身体活動を取り入れること。人と関わり、活動に参加するきっかけをつくること。そして、利用者と職員の双方が無理なく続けられること。
こうした視点まで含めて、体操の時間を考えることが大切です。もちろん、新しい体操レクを取り入れたり、無料・一般向けの体操動画や現場向けの映像コンテンツを活用したりすることも、有効な選択肢です。
一方で、体操の種類を増やす前に、一度考えてみたいことがあります。
「今の体操は、何のために行っているのか」「利用者にとって、どのような時間になっているのか」ということです。
この記事では、デイサービス・介護施設の経営者や管理者の方に向けて、
- 現場で体操を行う目的
- ICFから考える「活動・参加」
- 運動を継続するための考え方
- 体操がマンネリに感じられたときの見直しポイント
- 動画・映像コンテンツとリアルタイム型プログラムの使い分け
- 体操プログラムの専門性やエビデンスを見る方法
を整理します。「今日は何の体操をするか」から、「この時間を何のためにつくるのか」へ。日々の体操を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.デイサービスや介護施設で体操を行う目的とは?
- 2.ICFで考えると、体操は「身体を動かす時間」だけではない
- 3.体操は「何をするか」と同じくらい「続けられるか」が大切
- 4.体操がマンネリに感じられたら、「種類」以外の部分も確認してみる
- 4.1.内容のバリエーションは十分か
- 4.2.声かけや進め方はどうか
- 4.3.利用者が「自分も参加している」と感じられているか
- 4.4.職員が無理なく続けられるか
- 5.動画・映像コンテンツにも、リアルタイム型にも、それぞれの良さがある
- 6.体操プログラムを選ぶときは「どのような内容で設計されているか」も確認する
- 7.介護施設の体操は「コンテンツ」だけでなく「運営の仕組み」で考える
- 8.体操時間をつくる選択肢「オンライン体操教室」
- 9.まとめ:今の体操を、一度チェックしてみませんか?
デイサービスや介護施設で体操を行う目的とは?
体操を行う目的を考えると、まず思い浮かぶのは「身体を動かすこと」ではないでしょうか。もちろん、これは重要な目的の一つです。ただ、現場で行う体操の意味を考えると、その先にはいくつかの視点があります。
身体を動かす機会をつくる
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者について、個人差を踏まえて強度や量を調整しながら、可能なものから身体活動に取り組むことが重要とされています。
また、高齢者には筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた「多要素な運動」を週3日以上行うことが推奨されています。身体機能が低下している高齢者については、安全面や転倒などへの配慮も必要とされています。
つまり、「体操なら何でも同じ」ということではなく、
- 利用者の状態に合っているか
- 無理のない強度になっているか
- さまざまな身体機能を使えるか
- 安全に取り組めるか
といった視点から考えることが大切です。
デイサービスや介護施設では複数の利用者が一緒に参加することも多いため、すべてを個別に調整することは難しいでしょう。
だからこそ、体操プログラムを選ぶ際には、「参加者の身体状況を踏まえて設計されているか」という視点を持つことが重要です。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
日々の生活につながる身体機能を考える
体操そのものを上手に行うことが、最終的な目的とは限りません。身体を動かすことを通じて、日々の生活に必要な身体機能を保っていくことも大切です。例えば、上肢を動かす、立ち座りを行う、姿勢を保つといった身体の働きは、日常生活のさまざまな場面と関係しています。
そのため、「この体操ができたか」だけではなく、「利用者が自分らしい生活を続けるために、どのような身体機能を大切にしたいのか」という視点を持つことで、体操の目的がより明確になります。
人と関わり、活動に参加する機会をつくる
デイサービスや介護施設の体操には、もう一つ大切な側面があります。それは、人と一緒に活動する時間になることです。
- 同じ場所で一緒に身体を動かす。
- 周囲の利用者の様子を見る。
- 職員や指導者から声をかけられる。
- 体操の前後に会話をする。
このような時間も、集団体操を行う意味の一つと考えられます。この視点を理解するうえで参考になるのが「ICF」です。
ICFで考えると、体操は「身体を動かす時間」だけではない
ICFとは「国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health)」のことです。
厚生労働省が示すICFの概念図では、人の生活機能を、
- 心身機能・身体構造
- 活動
- 参加
といった要素で捉え、それらが健康状態や環境因子などと相互に関係するものとして整理されています。この考え方をデイサービスや介護施設の体操に当てはめてみましょう。
出典:厚生労働省「ICFの概念図とコードの概要」
「身体が動いたか」だけで終わらせない
例えば、腕を上げる運動をするとします。もちろん、腕や肩などを動かすこと自体にも意味があります。
ただ、ICFの視点では、身体機能だけを切り取るのではなく、「その身体機能を、日常生活のどのような活動に生かしていきたいのか」「その活動を通じて、どのような生活への参加につなげたいのか」と、より広い視点で考えます。
現場での体操も同じです。体操をすること自体がゴールなのではなく、利用者の生活全体のなかで体操をどう位置づけるかを考えることが重要です。
「みんなで体操する」ことにも目を向ける
ICFでは「活動・参加」の領域に、コミュニケーションや対人関係、コミュニティライフ・社会生活なども位置づけられています。
その観点から考えると、
- 体操の時間になると自分から参加する
- 周囲の人と一緒に身体を動かす
- 職員や指導者の問いかけに反応する
- 一緒に参加した人との会話が生まれる
といった場面にも目を向けることができます。ここで重要なのは、「集団体操をすればICF上の参加が改善する」と単純に結びつけないことです。
ICFは、生活機能を多面的に捉えるための枠組みです。
だからこそ管理者としては、「今日も体操を実施した」という実施の有無だけでなく、「その体操の時間に、利用者にどのような活動や関わりが生まれているか」まで確認してみると、体操を見る視点が変わってきます。
出典:厚生労働省「ICF(国際生活機能分類) -「生きることの全体像」についての「共通言語」-」
体操は「何をするか」と同じくらい「続けられるか」が大切
体操プログラムを選ぶときには、内容だけでなく「継続できるか」という視点も欠かせません。厚生労働省のガイドでも、高齢者を含む身体活動について、個人差を踏まえながら「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことが基本的な方向性として示されています。また、推奨量を満たせない場合でも、少しでも身体活動を行うことが推奨されています。
利用者に合った内容・強度になっているか
体力や身体機能は一人ひとり異なります。同じ高齢者であっても、「少し物足りない」と感じる人もいれば、「この動きは難しい」と感じる人もいます。厚生労働省も、高齢者の身体活動について一律に同じ量を求めるのではなく、健康状態や体力レベル、身体機能などの個人差を踏まえて調整することを求めています。体操プログラムを選ぶときには、「何種類の体操があるか」だけではなく、「対象となる利用者に配慮した内容になっているか」を確認したいところです。
「良い運動」と「現場で続けられる運動」は両方大切
理論上よく考えられた運動でも、利用者が参加しなくなったり、現場で運用できなくなったりすれば、継続的な活動にはなりません。
デイサービスや介護施設で考える場合には、
- 利用者が無理なく参加できるか
- 利用者が「また参加したい」と感じられるか
- 職員が毎回無理なく準備できるか
- 担当職員が変わっても継続できるか
といった運用面の継続性も重要です。厚生労働省の高齢者向けアクティブガイドでも、身体活動だけでなく、運動・スポーツのサークル活動、地域活動、友人との交流など、社会参加も含めた日常生活のなかで身体を動かす例が紹介されています。
単に運動内容だけを見るのではなく、「利用者が参加し続けやすい環境になっているか」まで考えてみることが大切です。
出典:厚生労働省「アクティブガイド2023 高齢者版」
体操がマンネリに感じられたら、「種類」以外の部分も確認してみる
「最近、いつも同じような体操になっている」「利用者の反応が以前より少なくなった気がする」そんなとき、新しい体操やレクリエーションを探すのは自然な対応です。新しい内容を取り入れることで、利用者に新鮮な気持ちで参加してもらえることもあります。
ただ、体操がマンネリに感じられる場合、確認したいのは「体操の種類」だけではありません。ルネサンスがデイサービスや介護施設向けに作成したお役立ち資料では、体操が形骸化しやすい背景として、内容選びや進行が職員任せになりやすいこと、職員による進行スキルの差、一方向型のコンテンツでは参加感を生み出すために現場での工夫が必要になることなどを整理しています。
内容のバリエーションは十分か
まず確認したいのは、体操の内容です。利用者が毎回同じ動きに慣れている場合には、新しい体操を取り入れることも一つの方法です。無料・一般向けの体操動画や施設向け映像コンテンツを活用すれば、職員が一からプログラムを作らなくても、さまざまな体操を取り入れられます。
声かけや進め方はどうか
同じ体操でも、「では次の運動です」と淡々と進める場合と、「ここまでできましたね」「次は皆さんで一緒にやってみましょう」といった声かけを交えながら進める場合では、参加者が感じる印象は変わります。体操内容だけでなく、進行やコミュニケーションも体操の時間を構成する一部です。
利用者が「自分も参加している」と感じられているか
画面に映る体操を見て動く。職員と一緒に動く。指導者から声をかけてもらいながら動く。どの方法も身体を動かすための手段ですが、「参加している」と感じる体験はそれぞれ異なります。
利用者の反応が気になるときには、「体操を見る時間になっていないか」「自分もその場の一員として参加できているか」という視点でも確認してみましょう。
職員が無理なく続けられるか
体操を成立させるために、
- 毎回体操の内容/コンテンツを探す
- 利用者に合う内容を判断する
- 前に立って進行する
- 盛り上げる
- 安全面を確認する
といった役割をすべて職員が担う場合、体操運営には一定の準備が必要になります。以下のお役立ち資料でも、体操内容の選定、準備、当日の進行などが職員負担になりやすいことが現場課題の一つとして挙げて紹介しています。
体操の内容だけでなく、体操を続けられる運営体制になっているか。これも管理者が確認したいポイントです。
動画・映像コンテンツにも、リアルタイム型にも、それぞれの良さがある
介護施設の体操では、無料・一般向けの体操動画や施設向け映像コンテンツなども広く活用できます。ここで重要なのは、「録画型とリアルタイム型のどちらが優れているか」ではありません。それぞれに得意なことがあるため、現場の目的や運営方法に応じて選ぶことが大切です。
録画型の動画・映像コンテンツが向いている場面
録画型には、
- 好きな時間に使いやすい
- 10分、20分など空き時間にも活用しやすい
- さまざまな種類から選べる
- 必要な内容を職員が自由に選択できる
といったメリットがあります。そのため、「スケジュールを固定せず使いたい」「短い時間に少し身体を動かしたい」「職員が利用者の様子を見ながら内容を選びたい」といった施設には活用しやすい方法です。
リアルタイム型が向いている場面
一方、リアルタイム型では、同じ時間に指導者と参加者がつながります。
そのため、
- 指導者に進行を任せたい
- リアルタイムの声かけを取り入れたい
- 教室に参加している雰囲気や臨場感をつくりたい
- 職員は見守りや個別サポートに回りたい
といったニーズがある場合に検討できます。
ルネサンスの「オンライン体操教室」も、このリアルタイム型です。専門の運動指導者がZoomを使ってライブ配信し、平日の午前・午後に各40分の教室を実施しています。
目的に合わせて使い分ける
例えば、午前中の短い時間には録画型コンテンツを活用し、決まった曜日・時間にはリアルタイムの教室に参加する。このように、必ずどちらか一方に統一する必要はありません。方法から選ぶのではなく、「体操で何を実現したいか」から考える。それが、現場のニーズに合った体操プログラムを選ぶポイントです。
体操プログラムを選ぶときは「どのような内容で設計されているか」も確認する
ICFの視点で考えると、デイサービスや介護施設の体操は、単に身体を動かすだけでなく、利用者の活動や参加まで含めて考えることが大切です。そのうえで体操プログラムを選ぶ際には、「どのような内容で構成されているのか」にも目を向けてみましょう。
例えば、
- 身体機能を意識した運動が含まれているか
- 認知機能への刺激も取り入れられているか
- 利用者が参加しやすい進行になっているか
- 専門的な考え方や検証を背景にしているか
といった点です。ルネサンスのオンライン体操教室では、プロの運動指導者による体操に加えて、シナプソロジーを組み合わせた40分間のプログラムを提供しています。シナプソロジーとは、ルネサンスが開発した脳活性化メソッドで、「2つのことを同時に行う」「左右で異なる動きをする」といった、普段とは異なる刺激を取り入れることを特徴としています。
つまりオンライン体操教室は、身体を動かすことだけに偏らず、身体機能と認知機能の両面に刺激を取り入れながら、利用者が参加する時間として設計されています。
介護施設の体操は「コンテンツ」だけでなく「運営の仕組み」で考える
ここまで見てきた内容を整理すると、デイサービスや介護施設の体操は、「どんな体操をするか」だけで考えるものではないことが分かります。管理者・施設長が体操プログラムを選ぶときには、少なくとも次の5つを確認してみましょう。
1.利用者の状態や目的に合っているか
高齢者の身体状況には個人差があります。運動内容、強度、安全性などが対象者に配慮されたものになっているか確認します。厚生労働省も、身体活動について個人差を踏まえて強度や量を調整するよう示しています。
2.無理なく継続して参加しやすいか
内容が適切でも、参加し続けられなければ日常の活動として定着させることは難しくなります。利用者にとって、「また参加したい」と思える時間になっているかも確認してみましょう。
3.身体機能だけでなく「活動・参加」まで考えられているか
ICFの視点を参考に、体操中の動きだけではなく、人との関わりやその後の日常生活も含めて考えます。
4.専門性や根拠を説明できるか
誰がプログラムを作っているのか。どのような考え方に基づいているのか。研究・検証は行われているのか。介護・健康に関わるサービスだからこそ確認したいポイントです。
5.職員が無理なく運用し続けられるか
毎回体操を探す。進行する。利用者を盛り上げる。安全を見守る。これらをすべて職員の工夫に依存させるのか、外部のプログラムも活用するのか。利用者にとっての体操の質と、職員にとっての運用のしやすさを両方考えることが大切です。
以下のお役立ち資料でも、管理者・施設長が見るべき視点として「利用者の参加意欲」「職員負担」「品質差」「施設の差別化」「導入・運用のしやすさ」の5点を挙げてご紹介しています。
体操時間をつくる選択肢「オンライン体操教室」
職員の準備や進行負荷を抑えながら体操の時間をつくる方法の一つが、双方向のコミュニケーションが取れる「オンライン体操教室」です。
ルネサンスのオンライン体操教室では、プロの運動指導者がライブ配信し、体操とシナプソロジーを組み合わせた40分間のプログラムを提供しています。
プロの指導者に進行を任せられる
体操の内容を考えたり、職員が前に立って進行したりする必要がないため、職員は利用者の見守りや個別のサポートに集中しやすくなります。
リアルタイムならではの一体感
録画動画とは異なり、指導者からの声かけや励ましを受けながら、全国の事業所と同じ時間に体操へ参加できます。導入施設からも、こうしたライブならではの一体感を評価する声があります。
職員は見守りや個別のサポートに回りやすくなる
体操の進行を外部に任せることで、職員は利用者の状態を確認したり、必要な人のそばでサポートしたりする役割に集中しやすくなります。
オンライン体操教室が、すべてのデイサービスや介護施設に適しているわけではありませんが、
- プロによる運動指導を行いたい(任せたい)
- 体操をもっと意欲的に「参加する時間」にしたい
- 職員にもっと余裕を持たせたい(準備・進行負担を見直したい)
という場合には、オンライン体操教室も選択肢の一つになります。
まとめ:今の体操を、一度チェックしてみませんか?
デイサービスや介護施設の体操には、一つの正解があるわけではありません。大切なのは、「どの方法が一番よいか」から考えるのではなく、「自分達は体操を通じて何を実現したいのか」から考えることです。
身体を動かす機会をつくりたい。生活機能を支えたい。
利用者同士の交流を増やしたい。楽しみにできる活動をつくりたい。
職員の準備負担を減らしたい。担当者が変わっても一定の品質を保ちたい。
目的によって、適した方法は変わります。そこでルネサンスでは、デイサービスや介護施設の管理者、施設長の方に向けて、『「またこの体操?」と言われないためにデイサービスの体操を、楽しみと自立支援につなげる方法』というお役立ち資料をご用意しています。
こちらの資料では、
- 体操が“とりあえずやっている時間”になりやすい理由
- 現場で起こりやすい体操の課題
- よくある改善方法と考えておきたいポイント
- 管理者・施設長が見るべき体操プログラム選定の5つの視点
- 無料・一般向け動画、施設向け映像コンテンツ、オンライン体操教室の違い
- 自施設の現在地を確認できるチェックリスト
- オンライン体操教室を検討する際のチェックリスト
まで整理しています。「オンライン体操教室を導入するか」を決める前に、まず今の体操の良いところと、見直せるところを整理したい。
そんなときにもご活用いただける資料です。体操を「毎日の予定として行う時間」から、身体を動かし、人と関わり、利用者自身が参加することを楽しめる時間へ。
まずは、現場で体操を行う目的を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。


