株式会社ビーエイブル様は福島県に本社を置き、火力・原子力発電プラントの建設や再生可能エネルギーの開発・施工・メンテナンスなど、多岐にわたって事業を展開している企業です。健康事業の一環として居宅介護支援事業所の『エイブルケアプラン』やリハビリ特化型デイサービスの『元氣ジム』を運営しており、ご利用者様がいつまでも自分で歩ける彩り豊かな人生となるようなサポートを行っています。
今回はエイブルケアプランで管理者をされている鈴木様に、ルネサンスの口腔機能プログラムや元氣ジムについてお話を伺いました。
口腔機能の重要性 |
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R-Smartの魅力 |
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ご利用者様のアセスメントのためには、質問の仕方が重要だといいます。
「ケアマネージャーは、決まった項目に基づいてご利用者様にヒアリングを行い、適切な事業所とのマッチングを進めています。
その際、全身状態についてくまなくヒアリングするのですが、特に口腔機能に関する質問の仕方を工夫しています。例えば『食事はできていますか?』と聞いてしまうと、『毎日美味しく食べられています』といった模範的な回答が返ってきてしまい、口腔機能を判断するのが難しくなります。
そこで、『おかずはどんなものを食べていますか?』と具体的に質問します。もし、食事内容に柔らかいものが多い場合、『噛むときに痛みはありませんか?』と深い質問をすることができます。
このように質問の仕方を変えることで『そういえば、硬いものを噛むと血がでることがある』といった、口腔機能のアセスメントに必要な具体的な情報を得ることができるのです」(鈴木氏)
「ご利用を検討されている世代の方々の多くは、予防歯科という概念がなく、痛みがなければ歯科医院に通わないというのが現状です。そのため、残存歯の本数や歯の揺れ、歯茎の腫れについて質問しても、わからないという方も多く、実際に口の中を見せていただいて確認することもあります。
また、口腔機能は徐々に低下するため、ご本人がその変化に気づかないことがほとんどです。だからこそ、私たちケアマネージャーがしっかりとヒアリングを行い、アセスメントして、適切なケアにつなげていくことが重要だと考えています」(鈴木氏)
EMSを活用した口腔機能向上のプログラムのある元氣ジムは利用者様だけでなく、ご家族様にも説明・紹介がしやすいそうです。
「口腔機能についてお話すると、『確かに言われてみれば…』とご理解いただけることが多いですが、それが全身の状態に大きく影響があるということを知らない方も少なくありません。それはご利用者様だけでなく、ご家族様も同様です。
だからこそ、口腔機能の重要性をお伝えし、ケアが必要な方には、EMSを活用して口腔機能向上を目指す『R-Smart』を導入している元氣ジム※さんをご紹介することが多いです。体操などでの機能向上を目指す事業所が多いなか、EMSを活用することで歯科衛生士や言語聴覚士がいなくても具体的にどのように機能が向上するか説明しやすく、エビデンスもしっかりしている点が魅力です」(鈴木氏)
このように口腔機能の重要性を伝えたいと考えるようになったのには、鈴木様ご自身の経験があるといいます。
「私が口腔機能向上の重要性を強く意識するようになったのは、過去の経験からです。その方は介護認定5の状態でしたが、総合的に考えた結果、口腔機能を改善できれば、もう少し元気になっていただけるのではないかと考え、主治医の先生に訪問歯科を入れていただいたのです。その結果、しっかり食事がとれるようになり、介護認定も2に改善し、とても元気になられました。このように劇的に回復される方は決して多くはないと思いますが、口腔機能の重要性をより多くの方にご理解いただき、ご本人でも気づきにくい口腔機能の低下を少しでも早く食い止めたいと考えています。それにより、栄養摂取はもちろん、誤嚥性肺炎の予防などにもつなげていければと考えています」(鈴木氏)
※「元氣ジム」はルネサンスが展開しているリハビリ特化型デイサービス
最初は口腔機能向上プログラムに興味がなかったご利用者様から、プログラムをはじめたいと相談を受けるケースがあるそうです。
「ケアマネージャーが口腔機能向上プログラムへの参加をお勧めしても、『今は必要ない』とおっしゃるご利用者様も少なくありません。もちろん、ご利用者様の意向を最優先に考え、プログラムに参加せずにサービスの利用をスタートしていただくこともあります。しかし、ご利用から数か月後にEMSを使った口腔機能向上プログラムに参加したいとご相談いただくケースが意外と多いのです。
きっかけはご利用者様同士の何気ない会話でした。他のご利用者様がEMSを使用している様子を見て、使用感などをお話されて興味をもっていただけることが多いようです」(鈴木氏)
「口腔機能向上プログラムへ参加されたご利用者様には『訓練して効果が出てきたら何かやってみたいことはありますか?』と質問するようにしています。
たとえば『サクサクの天ぷらが食べたい』とか『家族と月1回は外食して、好きなものを食べたい』といった小さな目標を立ててもらうのです。翌月にお会いした際『外食ができました!』と嬉しそうにご報告くださり、『天ぷらにはまだ自信がなくて挑戦できなかったけど、次こそは挑戦したい』と前向きな気持ちになっていただけているようです。
小さなステップですが、その積み重ねが非常に大切です。面白いことに、こうした小さな目標を持つことで、口腔内の清潔さに気を配るようになったり、積極的に歯科医院へ通院するようになったりする方も増えています。訓練で成果を出して目標を達成したいという意欲が湧いてくるのです。
このように、口腔機能向上だけでなく、小さな目標を達成するためのお手伝いができること、そしてそれによってご利用者様が希望を持って日々を過ごしていただけることが、ケアマネージャーとしての最大の醍醐味であり、喜びだと感じています。今後もより多くのご利用者様のために、お手伝いしていきたいと思っています」(鈴木氏)